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クローン病の初期症状チェック|10〜20代の下痢・腹痛は要注意

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クローン病の初期症状を見逃さないために|若年層が押さえたいサインと受診の目安

健診をきっかけに来院されたご家族から、「うちの子、もう半年くらいお腹の調子が悪いんです」と相談を受けることがあります。10代・20代の方に長引く下痢や腹痛が続くとき、その原因のひとつとしてクローン病が隠れている場合があります。この記事では、クローン病の初期に現れやすいサインと、受診を考える目安を消化器専門医の視点で整理しました。

動画で見る|5年間の下痢・腹痛に悩んだ20歳の大腸カメラ検査

当院の女性内視鏡医が、5年間にわたり下痢と腹痛を抱えていた20歳の患者さんに大腸カメラ検査を行い、原因を追究する様子を紹介した動画です。若年層の腸の不調がどのように精査されるのか、検査の雰囲気を知りたい方はぜひご覧ください。

この記事で分かること

  • クローン病が若年層に多い理由と、初期に現れやすい症状の特徴
  • 「ただの下痢」と見過ごしやすいサインの見分け方
  • 過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎との違い
  • 大腸カメラ検査で分かることと検査の流れ
  • 受診を検討すべきタイミングの具体的な目安

クローン病とはどんな病気か|若い世代に多い理由

消化管全体に炎症が及ぶ慢性疾患

クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも慢性的な炎症や潰瘍が生じ得る病気です。特に小腸の末端(回腸)と大腸に病変が集中しやすく、腸の壁の深い層にまで炎症が及ぶ点が特徴です。厚生労働省の指定難病に認定されており、2023年度の特定医療費受給者証保持者数は52,108人に達しています(難病情報センター公表データ)。

10〜20代が発症のピーク

難病情報センターによると、クローン病の発症年齢は男性で20〜24歳、女性で15〜19歳が最も多いとされています。男女比は約2:1で男性にやや多い傾向です。かつては欧米に多い病気とされていましたが、食生活の変化などを背景に日本国内でも患者数は増加傾向にあります。

若い世代に多いからこそ、「若いから大丈夫」と思いがちです。けれど、発症のピークがまさにこの年代であることを知っておくと、長引く腹部の不調を放置しにくくなります。

見逃しやすいクローン病の初期サイン

慢性的な下痢と腹痛

クローン病の初期で最も多い訴えは、下痢と腹痛です。回腸末端に病変があると右下腹部に痛みを感じやすく、食後に悪化する傾向があります。「お腹が弱い体質だから」と自己判断してしまうケースが少なくありません。

市販の整腸剤や下痢止めで一時的に落ち着いたとしても、数週間〜数か月単位で症状が繰り返されるようであれば、消化器内科での精査を検討してください。

体重減少と栄養不良

小腸に炎症が広がると栄養の吸収がうまくいかなくなり、食事量が減っていないにもかかわらず体重が落ちることがあります。成長期の10代であれば、身長の伸びが鈍くなる「成長障害」として現れる場合もあります。お子さんの体重が減っている、あるいは同年代に比べて成長が遅れていると感じたら、一度検査を受けておくと安心です。

肛門まわりの異常

クローン病では、肛門周囲に痔ろう(膿のトンネル)や潰瘍ができることがあります。若い方で繰り返し肛門の痛みや腫れが出る場合は、単なる痔ではなくクローン病の肛門病変の可能性も考えられます。消化器症状がなくても肛門症状だけが先行するケースがあるため、注意が必要です。

似た症状の病気との見分け方|過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎との違い

過敏性腸症候群(IBS)との違い

10代・20代で腹痛や下痢が続くと、まずIBSを疑われることが多いです。IBSは大腸カメラで明らかな炎症や潰瘍が見つからない機能的な疾患です。一方、クローン病では内視鏡で潰瘍や粘膜のただれが確認されます。IBSとの決定的な違いは「腸の粘膜に目に見える病変があるかどうか」です。

血便や体重減少、発熱を伴う場合はIBSでは説明がつきにくい症状です。こうした症状があればクローン病を含む器質的疾患を疑い、大腸カメラによる直接観察が必要になります。

潰瘍性大腸炎との違い

潰瘍性大腸炎もクローン病と同じ炎症性腸疾患(IBD)に分類されますが、炎症の範囲や深さに違いがあります。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に限局した炎症であるのに対し、クローン病は消化管全域に及び、腸壁の深い層まで侵されます。治療方針も異なるため、内視鏡検査と病理検査による正確な鑑別が大切です。

当院の疾患ページでは、潰瘍性大腸炎とクローン病の違いをさらに詳しく解説しています。潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性腸疾患)の原因と治療法もあわせてご参照ください。

大腸カメラで何が分かるのか|検査の流れと当院の対応

内視鏡で確認する特徴的な所見

クローン病では、縦走潰瘍(縦方向に走る深い潰瘍)や敷石像(潰瘍と浮腫状の粘膜が交互に並ぶ状態)、病変が飛び飛びに現れる不連続性病変などが内視鏡で確認されます。必要に応じて組織を採取し、病理検査で肉芽腫の有無を調べることで確定診断に近づきます。

鎮静剤を使った苦痛配慮の検査

「大腸カメラは痛そう」というイメージから検査をためらう方が少なくありません。当院では鎮静剤を使用し、ウトウトした状態で検査を受けていただけます。検査中の苦痛を軽減する工夫に加え、大学病院レベルの高精細内視鏡システムを導入しており、微細な病変の観察にも対応しています。

女性医師による検査も可能ですので、お気軽にお申し付けください。土曜日の検査枠や早朝枠(8〜9時)も設けていますので、学校や仕事との調整もしやすい体制です。

受診を検討してほしいタイミング|家族で確認したいチェックポイント

こんな症状が続いたら相談を

以下の症状が2週間以上続く場合や繰り返される場合は、消化器内科への受診をご検討ください。

症状注意すべきポイント
下痢が2週間以上続く市販薬で改善しない場合は精査が必要
腹痛(特に右下腹部)食後に悪化する傾向があればクローン病の可能性
血便・粘液便IBSでは通常みられない症状
体重が1か月で2kg以上減った食事量に変化がないのに減る場合は要注意
発熱が数日以上続く腸の炎症が強いサインの可能性
肛門周囲の腫れ・痛みの繰り返し痔ろうなどクローン病の肛門病変の可能性

家族が気づけるサイン

お子さん自身は「お腹が弱いだけ」と深刻に受け止めないことがあります。食事の量が減っている、トイレの回数が明らかに多い、体重が増えない(あるいは減っている)といった変化に家族が気づくことで、早期受診につながるケースは少なくありません。野々市市・白山市・能美市など近隣にお住まいで、ご家族の腸の不調が気になる方はお気軽にご相談ください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

よくある質問

Q. クローン病は治る病気ですか?
A. 現時点では完治に導く治療法は確立されていませんが、薬物療法や栄養管理で炎症を抑え、症状のない「寛解」の状態を長く維持できるようになっています。厚生労働省の指定難病として医療費助成制度も利用可能です。
Q. 10代でも大腸カメラは受けられますか?
A. 年齢の制限はありません。当院では鎮静剤を使い、苦痛を抑えた状態で検査を行います。保護者の方と相談しながら検査を進めますので、安心してご来院ください。
Q. クローン病の検査費用はどのくらいですか?
A. 大腸カメラ検査は保険適用で受けられます。費用は観察のみか組織採取を行うかなど検査内容によって異なりますので、詳しくは受付までお問い合わせください。
Q. 下痢が続いていますが、血便はありません。クローン病の可能性はありますか?
A. クローン病の初期では血便を伴わないケースも珍しくありません。下痢が2週間以上続く場合や、腹痛・体重減少を伴う場合は、大腸カメラでの精査をおすすめします。
Q. クローン病と診断された場合、食事で気をつけることはありますか?
A. 動物性脂肪の多い食事が腸の炎症に影響する可能性が指摘されていますが、個人差が大きく、一律に「これを避ければよい」とは言い切れません。主治医や管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事を見つけていくことが大切です。
Q. 家族にクローン病の人がいると発症リスクは上がりますか?
A. クローン病は遺伝病ではありませんが、家系内での発症が報告されており、遺伝的な素因の関与が考えられています。家族歴がある方で腸の不調が続く場合は、早めの受診をご検討ください。

まとめ

クローン病は10〜20代の若い世代に発症しやすく、慢性的な下痢や腹痛、体重減少、肛門周囲のトラブルなどが初期サインとして現れます。「お腹が弱い体質」と片づけてしまいがちな症状ですが、数週間以上続く場合は大腸カメラ検査による精査が早期診断につながります。過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎との鑑別も内視鏡で確認できます。

クローン病は早期に治療を開始するほど、腸のダメージを抑えて寛解を維持しやすくなります。ご本人だけでなくご家族が気づいた変化も大切な手がかりです。気になる症状がある方は、早めに消化器内科へご相談ください。

当院で相談する目安

2週間以上続く下痢や腹痛、原因不明の体重減少、繰り返す肛門周囲の腫れ・痛みなどがある場合は、一度消化器内科で相談されることをおすすめします。当院(野々市中央院)は鎮静剤を使った苦痛配慮の大腸カメラ検査に対応しており、女性医師による検査もお選びいただけます。土曜日の検査枠や早朝枠も設けていますので、ご家族の予定に合わせて受診しやすい体制です。野々市市・白山市・能美市など近隣にお住まいの方はお気軽にお電話またはWEB予約をご利用ください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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