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痩せ型でも睡眠時無呼吸?肥満以外の原因と家族が気づくサイン

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痩せているのに睡眠時無呼吸?肥満以外でSASになる原因と家族が気づくポイント

「うちの主人、痩せているのにいびきがひどくて……」。野々市市や白山市にお住まいのご家族から、こうしたご相談をいただくことがあります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「太っている人がなる病気」と思われがちですが、実際には体型に関係なく発症します。この記事では、肥満以外の原因を中心に、ご家族が気づきやすいサインや受診の目安をお伝えします。

この記事で分かること

この記事のポイント

  • SASは肥満だけでなく、あごの骨格や加齢など複数の原因で発症する
  • 日本人はあごが小さい骨格の方が多く、痩せ型でもリスクがある
  • 家族のいびきの「止まり方」に注目すると、無呼吸に気づきやすい
  • 骨格が原因の場合、減量だけでは改善しにくいことがある
  • 自宅でできる簡易検査から診断をスタートできる

「SAS=太っている人」は誤解——なぜ痩せ型でも発症するのか

肥満がリスク要因であることは事実

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因として、肥満がもっとも広く知られています。体重が増えると首やのどの内側にも脂肪がつき、気道(空気の通り道)が狭くなります。筋肉が緩む睡眠中に気道が塞がりやすくなるため、肥満の方にSASが多い傾向があるのは確かです。

痩せていても気道が狭い人がいる

ただし、日本の臨床現場では、BMIが25未満の「普通体型」や「痩せ型」の患者さんも決して珍しくありません。脂肪が少ないのになぜ無呼吸になるのか。その背景には、脂肪の量ではなく「気道の構造そのもの」が関わっています。あごの大きさ、扁桃腺の大きさ、舌の厚みなど、生まれつきの体の構造が原因になるケースがあるのです。日本人の非肥満OSA患者では、骨格構造の問題が主要な要因であることを示す研究も報告されています(Sakakibara H, et al. Eur Respir J. 1999)。

日本人に多い骨格的な原因——あごの大きさと気道の関係

小さいあごと「舌根沈下」のメカニズム

呼吸をするための気道は、のどの奥にあります。この気道の広さを左右するのが、あごの大きさです。あごが小さいと口の中の容積も限られ、舌が収まるスペースが狭くなります。起きているときは筋肉が舌を支えていますが、仰向けで眠ると力が抜け、舌の付け根(舌根)がのどの奥に落ち込みます。これを「舌根沈下」と呼びます。実際には舌だけでなく軟口蓋や周囲の軟部組織も含めた総合的な狭窄が起こりますが、一般的にはこの「舌根沈下」が分かりやすい説明として使われます。

日本人を含むアジア人は、欧米人に比べてあごが小さく後退している傾向があるとされています。そのため、体重が標準でも気道が狭くなりやすく、SASの発症につながる場合があります。日本人のOSA患者103名を対象としたセファロメトリー(頭部X線計測)研究では、肥満よりも小顎が主要なリスク因子であったと報告されています(Endo S, et al. J Med Dent Sci. 2003)。

あごだけではない——扁桃肥大やアデノイド

扁桃腺(口蓋扁桃)やアデノイド(鼻の奥のリンパ組織)が大きい方も、物理的に気道が狭くなります。お子さんの無呼吸の原因として多いのがこのタイプですが、大人でも過去の炎症で肥大が残っている場合は原因になり得ます。

見逃されやすい人の特徴——肥満以外のリスク要因

加齢によるのどの筋力低下

年齢を重ねると全身の筋力が落ちますが、のどの筋肉も例外ではありません。気道を支える力が弱まることで、40代・50代になってから急にいびきがひどくなったり、無呼吸が出始めたりするケースがあります。もともとあごが小さい方は、加齢の影響を受けやすいと考えられます。

飲酒・喫煙・仰向け寝の影響

寝る前のお酒はのどの筋肉をさらに緩め、舌根が落ち込みやすくなります。「お酒を飲んだ日だけいびきがひどい」と家族から指摘される方は、骨格的な素因に飲酒が重なっている可能性があります。喫煙については、のどの粘膜を刺激して炎症やむくみにつながる可能性が指摘されていますが、研究によって結論が分かれており、明確な因果関係は確立されていません。仰向けで眠ると重力で舌がのど奥に沈みやすいため、横向き寝に変えるだけで改善する方もいます。

閉経後の女性もリスクが高まる

女性ホルモン(プロゲステロン)には気道を開く働きがあるとされています。閉経後にホルモンバランスが変わると、体脂肪の分布変化も加わり、SASの発症リスクが上がることが報告されています。「女性だから無関係」と考えず、いびきや日中の眠気がある場合は検査を検討してください。

家族が気づくサイン——「いびきの止まり方」に注目

単純ないびきとSASのいびきの違い

いびきをかく方が全員SASというわけではありません。注意が必要なのは、いびきが急に途切れ、数秒から十数秒の沈黙のあとに「ガッ」「ゴッ」と大きな音で呼吸を再開するパターンです。この沈黙の間、呼吸が止まっています。ご家族から「いびきが止まって怖かった」と言われた経験がある方は、SASの可能性を疑ってみてください。

本人が気づきにくい理由

呼吸が止まるたびに脳は一瞬覚醒しますが、ごく短時間のため本人には記憶が残りません。朝起きたときの頭痛、口の渇き、日中の強い眠気——こうした症状に心当たりがあっても、「年齢のせい」「疲れがたまっているだけ」と片付けてしまう方がほとんどです。ちなみに、家族がスマートフォンで就寝中の音を録音し、診察時に持参されるケースも増えています。こうした記録は診断の参考になります。

痩せ型のSASにはどんな治療が合うのか

減量だけでは解決しないケース

肥満が原因であれば、体重を減らすことで気道への圧迫が軽くなり、症状が改善する可能性があります。しかし、骨格や扁桃肥大が原因の場合、体重が適正であっても解剖学的な気道の狭さは変わりません。「痩せているから大丈夫」ではなく、「痩せているからこそ骨格の問題かもしれない」という視点が大切です。

CPAP・マウスピース・生活習慣改善

SASの治療には主にCPAP療法(鼻マスクで空気を送り気道を開く)、マウスピース(下あごを前に出して気道を広げる)、生活習慣の改善の3つがあります。骨格が原因の方には、あごの位置を調整するマウスピースが合うこともあります。治療法の詳細は睡眠時無呼吸症候群の治療法|CPAP・マウスピースで詳しく解説しています。どの方法が適しているかは、検査結果と原因に応じて医師と相談しながら決めていきます。

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参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

  • 日本呼吸器学会(監修).睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.南江堂;2020(ISBN 978-4-524-24533-8). https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20200730145402.html
  • Sakakibara H, Tong M, Matsushita K, et al. Cephalometric abnormalities in non-obese and obese patients with obstructive sleep apnoea. Eur Respir J. 1999;13(2):403-410. doi:10.1183/09031936.99.13240399
  • Endo S, Mataki S, Kurosaki N. Cephalometric evaluation of craniofacial and upper airway structures in Japanese patients with obstructive sleep apnea. J Med Dent Sci. 2003;50(1):109-120.
  • Jang J-W, et al. Obstructive Sleep Apnea: Pathophysiology and Treatment. Journal of Oral Medicine and Pain. 2024;49(4):71-78. doi:10.14476/jomp.2024.49.4.71

よくある質問

Q. 痩せ型のSASはどうやって見つかることが多いですか?
A. ご家族から「寝ている間に息が止まっている」と指摘されて受診されるケースが最も多いです。ご本人は自覚がないことがほとんどのため、一緒に暮らすご家族の気づきがきっかけになります。
Q. あごが小さいかどうかを自分で確認する方法はありますか?
A. 横顔を見たときにあごが後ろに引っ込んでいる、歯並びが窮屈で重なりがある、下あごより上あごが前に出ている(いわゆる出っ歯傾向)といった特徴がある方は、あごが小さい骨格の可能性があります。正確な評価は歯科や耳鼻咽喉科の専門医が行います。
Q. 骨格が原因の場合、ダイエットしても意味がないのですか?
A. 骨格が原因の場合、体重を減らしても気道の構造は変わらないため、無呼吸が改善しないことがあります。ただし、肥満と骨格の両方が原因になっている場合もあるため、適正体重を維持すること自体は健康管理として大切です。
Q. 子どもでも痩せ型のSASはありますか?
A. あります。お子さんの場合は扁桃腺やアデノイドの肥大が原因になるケースが多く、体型に関係なく発症します。いびき、口呼吸、寝相の悪さが目立つ場合は小児科や耳鼻咽喉科への相談をお勧めします。
Q. 自宅でできる簡易検査とはどのようなものですか?
A. 指先と鼻にセンサーをつけて、いつもどおり眠るだけの検査です。血中酸素濃度や呼吸の状態を一晩記録します。入院の必要はなく、痛みもありません。検査の具体的な手順はこちらの記事で紹介しています。
Q. 女性でもSASの検査を受けたほうがよいですか?
A. はい。特に閉経後はホルモンバランスや体脂肪分布の変化でSASのリスクが高まります。当院には女性医師も在籍していますので、安心してご相談ください。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は肥満の方だけがなる病気ではなく、あごの骨格、扁桃肥大、加齢による筋力低下など、体の構造や変化によって痩せ型の方にも発症します。日本人はあごが小さい骨格の方が多いため、体重が標準でも油断はできません。「痩せているから関係ない」と思い込まず、ご家族のいびきのパターンや日中の眠気に注意を向けてみてください。

骨格が原因の場合は減量だけでは改善しにくいことがありますが、CPAP療法やマウスピースなど、原因に合わせた治療法があります。気になる症状がある方は、早めに消化器内科・睡眠外来へご相談ください。

当院で相談する目安

ご家族から「いびきの途中で息が止まっている」と指摘されている方、日中の強い眠気や朝の頭痛が続いている方は、一度検査を受けてみてください。体型が痩せ型や標準体型の方でも、あごが小さい、扁桃腺が大きいといった構造的な原因でSASを発症している場合があります。当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院)では、自宅での簡易検査からCPAP療法の導入・継続管理まで一貫して対応しています。女性医師も在籍しており、土曜日の診療にも対応していますので、ご家族そろってのご相談も可能です。野々市市・金沢市・白山市・能美市方面からもお越しいただけます。

痩せ型でも安心できないSAS——まずは自宅でできる簡易検査から

まずはお気軽にご相談ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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