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SASのマウスピース治療は誰に向いている?CPAPとの比較

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睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療(OA)はどんな人に合う?|CPAPとの違いと選び方

「睡眠時無呼吸症候群と診断されたけれど、CPAPとマウスピース、どちらを選べばいいのかわからない」——当院にもこうしたご相談が増えています。ご家族に「いびきがひどい」と指摘されて検査を受けたものの、治療の選択肢を前にして迷ってしまう方は少なくありません。

治療法の大まかな種類については睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を解説した記事でもお伝えしていますが、この記事では「マウスピース治療(OA)がどんな方に向いているか」にテーマを絞り、CPAPとの具体的な違い、歯科との連携の流れ、保険適用の条件まで整理しました。野々市市・金沢市・白山市にお住まいで治療選びに迷っている方の参考になれば幸いです。

この記事で分かること

この記事のポイント

  • マウスピース治療(OA)は主に軽症〜中等症の睡眠時無呼吸症候群の方に適応があります
  • CPAPとマウスピースでは仕組み・対象となる重症度・装着感・携帯性が異なります
  • 歯科でつくる医療用マウスピースと市販品は別物です
  • 保険適用には医科での診断と歯科への紹介状が必要です
  • どちらの治療が合うかは、AHIの数値・骨格・生活環境をふまえて医師と相談して決めます

マウスピース治療(OA)の仕組みと対象

下あごを前に出して気道を広げる

マウスピース治療で使われるのは、口腔内装置(OA:Oral Appliance)と呼ばれる医療用のマウスピースです。就寝時に装着すると、下あごが数ミリ前方に固定されます。すると舌の付け根も一緒に前へ引き出され、喉の奥に空気の通り道ができます。

電源も機械も必要なく、装着したまま寝るだけ。ポーチに入る大きさなので旅行にも持っていけます。CPAPのように毎晩マスクをつけて機械から空気を送り込む治療とは、見た目も感覚もかなり異なります。

対象はおもに軽症〜中等症(AHI 30未満)

日本呼吸器学会のSAS診療ガイドライン2020では、OAの適応は主に軽症〜中等症(AHI 5以上30未満)の閉塞性睡眠時無呼吸とされています。重症(AHI 30以上)の方にはCPAP療法が第一選択です。ただし、CPAPがどうしても使えない場合に「次善の選択肢」としてOAが検討されるケースはあります。

ちなみに、AHI(無呼吸低呼吸指数)は検査で算出される数値で、「1時間あたりに呼吸が止まったり浅くなったりした回数」を意味します。ご自身のAHIがわからない方は、まず自宅でできるSAS簡易検査から始めてみてください。

CPAPとマウスピース——何がどう違うのか

治療の仕組みの違い

CPAPは鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を内側から風圧で押し広げる治療です。物理的に気道をこじ開けるイメージで、重症の方にも高い効果が期待できます。一方、OAは下あごの位置を変えることで気道の「塞がりやすさ」自体を減らすアプローチです。力ずくではなく、骨格の位置関係を調整する方法といえます。

装着感・携帯性・費用の比較

比較項目 CPAP マウスピース(OA)
仕組み 空気圧で気道を確保 下あごを前方に固定して気道を広げる
おもな対象 中等症〜重症(AHI 15以上を中心に) 軽症〜中等症(AHI 5〜30未満)
装着感 鼻マスク+送風に慣れが必要 歯型に合った装置を口にはめる
携帯性 電源・機器の持ち運びが必要 ポーチに入るサイズ、電源不要
送風音あり(近年は静音化) なし
月額費用(3割負担目安) 約4,500〜5,000円(レンタル+月次管理) 作製時に約1万円前後、その後は調整費のみ
通院頻度 月次の管理が基本(オンライン診療併用可) 作製後は数か月ごとの定期確認

費用面だけを見るとOAのほうが負担が少なく感じるかもしれません。ただし、OAは重症の方への効果が限定的です。「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、ご自身の重症度に合った治療を選ぶことが何より大切です。

マウスピース治療が向いている方・向いていない方

こんな方にOAが候補になります

OAが治療の選択肢に入りやすいのは、以下のような方です。AHIが軽症〜中等症の範囲であること、CPAPの装着に強い抵抗があること(マスクの閉塞感で眠れないなど)、出張や旅行が多く機器の持ち運びが負担になること、いびきが主な悩みで日中の眠気はそこまで強くないこと。こうした条件に複数当てはまる場合は、医師に「マウスピース治療も検討したい」と伝えてみてください。

OAの効果が出にくいケースもある

重症の閉塞性睡眠時無呼吸(AHI 30以上)の方は、OAだけでは気道閉塞を十分に防ぎきれない場合があります。また、残っている歯の本数が少ない方や、顎関節に痛みのある方は装置を安定させにくいため、歯科医師と相談が必要です。肥満の度合いが強い方は、喉の周囲だけでなく舌自体にも脂肪がつくため、下あごの位置を変えただけでは効果が不十分になることがあります。

「自分にはどちらが合うのだろう」と迷ったまま治療を先延ばしにしている方がいらっしゃいます。大切なのは、検査結果のAHIと骨格の状態をもとに医師と一緒に判断することです。合わなければ途中で治療法を変更する選択もあります。

保険適用でOAをつくる流れ——医科と歯科の連携

ステップ1:医科で睡眠時無呼吸症候群の診断を受ける

OAを保険適用でつくるには、まず医科(内科や耳鼻咽喉科など)で睡眠時無呼吸症候群の確定診断を受ける必要があります。当院では自宅でできる簡易検査を行い、AHIをもとに重症度を判定します。

ステップ2:歯科への紹介状を発行

OAが適応と判断された場合、医科から歯科へ紹介状(診療情報提供書)を発行します。この紹介状がないと、歯科でのOA作製は保険適用になりません。市販の「いびき防止マウスピース」とは根本的に違い、医科での診断→歯科での作製という二段階の手順を踏むことが保険適用の条件です。

ステップ3:歯科で型取り・装着・調整

歯科では歯型をとり、噛み合わせや下あごの前方移動量を調整しながら装置を作製します。完成後は実際に装着して微調整を行い、フィッティングを確認します。装着後に顎の痛みや違和感が出た場合も、歯科で調整できます。作製には通常2〜3回の通院が必要です。

当院では野々市市・金沢市・白山市の連携歯科医院へご紹介しています。紹介先について気になることがあれば、受診時にお尋ねください。

「合わなかったらどうしよう」——治療変更という選択肢

OAからCPAPへの移行

OAを使い始めたものの、いびきや日中の眠気が十分に改善しない場合は、CPAPへの切り替えを検討します。再度検査を行い、OA装着下での残存AHIを確認したうえで判断します。OAを試したこと自体は無駄にはなりません。「自分にはCPAPのほうが合う」という確信が持てるだけでも、治療の継続率は変わります。

CPAPが続かない方のOAへの移行

逆のパターンもあります。CPAPを始めたものの、マスクの違和感で毎晩外してしまう方、出張が多く機器の持ち運びが負担になっている方は、OAへの変更が有効なことがあります。CPAPの継続に困っている方はCPAP治療が続かない原因と習慣化のコツもあわせてお読みください。機器の調整で解決する場合もありますし、それでも難しければOAへの切り替えを相談できます。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

よくある質問

Q. マウスピース治療は軽症でないと受けられませんか?
A. 軽症〜中等症(AHI 5〜30未満)が主な適応ですが、CPAPがどうしても使えない重症の方に医師の判断で適用されるケースもあります。まずは検査で重症度を確認したうえで、ご相談ください。
Q. ドラッグストアの「いびき防止マウスピース」で代用できますか?
A. 市販品はSAS治療を目的としたものではなく、噛み合わせや顎関節への影響を管理できません。SAS治療用のOAは医科での診断→歯科での型取り・調整というプロセスを経てつくるもので、効果も安全性も異なります。
Q. マウスピースを使い始めたら顎が痛くなりませんか?
A. 装着初期に顎関節や歯に違和感を覚える方はいます。ただし、歯科で下あごの移動量やフィッティングを調整することで、多くの場合は軽減できます。痛みが続く場合は無理に使い続けず、歯科医師に相談してください。
Q. OAの保険適用の条件を教えてください。
A. 医科で睡眠時無呼吸症候群と診断され、OAが適応と判断されたうえで、医科から歯科へ診療情報提供書(紹介状)が発行されていることが条件です。保険適用の対象は、上顎・下顎に装着して1装置として用いる口腔内装置です。3割負担の場合、装置の作製費は約1万円前後が目安ですが、初診料や調整費を含めるとやや上回ることもあります。
Q. CPAPとOAを併用する方もいるのですか?
A. 普段はCPAPを使い、出張や旅行のときだけOAを使うという方は実際にいらっしゃいます。CPAPの持ち運びが難しい場面でOAがあると安心感につながります。ただし、OAは主治医と歯科医師の両方に相談して用意してください。
Q. 家族と一緒に受診してもよいですか?
A. はい。「いびきがひどい」「息が止まっている」と気づくのはご家族であることが多いため、ご一緒にお越しいただけると診察の参考になります。当院は野々市市にあり、土曜日も診療を行っていますので、ご家族そろってのご相談も可能です。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群の治療はCPAPだけではありません。軽症〜中等症の方や、CPAPの装着がどうしても難しい方にとって、マウスピース治療(OA)は有力な選択肢です。電源不要で持ち運びがしやすく、音もしないという日常面でのメリットがある一方、重症の方には効果が不十分な場合もあるため、AHIの数値や骨格の状態をもとに医師と一緒に判断することが大切です。

「どちらが自分に合うのか」を迷ったまま治療を先送りするのが、いちばんもったいないことです。まずは検査で現状を把握し、選択肢を知るところから始めてみてください。気になる症状がある方は、お気軽に消化器内科へご相談ください。

当院で相談する目安

ご家族からいびきや無呼吸を指摘されている方、日中に強い眠気が続く方、「CPAPとマウスピースのどちらが合うか知りたい」という方は、一度ご相談ください。当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院)では、自宅での簡易検査からCPAP療法の導入、マウスピース治療のための歯科紹介まで一貫して対応しています。女性医師も在籍しており、土曜日の検査にも対応しています。野々市市・金沢市・白山市をはじめ、能美市や小松市からもお越しいただきやすい立地です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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