ブログ

便潜血陽性を放置するリスクとは?早めの検査が大切な理由

local_offerブログ
local_offer大腸カメラ

便潜血陽性を放置するとどうなる?家族で知っておきたいリスクと対処法

「健診で便潜血が陽性だったけど、体調はふつうだし、もう少し様子を見よう」——野々市市や白山市の健診シーズンが終わるたびに、こうしたご相談が当院にも寄せられます。お腹が痛いわけでもなく、見た目の血便もない。そんな状態だと、精密検査を先送りにしたくなるかもしれません。ただ、便潜血陽性を放置した場合に何が起こりうるのかを知ると、考えが変わる方がほとんどです。この記事では「放置するとどうなるのか」に焦点を当てて、ご本人だけでなくご家族にも読んでいただきたい内容をまとめました。

『癌のリスクがある!』医師が大腸カメラで発見した多数のポリープ!?

この記事のポイント

  • 便潜血陽性の約3割が精密検査を受けずに放置しているとされ、発見の遅れにつながっています
  • 放置期間が長いほど、大腸がんが進行した状態で見つかるリスクが高まります
  • 「痔だろう」という自己判断は危険で、大腸の奥の病変を見逃す原因になります
  • ポリープの段階で切除すれば、がんそのものを防げる可能性があります
  • 家族から検査を勧めることが、本人の受診行動を後押しするきっかけになります

便潜血陽性を放置している人はどのくらいいるのか

精密検査を受けていない人の割合

便潜血検査で「要精密検査」と判定された方のうち、実際に大腸カメラを受けた方の割合(精検受診率)は全国平均で約7割と報告されています。裏を返せば、約3割の方が陽性のまま精密検査を受けていない計算です。石川県でも同様の傾向がみられ、健診で陽性と出ても「来年の検診で確認すればいい」と考えてしまう方は珍しくありません。

放置する理由で多いもの

当院で精密検査の相談に来られた方に伺うと、放置していた理由として多いのは「症状がないから」「痔があるので、そのせいだと思った」「検査が怖い・恥ずかしい」「忙しくてタイミングが合わなかった」の4つです。どの理由も気持ちとしては理解できますが、便潜血検査は症状がない段階で出血を見つけるための検査です。症状がないこと自体は、放置してよい理由にはなりません。

放置した場合に起こりうる3つのリスク

リスク①:大腸がんの発見が遅れる

大腸がんは早期であれば内視鏡だけで切除できるケースがあり、ステージⅠの5年生存率は約93%と報告されています(国立がん研究センター 大腸がんファクトシート2024)。一方、ステージⅣでは5年生存率が約20%前後まで下がります(統計や集計方法により変動します)。便潜血陽性を受け取った時点で精密検査を受けていれば早期に見つかっていたかもしれない病変が、1年、2年と先送りにするあいだに進行してしまう——これが最も避けたいシナリオです。

イタリアの大規模集団研究(Zorzi M et al. Gut, 2022)では、便潜血陽性後に大腸カメラを受けなかったグループは、受けたグループと比較して大腸がんによる死亡リスクが約2倍に上昇したと報告されています。「放置」は時間の経過とともにリスクを積み上げます。

リスク②:ポリープががん化する時間を与えてしまう

大腸がんの多くは、もともと良性のポリープ(腺腫)が数年〜十数年かけてがん化することで発生します(腺腫‐がん連関)。便潜血陽性はポリープからの微量出血を拾っている場合も多く、この段階で大腸カメラを受ければポリープを切除してがん化そのものを防げます。検査を先送りにしている期間は、ポリープに「育つ時間」を与えていることと同じです。

リスク③:治療の選択肢が狭まる

早期の大腸がんは日帰りの内視鏡治療で完結するケースがあり、入院や外科手術が不要な場合もあります。進行がんとなると、外科的な切除に加えて化学療法が必要になることがあり、治療期間も身体的な負担も大きくなります。治療にかかる費用や仕事への影響も、早期と進行期では大きく異なります。

「痔だと思っていた」が一番危ない理由

痔と大腸がんの出血は区別できない

便潜血検査は便に混じった微量の血液を検出する検査です。出血源が痔なのか、ポリープなのか、がんなのかを区別する機能はありません。痔を持っている方が「きっと痔のせいだ」と判断して検査を受けないケースは非常に多いのですが、痔と大腸の奥のポリープやがんが同時に存在している方も実際にいらっしゃいます。

当院でも、痔を理由に何年も精密検査を先送りにしていた方が、ようやく大腸カメラを受けたところポリープが複数見つかった、というケースは珍しくありません。「痔があるから陽性になった」という推測と、「大腸に異常がない」という事実は、大腸カメラで確認して初めてイコールになります。

再検査で陰性でも安心とは限らない

「次の便潜血検査で陰性だったから大丈夫」と考える方もいます。しかし、がんやポリープは常に出血しているわけではなく、出血と止血を繰り返すことがあります。たまたま出血していないタイミングで採便すれば陰性になりますが、病変が消えたわけではありません。一度でも陽性が出た事実は残りますので、再度の便潜血検査ではなく、大腸カメラによる精密検査を受けてください。

家族が便潜血陽性と言われたら確認してほしいこと

本人が動かないときは周囲の声が大切

便潜血陽性を放置している方の多くは、検査結果の意味を十分に理解していないか、漠然とした不安から「知りたくない」という気持ちを抱えています。ご家族やパートナーが「一緒に病院に電話してみよう」「送り迎えするよ」と声をかけるだけで、行動に移せる方は少なくありません。

検査は鎮静剤を使えば眠っている間に終わる

大腸カメラに対して「痛そう」「つらそう」というイメージを持つ方がいます。当院では鎮静剤を使った内視鏡検査を行っており、うとうとしている間に検査が終わります。検査時間は15〜30分程度です。ポリープが見つかった場合はその場で切除でき、多くの方は日帰りで対応できます。検査の準備や流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事(便潜血検査が陽性だった方へ|精密検査の流れと準備のポイント)をご覧ください。

放置期間とリスクの目安

放置期間 起こりうること 推奨される行動
陽性判定直後〜3か月 ポリープやがんが存在する場合でも、多くは早期の段階 消化器内科を受診し、大腸カメラの日程を決める
半年〜1年 ポリープの成長やがんの進行が懸念される時期に入る できるだけ早く検査を予約する
1年以上 早期だった病変が進行がんに移行するリスクが高まる すぐに消化器内科を受診する

※上記はあくまで一般的な目安です。個々の状況によって異なりますので、判定を受けたらできるだけ早く医師にご相談ください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

よくある質問

Q. 便潜血が陽性でしたが、半年以上放置しています。今からでも検査を受けるべきですか?
A. 受けてください。放置期間が長くなるほど、万が一病変があった場合に進行している可能性が高まります。時間が経ったことを気にして受診をためらう方もいますが、「今日が一番早い日」です。まずは消化器内科にご相談ください。
Q. 便潜血陽性でも症状がまったくありません。それでもリスクはありますか?
A. 大腸がんやポリープは早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。症状がないからこそ、便潜血検査で異常を捉えられた今が検査のチャンスです。
Q. 毎年の便潜血検査で今年だけ陽性でした。1回だけなら様子見でもよいですか?
A. がんやポリープからの出血は断続的に起こることがあります。1回でも陽性が出た場合は、次の便潜血検査で陰性になっても病変がないとは言い切れません。1回の陽性でも精密検査の対象です。
Q. 大腸カメラが怖くて受ける気になれません。痛くないのでしょうか?
A. 当院では鎮静剤を使い、うとうとしている間に検査を進めます。「気づいたら終わっていた」とおっしゃる方がほとんどです。女性医師による検査にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
Q. 便潜血が陽性の家族に検査を勧めたいのですが、どう伝えたらよいですか?
A. 「検査しないの?」より「一緒に予約の電話をしようか」「送り迎えするよ」のほうが行動につながりやすいです。不安の中身を聞いてあげたうえで、検査自体は鎮静剤を使えば楽に受けられることを伝えてあげてください。
Q. 放置していた場合、検査費用は高くなりますか?
A. 便潜血陽性の結果をもとに受ける大腸カメラは保険診療の対象です。保険適用・3割負担で約6,000〜20,000円が目安となります(ポリープ切除の有無で変わります)。放置の期間によって検査費用が変わることはありませんが、進行がんが見つかった場合の治療費は早期の場合と比べて大幅に高くなります。
 

この記事の監修

中村文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

最終更新日:[2026年2月21日]

胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

便潜血の結果が気になっている方へ——まずは相談だけでも構いません

まずはお気軽にご相談ください

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
TOPへ