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尿酸値が高い原因とリスク|痛風・合併症・治療目標を専門医が解説

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高尿酸血症・痛風と心血管リスク|原因・合併症・治療目標を消化器専門医が解説

健診で尿酸値が高いと指摘されたものの、痛みがないためそのままにしている方は多いのではないでしょうか。高尿酸血症は痛風発作だけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患との関連が指摘されています。この記事では、尿酸値が高くなる仕組みと分類、痛風の先にある合併症、そして治療目標が「6.0mg/dL以下」とされている理由を整理します。

この記事のポイント

  • 高尿酸血症は「産生過剰型」「排泄低下型」「混合型」の3タイプに分かれ、治療のアプローチが異なる
  • 痛風発作だけでなく、腎障害・尿路結石・動脈硬化を介した心血管疾患のリスク上昇が報告されている
  • 治療目標の6.0mg/dL以下は尿酸塩結晶を溶解し再発を防ぐために設定されており、近年は心血管イベントとの関連を示す大規模研究も出ている
  • 肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病との合併が多く、生活習慣病の一つとして総合的な管理が重要
野々市中央院で診察する中村文保医師

高尿酸血症とは──尿酸値7.0mg/dL以上が診断の目安

尿酸はプリン体の代謝でつくられる老廃物

尿酸は、体内の細胞が入れ替わるときや食事からプリン体を摂取したときに肝臓で産生される最終代謝産物です。産生された尿酸は主に腎臓から尿として排出され、残りの約3分の1は腸管からも排泄されています。この産生と排泄のバランスが崩れ、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が高尿酸血症と定義されます。

3つのタイプと原因の違い

高尿酸血症は発症のメカニズムによって大きく3つに分かれます。1つ目は「尿酸産生過剰型」で、レバー、白子、魚卵、干物といったプリン体を多く含む食品やビールの過剰摂取、激しい運動などが引き金になります。2つ目は「尿酸排泄低下型」で、肥満や腎機能の低下により腎臓からの尿酸排泄がうまく進まないケースです。3つ目は両方の要因が重なる「混合型」で、日本人の高尿酸血症では排泄低下型が約60%、混合型が約25%を占めるとされています。

どのタイプに当てはまるかによって使用する薬剤が変わるため、高尿酸血症の原因と治療方法の詳細についてはこちらもあわせてご確認ください。血液検査と尿検査で産生量と排泄量を評価し、タイプを見極めることが治療の出発点になります。

痛風発作の仕組みと「発作がない=安全」ではない理由

尿酸結晶が関節に炎症を起こすメカニズム

血中の尿酸濃度が高い状態が続くと、尿酸は血液に溶けきれなくなり、結晶として析出します。この尿酸塩結晶が足の親指の付け根をはじめとする関節に沈着し、免疫細胞が結晶を異物として攻撃することで急激な炎症が起こります。これが痛風発作です。発作時には赤く腫れ上がり、触れるだけでも激しい痛みが生じます。

無症状でも体内に結晶がたまり続けている

痛風発作が起きていない期間も、尿酸値が高い状態が続いていれば尿酸塩結晶は少しずつ蓄積しています。痛みがないからといって治療を中断すると、ある日突然発作が再発するだけでなく、関節以外の臓器にもダメージが及ぶ可能性があります。「発作が収まったから大丈夫」と考えてしまいがちですが、尿酸値そのものを下げないかぎりリスクは残り続けます。

痛風の先にある合併症──腎障害・尿路結石・心血管疾患

痛風腎と尿路結石

尿酸塩結晶は関節だけでなく、腎臓にも沈着します。腎臓に結晶がたまると腎機能障害につながることがあり、進行すると慢性腎臓病へ移行する場合があります。腎機能が低下すると尿酸の排泄がさらに滞り、高尿酸血症が悪化するという悪循環に陥ります。また、尿中の尿酸濃度が高くなると尿が酸性に傾き、尿路結石(尿酸結石)のリスクも上がります。

野々市中央院のCT検査装置

動脈硬化と心血管疾患との関連

高尿酸血症は、血管内膜の酸化ストレスを高めることで動脈硬化を進行させる要因のひとつと考えられています。痛風・尿酸財団の解説によれば、痛風患者では心血管障害(狭心症・心筋梗塞)や脳血管障害(脳出血・脳梗塞)が起きやすく、尿酸値が高いほどその傾向が強いことが疫学研究で示されています。ただし、尿酸がこれらの疾患を直接引き起こすのか、高血圧や肥満などの共存因子を介して間接的に関与しているのかは、現在も研究が続いている領域です。加えて、高尿酸血症の方は肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病を合併しやすく、これらが重なることで心血管イベントのリスクはさらに高まります。肥満と高血圧が互いを悪化させる仕組みについてはこちらの記事で解説しています。

尿酸値6.0mg/dL以下の達成と心血管イベント──最新の観察研究から

2026年にJAMA Internal Medicine誌に発表された大規模観察研究(対象:痛風患者109,504例)では、尿酸降下薬を開始して12か月以内に血清尿酸値6.0mg/dL未満を達成した群は、達成しなかった群に比べて5年間の主要心血管イベント(MACE)リスクが低い関連が示されました(ハザード比 0.91)。さらに、5.0mg/dL未満を達成した群ではハザード比 0.77と、関連はより強くなっています。ただし、この研究は観察研究であり、尿酸値を下げたことが心血管イベントを防いだという因果関係を証明したものではありません。

治療目標の6.0mg/dL以下は、もともと尿酸塩結晶の溶解限界(約6.4mg/dL)を下回る濃度を維持することで結晶を溶かし、痛風発作の再発を防ぐ目的で設定されたものです。この研究結果は、従来の目標を心血管保護の観点からも支持する可能性を示した点で注目されています。

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健診で尿酸値の異常を指摘された方は、まず血液検査と尿検査でタイプを確認することから始められます。

高尿酸血症の治療──目標値と生活習慣の見直し

薬物療法の開始基準と治療目標

日本痛風・尿酸核酸学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」では、血清尿酸値が7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断し、痛風関節炎を繰り返す方や痛風結節がある方には薬物療法が推奨されています。痛風発作がない無症候性の場合でも、尿酸値が8.0mg/dL以上で腎障害・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの合併症がある場合には薬物療法の適応が検討されます。治療中の管理目標は、尿酸塩結晶の溶解限界を下回る6.0mg/dL以下です。

尿酸降下薬の種類と開始のタイミング

高尿酸血症のタイプに応じて処方される薬は異なります。尿酸の産生が過剰なタイプにはキサンチンオキシダーゼ阻害薬(尿酸生成抑制薬)、排泄が低下しているタイプには尿酸排泄促進薬や選択的尿酸再吸収阻害薬が使われます。薬剤選択のためにも、最初の段階で自分がどのタイプかを検査で把握しておくことが大切です。

痛風発作が起きている最中は、まずコルヒチン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、ステロイドなどで痛みと炎症を抑える治療を優先します。尿酸降下薬の新規開始時期についてはガイドライン間で温度差があり、日本では発作が落ち着いてから開始する運用が一般的です。一方、米国リウマチ学会(ACR)の2020年ガイドラインでは、適応がある場合に発作中から尿酸降下薬を開始することも条件付きで推奨されています。いずれの場合も、医師と相談のうえで開始時期を決めることが重要です。

食事・運動・水分補給のポイント

プリン体の多い食品を極端に避けるよりも、全体の食事バランスとカロリーの適正化が重要です。ガイドラインではプリン体の摂取量を1日400mg以下に抑えることが推奨されていますが、実際には肥満の解消、アルコール(特にビール)の節制、十分な水分摂取が尿酸値のコントロールに大きく寄与します。水分を多めにとって尿量を確保することは、尿路結石の予防にもつながります。肥満と脂質異常症の関係や食事の見直しについてはこちらも参考になります。

当院には管理栄養士が在籍しており、医師が必要と判断した方には個別の栄養指導を実施しています。野々市市や白山市、能美市にお住まいの方で、健診後の食事改善をどう始めてよいかわからないという場合は、診察の際にお伝えください。

高尿酸血症と他の生活習慣病──まとめて管理する意味

メタボリックシンドロームとの重なり

高尿酸血症は単独で存在することが少なく、肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病と複合的に合併しやすい疾患です。内臓脂肪の蓄積がインスリン抵抗性を引き起こし、そのインスリン抵抗性が腎臓での尿酸排泄を妨げるという流れは、メタボリックシンドロームの病態と重なっています。尿酸値だけを治療しても、背景にある肥満や血圧・血糖が放置されていれば心血管リスクは十分に下がりません。

血液検査で代謝全体を把握する

当院では、尿酸値の異常で受診された方に対して、肝機能(AST・ALT・γ-GTP)、血糖値・HbA1c、脂質(LDL・HDLコレステロール、中性脂肪)、腎機能(クレアチニン・eGFR)を含む包括的な血液検査を院内で実施しています。結果は当日お伝えできるため、通院の負担を最小限に抑えながら全体像を確認できます。腹部エコーで脂肪肝の有無を同時に確認することも可能です。

野々市中央院の腹部エコー検査機器
尿酸値の目安 状態 対応の方向性
7.0mg/dL未満 基準範囲内 生活習慣を維持し、定期的に健診を受ける
7.0〜7.9mg/dL 高尿酸血症(軽度) 生活習慣の改善を開始。合併症がある場合は薬物療法を検討
8.0〜8.9mg/dL 高尿酸血症(中等度) 合併症がなくても薬物療法の検討対象。痛風既往があれば開始
9.0mg/dL以上 高尿酸血症(高度) 薬物療法の適応。合併症の有無にかかわらず治療が推奨される
6.0mg/dL以下(治療中) 治療目標 尿酸塩結晶の溶解・痛風発作の再発予防が期待できる

よくある質問

Q. 尿酸値が高いと指摘されましたが、痛みはありません。治療は必要ですか?
A. 痛風発作がなくても、尿酸値が高い状態が続くと尿酸塩結晶は体内に蓄積し、腎障害や尿路結石のリスクが高まります。合併症の有無や尿酸値の程度に応じて薬物療法の必要性が変わるため、まず血液検査で状態を確認することをおすすめします。
Q. 痛風発作が治まったので薬をやめてもよいですか?
A. 痛風発作は尿酸値が高い状態の「症状の一つ」にすぎません。発作が治まっても尿酸値が目標(6.0mg/dL以下)に達していなければ、結晶は関節や腎臓にたまり続けます。自己判断での中止は再発や合併症進行のリスクを高めるため、必ず主治医と相談してください。
Q. ビール以外のお酒なら尿酸値に影響しませんか?
A. ビールはプリン体含有量が多いため特に注意が必要ですが、アルコール自体に尿酸の産生を促し排泄を抑える作用があります。焼酎やワイン、ウイスキーであっても、飲みすぎれば尿酸値は上がります。飲酒量全体を見直すことが大切です。
Q. 高尿酸血症と脂肪肝は関係がありますか?
A. 高尿酸血症と脂肪肝は、内臓脂肪の蓄積とインスリン抵抗性という共通の背景を持っています。健診で両方を指摘されるケースは珍しくありません。当院では血液検査と腹部エコーを同日に実施し、肝臓の状態も含めて総合的に評価できます。
Q. 高尿酸血症の検査や治療にかかる費用はどのくらいですか?
A. 初診時の血液検査・尿検査は保険適用です。検査項目の組み合わせによって自己負担額が変わりますので、具体的な費用については診察時にお尋ねください。

まとめ

高尿酸血症は「痛風発作が怖い病気」という印象が先行しがちですが、実際には腎障害、尿路結石、そして心血管疾患との関連が示されている全身性の代謝異常です。治療目標の6.0mg/dL以下は尿酸塩結晶を溶かし痛風再発を防ぐために設定されたものであり、近年の大規模観察研究では心血管イベントとの関連も報告されています。発作がないから安心、と放置するのではなく、尿酸値を継続的に管理していくことが合併症予防の土台になります。

健診で尿酸値が7.0mg/dLを超えていた方、過去に痛風発作を経験して薬を中断している方、肥満や高血圧など他の生活習慣病を合併している方は、一度検査で全体像を把握しておくことが今後の健康管理の出発点です。野々市中央院では血液検査・尿検査・腹部エコーを同日に実施でき、管理栄養士による栄養指導にも対応しています。

参考文献

当院で相談する目安

以下のような状況に当てはまる方は、受診をご検討ください。健診で尿酸値7.0mg/dL以上を指摘された方、過去に痛風発作を起こしたことがあるが現在治療を中断している方、尿酸値とあわせて血圧・血糖・コレステロール・肝機能など複数の項目で異常を指摘されている方、腎機能の低下や尿路結石の既往がある方です。野々市中央院では院内で血液検査(当日結果説明)・尿検査・腹部エコーに対応しており、野々市市・白山市・能美市など近隣にお住まいの方を中心に、生活習慣病の総合的な管理を行っています。

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

尿酸値が気になる方──まず血液検査で現在の状態を確認してみませんか

健診結果をお持ちいただくと、初回の判断がスムーズです。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

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