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脂肪肝はCTとエコーで映り方が違う?画像検査を専門医が解説

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脂肪肝はCTとエコーで映り方が違う?画像検査を専門医が解説

「健診のエコーで脂肪肝と言われたけど、CTも受けたほうがいいのだろうか」——そんな相談を、野々市市や白山市にお住まいのご家族連れの方からいただくことがあります。お子さんの健診ついでにご自身の結果を見返して、肝臓の指摘に気づくケースも珍しくありません。

この記事では、脂肪肝がエコーやCTでどのように映るのか、それぞれの画像検査の特徴と使い分け、そして精密検査が必要になる場面について整理します。

この記事で分かること

この記事のポイント

  • 脂肪肝がエコー検査で白く映る理由(肝腎コントラスト・bright liver)
  • CT検査で脂肪肝が「暗く」映るしくみとCT値の目安
  • エコーとCTの得意・不得意を比較した使い分けの考え方
  • フィブロスキャンで肝臓の硬さと脂肪量を数値化できること
  • 精密検査(CT・MRI)が必要になるケースの目安

エコー検査で脂肪肝はどう見えるか

肝臓が白く光る「bright liver」

腹部エコー検査で脂肪肝が疑われるとき、最も特徴的なのは肝臓の輝度が上がって白っぽく見える所見です。日本超音波医学会の診断基準では、この状態を「高輝度肝(bright liver)」と呼びます。肝細胞のなかに中性脂肪が蓄積すると超音波が強く反射されるため、画面上で肝臓全体が明るく映ります。

肝腎コントラストで脂肪の蓄積を判断する

エコー画像では、隣り合う肝臓と右腎臓の明るさの差(肝腎コントラスト)が脂肪肝の評価指標になります。正常な肝臓と腎臓はほぼ同じ明るさに見えますが、脂肪肝では肝臓だけが白く際立ちます。このコントラストの程度によって軽度・中等度・高度の3段階に分類するのが一般的です。

深部のエコー信号が減衰して肝臓の奥のほうが暗く映る「深部減衰」や、肝内の血管が見えにくくなる「血管不明瞭化」も、中等度以上の脂肪肝で観察されやすい所見です。ただし、体格や装置の設定条件によって見え方が変わる場合があるため、所見の解釈は経験豊富な医師・技師に任せるのが安心です。

エコー検査の長所と限界

エコーは放射線を使わず、痛みもなく、10〜15分ほどで終わるため、脂肪肝のスクリーニングに最も適した検査です。繰り返し受けやすいので、経過観察にも向いています。一方で、検査する医師や技師の技量に結果が左右されやすいこと、体格や腸管ガスの影響で肝臓全体が観察しづらいケースがあることは知っておいてください。

CT検査で脂肪肝はどう映るのか

肝臓が暗く映る理由——CT値の低下

CTでは、組織のX線吸収量を数値(CT値、単位はHU)で表します。正常な肝臓のCT値はおおむね50〜65HU程度で、脾臓よりやや高い値を示します。脂肪は水や筋肉に比べてX線を吸収しにくいため、脂肪が蓄積した肝臓はCT値が下がり、画像上で暗く(低吸収に)映ります。

肝脾CT値比で脂肪肝を評価する

脂肪肝の程度を客観的に評価する方法として、肝臓と脾臓のCT値を比較する手法があります。単純CTで肝臓のCT値が脾臓を下回る場合(肝脾CT値比が1未満)、中等度以上の脂肪沈着が示唆されます。文献によって閾値には幅がありますが、CT値が40HU以下であれば高度脂肪肝の可能性がある目安とされています。

CTの強みと注意点

CT検査は短時間で腹部全体を撮影でき、検査者の技量に左右されにくい点が強みです。肝臓だけでなく、膵臓・胆嚢・脾臓・腎臓もまとめて評価できるため、腫瘍や胆石など脂肪肝以外の病変を同時に確認したいときに役立ちます。

ただし、放射線被ばくがあるため、脂肪肝のスクリーニング目的だけで繰り返し撮影することは推奨されていません。軽度の脂肪肝では肝臓と脾臓のCT値差が小さく、検出が難しい場合もあります。

エコーとCTの使い分け——何が違い、どちらが先か

役割の違いを整理する

脂肪肝の画像検査を検討するとき、「エコーとCTのどちらを受ければいいか」と迷う方は多いです。結論から言えば、まずエコーで評価し、必要に応じてCTやMRIを追加するのが標準的な流れです。NAFLD/NASH診療ガイドライン2020でも、腹部エコーが脂肪肝のスクリーニングの第一選択として推奨されています。

比較項目 エコー(腹部超音波) CT
脂肪肝の検出 中等度以上で感度が高い 中等度以上の脂肪沈着に有用
軽度脂肪肝の検出 検出可能だが主観的判断を含む 軽度では検出しにくいことがある
放射線被ばく なし あり
検査時間 10〜15分 5〜10分
繰り返しの検査 適している 必要最小限が望ましい
腫瘍の検索 可能(体格の影響を受けやすい) 広範囲を客観的に評価しやすい
線維化の評価 エコー単独では難しい CT単独では難しい

CTが追加で検討される場面

エコーで脂肪肝の評価が終わったあと、CTが追加されるのは主に次のような場面です。エコーで肝臓に腫瘤(しこり)が見つかり、良性か悪性かを調べたいとき。エコーでは体格の影響で肝臓の一部が観察しにくかったとき。肝硬変の有無や脾腫・腹水を客観的に確認したいとき。こうした判断は担当医が行いますので、「CTを受けるべきかどうか」は自己判断せず、まず診察を受けてご相談ください。

フィブロスキャンで肝臓の硬さと脂肪量を数値化する

エコーやCTではわからない「硬さ」を測る

脂肪肝で最も注意したいのは、肝臓の「線維化」が進んでいないかどうかです。線維化とは肝臓が硬くなる変化で、進行すると肝硬変や肝がんのリスクが高まります。エコーやCTは脂肪の蓄積を映し出せますが、肝臓の硬さを正確に評価するのは得意ではありません。

フィブロスキャン(FibroScan)は、体の表面から超音波と振動波を当てて肝臓の硬さ(線維化の進行度)と脂肪量を数値で示す検査機器です。検査は5〜10分ほどで、針を刺す必要がなく痛みもありません。

当院のフィブロスキャン検査について

当院(野々市中央院)はフィブロスキャンを導入しています。石川県内でもこの機器を導入している医療施設は限られており、脂肪肝の精密評価に力を入れている当院の特長のひとつです。野々市市・金沢市・白山市・能美市からお越しの方が多く、健診で脂肪肝を指摘された方の精密検査としてご活用いただいています。詳しくはフィブロスキャン検査の専用ページをご覧ください。

精密検査が必要なのはどんなとき?

採血結果と画像所見を組み合わせて判断する

脂肪肝の精密検査をどこまで行うかは、エコーやCTの画像所見だけでなく、採血で得られる肝機能データやFIB-4 index(年齢・AST・ALT・血小板数から算出する線維化スクリーニングスコア)を総合して判断します。FIB-4 indexや追加の採血検査については、「健診で脂肪肝・肝機能異常|次にすべき検査と受診目安」で詳しくまとめていますのであわせてお読みください。

早めに受診してほしい状態

日本肝臓学会の「奈良宣言」(2023年)では、健診などでALTが30 U/Lを超えている場合にかかりつけ医への受診が推奨されています。加えて、糖尿病や肥満、脂質異常症を合併している方は脂肪肝が進行しやすいため、画像検査と採血を定期的に受けておくと安心です。皮膚や白目の黄染(黄疸)、強いだるさ、右上腹部の痛みなどが出ている場合は、脂肪肝の進行や別の肝胆道疾患の可能性を考え、早急に医療機関を受診してください。

よくある質問

Q. 脂肪肝の検査はエコーとCTのどちらを先に受けるべきですか?
A. まずエコー検査を受けるのが一般的です。放射線被ばくがなく、脂肪肝のスクリーニングとして診療ガイドラインでも推奨されています。CTはエコーで腫瘤が見つかった場合や、体格の影響でエコーの観察が難しかった場合に追加で検討されます。
Q. エコーで「脂肪肝」と言われましたが、CTも受ける必要がありますか?
A. 脂肪肝の評価だけであれば、エコーで十分な場合がほとんどです。ただし、エコーで腫瘤(しこり)が見つかった場合や、肝硬変の可能性を調べたい場合はCTやMRIが追加されることがあります。担当医と相談してください。
Q. CT検査で脂肪肝の程度はどこまでわかりますか?
A. 単純CT(造影剤を使わないCT)では、肝臓と脾臓のCT値を比較して中等度以上の脂肪沈着を評価できます。ただし、軽度の脂肪肝ではCT値の差が小さく検出しにくいことがあり、線維化の程度まではCT単独では判断が難しいです。
Q. フィブロスキャンはどのような方が受けるとよいですか?
A. 脂肪肝を指摘されている方のうち、肝臓の線維化(硬さ)のリスクを調べたい方に適しています。FIB-4 indexが中間値(1.3〜2.67)以上の方や、糖尿病・肥満を合併している方は、一度フィブロスキャンで評価を受けておくと安心です。
Q. 検査費用の目安はどのくらいですか?
A. 保険適用の有無や検査内容によって異なります。費用について詳しくは、診察時にお尋ねいただくか、CT検査の費用に関する記事もご参考ください。
Q. 睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝に関係があると聞きましたが本当ですか?
A. 近年の研究で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)による夜間の低酸素状態が脂肪肝(MASLD)の進行に関与する可能性が報告されています。食事や運動を見直しても肝機能が改善しにくい場合、SASの検査を検討する価値があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

脂肪肝の画像検査では、エコーとCTでそれぞれ映り方が異なります。エコーでは肝臓が白く光り(bright liver)、肝腎コントラストの差で脂肪の蓄積を評価します。CTでは逆に肝臓が暗く映り、肝脾CT値比で脂肪沈着の程度を客観的に数値化できます。脂肪肝のスクリーニングにはまずエコーが第一選択であり、CTは腫瘤の精査や広範囲の評価が必要な場合に追加で検討されます。

画像検査で脂肪の蓄積がわかっても、肝臓の硬さ(線維化)まではエコーやCT単独では評価が難しいため、フィブロスキャンなどの追加検査を組み合わせて総合的に判断します。気になる検査結果がある方は、早めに消化器内科へご相談ください。

当院で相談する目安

健診で脂肪肝を指摘された方、エコーやCTの結果が気になる方、肝機能の値が基準を超えている方は、精密検査をご検討ください。当院(野々市中央院)は腹部エコー・院内CT・フィブロスキャンに対応しており、採血と画像検査を同日に実施できます。女性医師の診察も可能ですので、ご希望の方は予約時にお申し付けください。野々市市・金沢市・白山市・能美市など、お車でお越しの方に便利な駐車場も完備しています。

肝臓の画像検査が気になったら——エコー・CT・フィブロスキャンに対応

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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