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憩室出血の原因とCT検査で出血源を見つける流れ

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大腸憩室出血はなぜ起こる?CT検査で出血源を特定する診断の流れ

「トイレが真っ赤に染まった」「便器いっぱいの鮮血が突然出た」──大腸憩室出血は痛みがないまま突然大量の血便を引き起こすため、多くの方が強い不安を感じます。この記事では、大腸憩室出血がなぜ起こるのか、CT検査でどのように出血源を見つけるのか、そして大腸カメラによる止血までの診断の流れを、消化器内視鏡専門医がわかりやすく解説します。

当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院)ではCanon Aquilion Lightning / Helios i Edition(80列・AI搭載)CTと大腸カメラを院内に完備し、血便の原因検索から止血処置まで一貫した対応が可能です。

この記事のポイント

  • 大腸憩室出血は腸壁の薄い袋状構造(憩室)の血管が破れて起こり、痛みのない突然の大量血便が特徴です
  • 造影CT検査で「血管外漏出像(extravasation)」を確認することで、大腸カメラの前に出血部位を推定できます
  • CTで全体像を把握→大腸カメラで出血源を直接確認・止血、という流れが基本です
  • 70〜80%は自然に止血しますが、再出血率は20〜35%──一度止まっても大腸カメラでの精密検査が推奨されます
  • 食物繊維の摂取や排便習慣の改善が、憩室の新たな形成や出血リスクの軽減に役立ちます

大腸憩室とは?──腸壁にできる小さな袋

大腸憩室とは、大腸の壁が外側に向かって袋状に飛び出した構造のことです。加齢に伴う腸壁の弾力低下や、食物繊維の摂取不足による腸管内圧の上昇が原因で形成されると考えられています。日本では食生活の変化を背景に、大腸憩室を持つ方の割合は年々増加しています。

憩室そのものは病気ではなく、多くの方は憩室があっても無症状のまま過ごします。しかし憩室の壁は薄く、血管が露出した構造になっているため、何らかのきっかけで出血(憩室出血)や炎症(憩室炎)を起こすことがあります。

憩室出血はなぜ起こるのか

憩室出血は、憩室の壁に露出している小さな血管(栄養血管)が破れることで生じます。この血管は本来であれば腸壁の筋層に守られていますが、憩室部分では筋層が欠損しているため、物理的・化学的な刺激を受けやすい状態にあります。

出血のリスクを高める要因としては、加齢による血管壁の脆弱化、高血圧や動脈硬化、血液をサラサラにする薬(抗血栓薬・抗凝固薬)の服用、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の常用などが挙げられます。大腸憩室症(大腸憩室出血・大腸憩室炎)ガイドライン 2026 改訂第2版でも、これらのリスク因子について詳しく解説されています。

憩室出血の症状──痛みのない突然の大量血便

憩室出血の最も大きな特徴は「腹痛を伴わない突然の大量血便」です。出血部位が右側大腸(盲腸〜上行結腸)の場合は暗赤色の血便として、左側大腸(S状結腸〜下行結腸)の場合は鮮紅色の血便として現れることが多いとされています。出血量が多い場合はめまい・立ちくらみ・冷汗・頻脈などのショック症状を伴うことがあり、緊急の対応が必要になります。

「痛みがない=大したことはない」と自己判断するのは危険です。痛みがなくても大量の出血が起きている可能性があるため、血便を認めた場合はすみやかに医療機関を受診してください。

CT検査が果たす役割──出血源の特定と重症度評価

造影CTで活動性出血を画像としてとらえる

憩室出血が疑われる場合、CT検査は出血源の特定と重症度の評価において重要な役割を果たします。特に造影CT検査では、血管内に造影剤を注入して撮影することで、活動性の出血がある部位を「血管外漏出像(extravasation)」として画像上で捉えることができます。これにより、大腸のどの部分から出血しているかを、大腸カメラを行う前の段階で推定することが可能になります。

出血以外の情報も同時に評価できる

CT検査では出血以外の情報──例えば憩室炎の合併、腸管壁の肥厚、腹腔内の液体貯留など──も同時に評価できるため、治療方針の決定に欠かせない検査です。急性腹症診療ガイドライン 2025でも、急性の消化管出血に対するCT検査の有用性が示されています。

当院 野々市中央院では、Canon Aquilion Lightning / Helios i Edition(80列・AI搭載)を導入しています。高精細な画像を短時間・低被ばくで取得でき、微細な出血所見の検出をサポートします。

来院から止血までの診断フロー

血便で受診された場合、当院では以下のような流れで診断・治療を進めます。症状の緊急度や出血の状態によって検査の順序は変わることがありますが、一般的な流れをご紹介します。

ステップ 内容 所要時間の目安
1. 問診・バイタル測定 血便の色・量・回数・随伴症状を確認。血圧・脈拍・体温を測定し、循環動態を評価します。 約10〜15分
2. 血液検査 貧血の程度(ヘモグロビン値)、炎症反応、凝固機能などを確認します。 採血後 約30〜60分で結果
3. CT検査 造影CT検査で活動性出血の有無と出血部位を評価します。撮影自体は約10〜15分で終了します。 約10〜15分
4. 大腸カメラ検査 CT検査で推定された出血部位を中心に、大腸カメラで粘膜を直接観察し、出血源を確認します。 約20〜40分
5. 止血処置 出血源が確認された場合、クリッピングなどの内視鏡的止血術を行います。 処置内容により異なる
6. 経過観察・結果説明 止血後はリカバリールームで経過を観察し、結果と今後の方針をご説明します。 約30分〜

※来院から止血処置完了までの総所要時間は、症状の程度や検査の進行状況によって大きく異なります。出血が活動性で緊急性が高い場合は、迅速な対応を最優先します。状況によっては高次医療機関への搬送を判断する場合もあります。

CT検査と大腸カメラの役割比較

憩室出血の診断では、CT検査と大腸カメラはそれぞれ異なる強みを持ち、相互に補い合う関係にあります。

項目 CT検査 大腸カメラ
観察対象 腸管壁・周囲臓器・血管を含む腹部全体 大腸粘膜の表面
出血源の検出 造影剤で活動性出血を画像として捉える(血管外漏出像) 粘膜面の出血点を直接目で確認する
止血処置 不可 クリッピングなど内視鏡的止血術が可能
前処置 不要(造影剤投与のみ) 腸管洗浄が必要(緊急時は簡略化する場合あり)
検査時間 約10〜15分 約20〜40分
放射線被ばく あり(低線量機器で低減) なし
組織採取 不可 可能(生検)

まずCT検査で出血の全体像を把握し、次に大腸カメラで出血源を直接確認・止血するという順序が、正確かつ効率的な診断の基本となります。ただし、出血量が少なく循環動態が安定している場合は、CT検査を経ずに大腸カメラから行うこともあります。検査の順序は医師が患者さんの状態を見て最適に判断しますのでご安心ください。

自然止血と再出血のリスク

憩室出血の多くは自然に止血します。報告によって幅がありますが、70〜80%の症例では特別な止血処置を行わなくても出血が自然に収まるとされています。しかし「自然に止まったから安全」とは言い切れません。一度出血した憩室は再出血を起こす可能性があり、再出血率は20〜35%程度と報告されています(Sengupta N, et al. Am J Gastroenterol. 2023;118(2):208-231)。

自然に止血した場合であっても、出血の原因となった憩室の状態を確認するために、落ち着いた段階で大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。再出血を繰り返す場合や出血量が多い場合は、内視鏡的止血術や血管造影によるカテーテル治療、まれに外科手術が検討されます。

憩室出血を防ぐために日常で気をつけること

食物繊維と水分で腸管内圧をコントロール

憩室出血を完全に防ぐ確実な方法は現時点では確立されていませんが、日常生活の中でリスクを減らすためにできることがあります。食物繊維を十分に摂取すること(野菜・海藻・きのこ・豆類など)は腸管内圧の上昇を抑え、憩室の新たな形成を予防する効果が期待されています。また、適度な水分摂取と規則的な排便習慣を心がけることも大切です。

服用中の薬は自己判断で中止しない

血液をサラサラにする薬(抗血栓薬・抗凝固薬)やNSAIDs(痛み止め)を服用中の方は、自己判断で中止せず、主治医と相談のうえで服薬を継続してください。これらの薬は憩室出血のリスクを高めますが、別の重大な疾患を予防するために必要な薬でもあります。

検査・治療後の日常復帰について

大腸カメラによる観察のみで終了した場合は、当日中にご帰宅いただけます。鎮静剤を使用した場合は検査後1〜2時間程度リカバリールームでお休みいただき、当日の車の運転はお控えください。翌日以降は通常通りの生活が可能です。

クリッピングなどの内視鏡的止血術を行った場合は、処置後数日間は激しい運動や飲酒、刺激物の摂取を避けていただく場合があります。具体的な注意事項は処置後に担当医から個別にご説明します。止血後の経過が安定していれば、多くの方は数日以内にお仕事や日常生活に復帰されています。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

  • Sengupta N, Feuerstein JD, Jairath V, et al. Management of Patients With Acute Lower Gastrointestinal Bleeding: An Updated ACG Clinical Guideline. Am J Gastroenterol. 2023;118(2):208-231.(PubMed
  • 大腸憩室症(大腸憩室出血・大腸憩室炎)ガイドライン 2026 改訂第2版. 南江堂, 2026年2月. ISBN 978-4-524-21821-9
  • 急性腹症診療ガイドライン 2025. 医学書院, 2025年.
  • Jensen DM, Machicado GA, Jutabha R, et al. Urgent colonoscopy for the diagnosis and treatment of severe diverticular hemorrhage. N Engl J Med. 2000;342(2):78-82.
  • Oakland K, Guy R, Uberoi R, et al. Acute lower GI bleeding in the UK: patient characteristics, interventions and outcomes in the first nationwide audit. Gut. 2018;67(4):654-662.
  • 金沢消化器内科・内視鏡クリニック 血便外来(https://naishikyo.or.jp/ketsuben/
  • 金沢消化器内科・内視鏡クリニック CT検査(https://www.kanazawa-naisikyou.com/ct_lp/

よくある質問

Q. 憩室出血はCT検査で見つかりますか?
A. 造影CT検査では、活動性の出血がある場合に「血管外漏出像(extravasation)」として画像上で捉えることができます。ただし、出血が少量であったり検査時に一時的に止まっていたりする場合は、CTだけでは出血源を特定できないこともあります。その場合は大腸カメラで直接確認することが重要です。
Q. 造影CT検査の造影剤は体に残りますか?
A. 造影剤は腎臓から尿として排泄されます。腎機能が正常な方であれば、大部分が24時間以内に体外へ排出されます。検査後は水分を多めに摂っていただくことで排泄を促すことができます。腎機能が低下している方やアレルギー歴のある方は事前に医師にお伝えください。
Q. 憩室出血は自然に止まりますか?
A. 70〜80%の症例では特別な処置を行わなくても自然に止血するとされています。ただし、再出血率は20〜35%と報告されており、一度止まった後に再び出血することがあります。自然に止まった場合でも、出血源の確認と再出血リスクの評価のために大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
Q. CT検査に痛みはありますか?
A. CT検査自体に痛みはありません。造影剤を注入する際に腕の血管に針を刺しますが、通常の採血と同程度です。造影剤が体内に入ると一時的に体が温かくなる感覚を覚える方がいますが、数分で治まります。
Q. 野々市中央院のCT機器はどのような特徴がありますか?
A. 当院ではCanon Aquilion Lightning / Helios i Edition(80列・AI搭載)を導入しています。AI技術による画像処理で高精細な画像を低被ばくで取得でき、撮影時間も短いため患者さんの負担を軽減します。
Q. 血便が出たのですがすぐに受診すべきですか?
A. 血便の量が多い場合、めまいや冷汗を伴う場合は緊急性が高いため、できるだけ早く受診してください。少量の血便であっても大腸がんなど重大な疾患が隠れている可能性がありますので、自己判断で様子を見ず、消化器内科を受診されることをお勧めします。
Q. 検査費用はどのくらいですか?
A. 検査はすべて健康保険が適用されます。目安として、CT検査は3割負担で約4,500円、大腸カメラ(観察のみ)は3割負担で約6,000円です。止血処置やポリープ切除を行った場合は別途費用がかかります。初診料・再診料の区分、検査時間帯、使用する薬剤・材料により金額は変動しますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。
 

この記事の監修

中村文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

最終更新日:2026年2月21日

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