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マンモグラフィと乳腺エコーの違い|年代別の選び方を女性医師が解説

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マンモグラフィと乳腺エコーの違い|年代別に考える乳がん検診の受け方

「マンモグラフィとエコー、結局どっちを受ければいいんですか?」——外来で最も多い質問のひとつです。とくに初めて乳がん検診を考えている30代の方や、自治体検診のマンモグラフィだけで足りるのか気になっている40代の方から、よくご相談をいただきます。

結論から言うと、マンモグラフィとエコーは「見つけやすい病変」がそれぞれ異なります。どちらか一方で万全とは言いきれず、年齢や乳房の状態によって使い分けたり組み合わせたりするのが、現在の考え方です。この記事では、2つの検査の仕組みと得意分野を整理したうえで、年代ごとの選び方の考え方をお伝えします。

この記事のポイント

  • マンモグラフィは微細な石灰化の発見に優れ、乳腺エコーはしこり(腫瘤)の描出に優れる——得意分野が異なる
  • 乳腺が多い方(高濃度乳房)ではマンモグラフィだけだと病変が隠れやすく、エコーを加えると発見率が上がることが報告されている
  • 30代はエコー中心、40代以降はマンモグラフィを軸にエコーの併用も選択肢になる
  • 当院では女性医師(乳腺認定医)がマンモグラフィ・エコーの両方に対応し、年代や乳房の状態に合わせて検査をご案内
中村佳世医師による乳腺外来の診察風景

マンモグラフィと乳腺エコー——検査の仕組みはどう違う?

マンモグラフィの仕組みと得意分野

マンモグラフィは、乳房を2枚の板で挟んで薄く広げ、X線で撮影する検査です。乳房を圧迫して薄くすると乳腺の重なりが減り、背景がすっきりするため病変を拾いやすくなります。薄くすることで撮影に必要なX線の量も抑えられ、被ばくは実効線量で約0.05mSv程度——日本人が1年間に浴びる自然放射線(約2.1mSv)の数十分の一にあたります。

マンモグラフィ検査機器(MAMMOMAT Fusion)
当院導入のマンモグラフィ装置

マンモグラフィが最も力を発揮するのは、微細な石灰化の検出です。石灰化とは乳腺内にカルシウムが沈着して白い点として写る所見で、とくに非浸潤がん(DCIS)では石灰化が初発所見になることが少なくありません。こうした石灰化はエコーでは拾いにくいため、マンモグラフィの方が早く発見に至ることがあります。

一方で弱点もあります。乳腺が多い方(高濃度乳房)の場合、正常な乳腺組織もがんも同じように白く写るため、病変がマスクされやすいのです。日本人女性では約4割前後が高濃度乳房に該当するという報告があり(報告により幅があります)、とくに若い年代ほどその割合は高くなります。

乳腺エコーの仕組みと得意分野

乳腺エコー(超音波検査)は、乳房にゼリーを塗りプローブ(探触子)を当てて、超音波の反射で内部を映し出す検査です。放射線を使わないため被ばくはありません。乳房を挟む操作も不要なので、マンモグラフィのような圧迫痛がなく、妊娠中や授乳中の方にも実施できます。

乳腺エコー検査機器
乳腺エコー(超音波)検査機器

エコーの得意分野は、しこり(腫瘤)の描出です。超音波では乳腺組織は白く、多くの腫瘤は黒く映るため、マンモグラフィでは病変がマスクされやすい乳房であっても超音波なら腫瘤を見分けやすいという利点があります。40代の女性を対象にした日本の大規模ランダム化比較試験(J-START)では、マンモグラフィに超音波を加えた群の感度が91.1%となり、マンモグラフィ単独群の77.0%を上回ったと報告されました(Ohuchi N, et al. Lancet 2016)。早期がん(ステージI以下)の発見割合も、併用群のほうが高い結果でした。

ただし限界もあります。石灰化の検出はマンモグラフィに及びません。また、検査者の技量によって精度にばらつきが出やすい点や、がんではない良性の所見まで多く拾ってしまい偽陽性が増える点が課題です。加えて、超音波検査単独での対策型検診(自治体検診)において死亡率が下がるかどうかは、現時点では科学的に証明されていません(厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」第45回資料)。

マンモグラフィとエコーの比較一覧

比較項目 マンモグラフィ 乳腺エコー
検査方法 乳房をX線で撮影 超音波を乳房に当てて映像化
得意な所見 微細石灰化・構築の乱れ 腫瘤や乳管内病変・リンパ節
痛み 圧迫に伴う痛みを感じることがある(片側あたり数秒〜十数秒程度) ほとんどなし
被ばく あり(実効線量 約0.05mSv。年間自然放射線量の数十分の一程度) なし
妊娠中・授乳中 原則として実施しない(医師判断で実施する場合あり) 実施可能
検査時間の目安 約5分 約10〜20分
自治体検診(対策型) 40歳以上・2年に1回で推奨 自治体による補助制度はなし

2つの検査は「補い合う関係」にあります。片方だけでは拾えない病変がもう片方で見つかるケースがあるため、とくにマンモグラフィで高濃度乳房の方は両方を組み合わせるメリットが大きいと考えられています。

「自分にはどちらの検査が必要?」とお悩みの方、女性医師があなたに合った検診プランをご提案します。

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年代別の検査選び——30代・40代・50代以降で考え方が変わる

30代:エコーを中心に、リスクに応じてマンモグラフィの追加も検討

30代は高濃度乳房の方が多い年代です。マンモグラフィ単独では乳腺に病変が紛れやすいため、エコーでの検査が向いています。

自治体の対策型検診は40歳以上が対象なので、30代で受けたい場合は自費検診になります。「30代はまだ早い」と思われがちですが、国立がん研究センターのがん統計によると、日本人女性の乳がんは30歳代後半から罹患率が上がり始めます。家族に乳がんの既往がある方など、リスク因子に心当たりがある場合は、30代から年1回の検査を検討してみてください。

40代:マンモグラフィを軸に、エコー併用も選択肢のひとつ

40歳になると、自治体の対策型検診でマンモグラフィを2年に1回受けられます。国の指針では40〜74歳に対するマンモグラフィ単独法が推奨されており(推奨グレードB、国立がん研究センター がん対策研究所)、まずはこの検診をきちんと受けることが基本です。

そのうえで、40代はまだ高濃度乳房の方が多い年代でもあります。先述のJ-STARTでは、40代でマンモグラフィにエコーを加えた群は感度・早期がん発見率ともに向上した一方で、偽陽性(がんではないのに要精密検査と判定される)も増えたと報告されています。検診には利益と不利益の両面があるため、併用するかどうかは利益と不利益を理解したうえで判断してください。

40代の方が任意型検診としてエコーを追加したい場合、自治体のマンモグラフィ検診に自費でエコーを組み合わせる方法があります。当院でもこの組み合わせに対応しています(費用や予約方法は乳がん検診ページをご確認ください)。

野々市中央院のWEB予約はこちら

自治体クーポンを利用した検診も、自費での詳しい検査も、当日のスムーズなご案内が可能です。

50代以降:マンモグラフィが中心. 高濃度乳房が続く方はエコー併用を検討

50代以降は閉経に伴い乳腺が脂肪に置き換わっていくため、マンモグラフィで病変を見つけやすくなります。対策型検診のマンモグラフィを2年に1回受けることが基本の対策です。

ただ、閉経後も高濃度乳房が続く方は一定数います。マンモグラフィで「乳腺が多い」と言われた経験がある場合は、50代以降もエコー併用を検討するとよいでしょう。自分の乳房タイプが気になる方は、検査の際に担当医へ聞いてみてください。

高濃度乳房(デンスブレスト)と検査選びの関係

なぜ高濃度乳房ではマンモグラフィで見つけにくいのか

マンモグラフィの画像では、乳腺組織が白く映り、がんも白く映ります。乳腺が少ない脂肪性乳房なら背景が暗いのでがんの白い影が浮かび上がりますが、高濃度乳房では「白い背景に白い病変」という状態になり、見落としのリスクが高まります。これを「マスキング効果」と呼びます。

日本人女性は欧米女性と比べて高濃度乳房の割合が高い傾向にあります。40代以下の方、やせ型の方に多いとも言われています。高濃度乳房は病気ではなく体質のひとつですが、検査方法を選ぶうえで知っておくと安心です。

自分の乳房タイプを知るには

乳腺の濃度は、マンモグラフィを撮影した画像から医師が判定します。乳房の外見や触った感触からはわかりません。自治体検診では乳房の濃度について通知していないこともあるため、気になる方は検査の際に「わたしはデンスブレストですか」と質問してみてください。高濃度乳房とわかれば、次回以降の検診でエコーを加えるかどうかを担当医と相談する材料になります。

当院の乳腺外来——マンモグラフィもエコーも同じ日に受けられます

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院では、日本乳癌学会認定医・外科専門医の女性医師(中村佳世)がすべての診察・エコー検査を担当します。マンモグラフィ(読影評価A判定)と乳腺エコーの両方を備え、同日検査や術後のフォローアップにも対応しています。

月1回の土曜乳腺外来(完全予約制)も実施しており、お忙しい方でも受診しやすい環境を整えております。また、当院の大きな強みとして、胃カメラ・大腸カメラなどの消化器検査と乳腺検査を同じ日に同じクリニックで受けていただくことが可能です。最新のCT検査も完備し、全身の健康管理を女性医師・スタッフがサポートいたします。詳細は乳腺診療トップページをご覧ください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

  • 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん検診について」
  • 国立がん研究センター がん対策研究所「乳がん」(有効性評価に基づくがん検診ガイドライン)
  • 日本乳癌学会 編『乳癌診療ガイドライン2022年版』
  • Ohuchi N, et al. Lancet 2016 (J-START試験報告)
  • 厚生労働省「第45回 がん検診のあり方に関する検討会」資料

よくある質問

Q. マンモグラフィとエコーを同じ日に両方受けられますか?
A. 基本的にマンモグラフィと乳腺エコーの同日検査に対応しています。自治体のマンモグラフィ検診に自費でエコーを追加するかたちもお選びいただけます。ご希望の方はお電話でご予約ください。
Q. マンモグラフィの痛みが不安です。軽くする方法はありますか?
A. 圧迫に伴い痛みを感じる方は多いですが、片側あたりの撮影は数秒〜十数秒程度で終わります。当院のマンモグラフィ装置には圧迫圧を自動調整する機能(Op-comp)が搭載されており、痛みの軽減に配慮しています。生理前は胸が張りやすいため、生理終了後1週間前後の受診が比較的楽です。
Q. 40歳未満で自治体の乳がん検診案内が届きません。どうすれば検査を受けられますか?
A. 自治体の対策型検診は原則40歳以上が対象です。40歳未満の方は自費での検診になります。WEB予約またはお電話でお申し込みください。
Q. 高濃度乳房(デンスブレスト)かどうか、自分でわかりますか?
A. 外見や触った感じからは判断できません。マンモグラフィの画像をもとに医師が判定します。自治体検診で通知されていない場合もあるため、気になる方は検査の際に担当医へお尋ねください。
Q. 授乳中でも乳がんの検査は受けられますか?
A. 授乳中は基本的にはエコーでの検査になります。ただし症状によっては医師の判断でマンモグラフィを行う場合もあります。授乳期に胸のしこりに気づいた場合はでも自己判断はせず、乳腺外来を受診してください。
Q. エコーで「のう胞がある」と言われました。がんの心配はありますか?
A. のう胞は液体がたまった袋状の構造で、多くは良性です。ただし、のう胞内に充実成分がある場合や急に大きくなった場合は精密検査が必要になることがあります。
Q. 自治体のマンモグラフィ乳がん検診はいくらくらいかかりますか?
A. 野々市市いきいき検診・白山市乳がん検診は自己負担500円、金沢市すこやか検診は800円です。石川県内のその他の自治体もほぼ同様の自己負担額です。自治体によって異なるため、お手元の自治体クーポンでご確認ください。

この記事の監修医

中村佳世

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院(医療法人社団心匡会)

日本外科学会 外科専門医/日本乳癌学会 乳腺認定医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/マンモグラフィ読影評価試験A判定

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

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