消化器内科でSASを診る理由|胃カメラ・胸やけ・脂肪肝と睡眠の深い関係
「健診で脂肪肝を指摘されたうえに、家族から夜中のいびきが気になると言われた」——当院の外来では、こうしたご相談が増えています。お腹の症状と睡眠の問題、一見つながりがなさそうに思えるかもしれません。しかし消化器内科の診療現場では、胃カメラ検査中のいびきや、薬を飲んでも改善しない胸やけをきっかけに睡眠時無呼吸症候群(SAS)が見つかるケースが珍しくありません。この記事では、消化器内科がSASまで診る理由と、野々市中央院の一体診療の特徴を整理しました。
この記事で分かること
この記事のポイント
- 胃カメラの鎮静中に医師が気づくSASの手がかりとは
- 胸やけ(GERD)や脂肪肝(MASLD)が治りにくいときにSASが関わる仕組み
- 消化器と睡眠を一つのクリニックで診る臨床上のメリット
- SAS簡易検査の費用や流れの概要
- 野々市中央院でご家族と一緒に受診できる診療体制
消化器内科がいびき・無呼吸を診察する背景
内視鏡クリニックだからこそ気づく場面がある
消化器内科の主な守備範囲は、食道・胃・大腸・肝臓です。ただ、日々の診療を続けるなかで「お腹の不調だけでは説明しきれない症状」に遭遇する場面があります。
たとえば胃カメラ検査では、鎮静剤で軽くうとうとした状態の患者さんが、検査中にかなり大きないびきをかいたり、酸素飽和度が一時的に低下したりすることがあります。こうした反応は、日常の睡眠中にも気道が塞がりやすい状態にあるサインです。内視鏡医はカメラを咽頭に通す過程で気道の幅や舌根の沈み具合を直接確認できるため、他科の医師よりもSASを疑う手がかりを得やすい立場にあります。
「消化器の専門だから睡眠は別の病院で」という時代ではなくなった
SASと逆流性食道炎(GERD)、SASと脂肪肝(MASLD)の関連を示す研究は年々増えています。お腹の治療だけを続けても改善しない患者さんに対し、「呼吸の問題が隠れていないか」と一歩踏み込んで評価する姿勢が、消化器内科にも求められるようになりました。当院はこうした背景を踏まえ、SASの検査と治療を院内で完結できる体制を整えています。
胃カメラの鎮静が安全になるSAS事前評価
鎮静剤がSASのリスクを高める理由
鎮静剤は筋肉を弛緩させ、舌根が沈みやすくなります。気道がもともと狭い方が鎮静下で仰向けになると、検査中に酸素飽和度が下がりやすく、まれに低酸素状態が続くことがあります。SASが未診断のまま鎮静下内視鏡を受けると、このリスクに気づけない可能性があるのです。
当院が検査前に行っているスクリーニング
野々市中央院では、問診時にいびきや日中の眠気の有無をお聞きし、リスクが疑われる方には事前に簡易検査をご案内しています。SASの重症度がわかれば、鎮静剤の量やモニタリング体制を調整でき、安全に内視鏡検査を受けていただけます。鎮静下内視鏡の安全対策について詳しくは睡眠時無呼吸症候群×鎮静内視鏡の安全対策をご覧ください。
胸やけ・脂肪肝が改善しないときに疑う呼吸の問題
PPIを飲んでも治らない胸やけとSAS
胃酸を抑える薬(PPI)を何年も続けているのに、朝起きると口が酸っぱい。夜中に胸やけで目が覚める。こうしたケースでは、SASの可能性を考えてみてください。睡眠中に気道が閉塞するたびに胸腔内に強い陰圧が生じ、胃酸を食道へ引き上げてしまうことが報告されています。つまり、薬で酸を抑えても「物理的に吸い上げる力」が残っている限り、症状が繰り返される場合があるのです。
CPAP治療で気道を広げると陰圧が解消され、夜間の逆流が軽減したという報告もあります。胸やけとSASの関連については逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群の関係で詳しく解説しています。
お酒を控えても脂肪肝が良くならない理由
飲酒量を減らし、食事にも気を配っているのに、健診のたびに脂肪肝を指摘される。そんな方は、SASによる夜間の繰り返す低酸素が肝臓の脂肪蓄積を促している可能性があります。当院は肝臓専門医も在籍する消化器内科ですので、血液検査や腹部エコーによる肝臓の評価とSAS簡易検査を並行して進められます。
SASと脂肪肝の関係については睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝の関係に詳しくまとめています。
一つの院で「お腹」と「眠り」を診るメリット
受診の手間と見落としリスクを減らす
消化器と睡眠を別々の医療機関で診てもらうと、検査結果の共有にタイムラグが生まれます。「いびきは睡眠科で、胸やけは内科で」と科を分けるうちに、両者の関連が見過ごされてしまうことも少なくありません。
一つの院で診る最大のメリットは、消化器の検査データとSASの検査データを同じ医師が横並びで評価できる点です。たとえば胃カメラで逆流性食道炎が見つかり、同時期に簡易検査でAHI 25(中等症)と判明した場合、「まずCPAPで夜間の陰圧を解消し、そのうえでPPIの必要性を再評価する」という一貫した治療方針を立てられます。
野々市中央院の診療体制
当院では、SASの自宅簡易検査(3割負担で約2,700〜3,000円)のお渡しから結果説明、CPAP処方まで院内で対応しています。胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコー・血液検査といった消化器の検査と合わせて、1回の通院で複数の評価を同時に進められるのが特徴です。ちなみに、簡易検査の機器は小型で、ご自宅で指先と鼻にセンサーをつけて一晩眠るだけで完了します。
家族の気づきが受診のきっかけになる
いびきや無呼吸は本人が気づきにくい
SASの症状は睡眠中に起きるため、ご本人よりもご家族のほうが先に異変に気づくことがほとんどです。「大きないびきが急に止まり、数秒の沈黙のあとにガッと息を吹き返す」——こうした場面を目にしたことがあるなら、一度検査を検討してみてください。
お子さんの健診やご自身の検査のついでに相談できる
野々市市や白山市から通われるご家族のなかには、お子さんの付き添いで来院された際に「実は夫のいびきも気になっていて……」とご相談いただくケースがあります。SAS簡易検査は自宅で行うため、忙しい方でも受けやすい検査です。気になる症状があれば、来院時にお気軽にお声かけください。
よくある質問
- Q. 消化器内科でSASの検査を受けるメリットは何ですか?
- A. 胃カメラや肝機能検査とSASの簡易検査を同じ院で受けられるため、通院の手間が減り、結果を一人の医師が総合的に判断できます。消化器の症状とSASの関連を見落としにくくなる点が大きなメリットです。
- Q. SASの簡易検査はどこで行いますか?
- A. ご自宅で行います。小型のセンサーを指先と鼻に装着し、普段どおりに一晩眠るだけです。翌日以降に機器をクリニックへお返しいただき、後日結果をご説明します。
- Q. 胃カメラ検査中にSASを指摘されることはありますか?
- A. はい。鎮静中に大きないびきをかいたり、酸素飽和度が低下したりした場合、医師がSASの可能性をお伝えすることがあります。確定診断には別途簡易検査やPSG検査が必要です。
- Q. 胸やけの薬が効かないのはSASのせいですか?
- A. 原因はさまざまですが、SASの睡眠中の陰圧が胃酸逆流を悪化させる可能性が報告されています。薬を長期間服用しても症状が残る場合は、SASの検査を一度ご検討ください。
- Q. 家族がいびきを心配していますが、本人に自覚がありません。どうすればよいですか?
- A. SASは睡眠中の症状なので、ご本人が気づかないのは珍しくありません。ご家族と一緒に来院していただければ、問診の際に家族の観察を踏まえた評価が可能です。
- Q. 簡易検査の費用はいくらですか?
- A. 健康保険が適用されます。3割負担の場合、約2,700〜3,000円が目安です。初診料を含めると合計で約3,700〜5,000円程度です。
まとめ
消化器内科がSASを診る理由は、胃カメラの鎮静時の安全確保、治りにくい胸やけや脂肪肝の原因究明、そしてお腹と睡眠を一つの院で横断的に評価できる効率にあります。別々の病院を行き来する負担が減り、治療方針にも一貫性が生まれやすくなります。
ご家族からいびきを指摘された方、胸やけが薬で治まらない方、脂肪肝を繰り返し指摘される方は、消化器の相談とあわせてSASの検査を検討してみてください。野々市中央院では、問診時にお気軽にご相談いただけます。
当院で相談する目安
次のような症状が一つでも当てはまる場合は、消化器内科とSASの両面から評価を受けることをおすすめします。ご家族から「いびきがひどい」「呼吸が止まっている」と指摘されている、PPIなど胃酸を抑える薬を飲んでも胸やけが残る、健診で脂肪肝を繰り返し指摘されている、胃カメラの鎮静で苦しくなった経験がある、朝起きたときに頭が重い・口が渇いている——こうした項目が複数重なる方ほど、SASが隠れている可能性があります。
金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院では、消化器内視鏡専門医・肝臓専門医がSASの評価と消化器の検査を同じ診療の流れのなかで行っています。女性医師も在籍しており、土曜の内視鏡検査にも対応しています。まずは問診だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
いびき・胸やけ・脂肪肝——ひとつの院でまとめて相談できます
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。
参考文献
※本記事テーマに関連する主な参考資料
- 日本呼吸器学会 監修『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂, 2020年
- 日本消化器病学会 編『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)』南江堂, 2021年
- El Hage Chehade N, et al. Association between obstructive sleep apnea and gastroesophageal reflux disease: A systematic review and meta-analysis. J Gastroenterol Hepatol. 2023;38(8):1244-1251. doi:10.1111/jgh.16245. PMID: 37300443 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37300443/
- Li C, et al. Effect of continuous positive airway pressure on gastroesophageal reflux in patients with obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Sleep Breath. 2021;25(3):1203-1210. doi:10.1007/s11325-020-02224-9. PMID: 33118054 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33118054/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-026.html






