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潰瘍性大腸炎の初期症状と検査|血便・下痢を見逃さないために

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潰瘍性大腸炎とは? 初期症状の見分け方と大腸カメラ検査・治療を専門医が解説

「健診で便に血が混じっていると言われた」「最近、下痢が続いていて不安」──こうした相談は、野々市市や白山市にお住まいの方からも多く寄せられます。血便や下痢が長引く場合に考えられる病気のひとつが、潰瘍性大腸炎です。この記事では、潰瘍性大腸炎の症状や検査方法、治療の流れから日常生活で意識したいポイントまで、消化器内視鏡専門医の立場で整理しました。

【動画】大腸カメラで発見された難病の実際の検査映像

当院の女性内視鏡医が、実際の大腸カメラ検査で潰瘍性大腸炎を疑う所見を発見した際の映像と、検査にかける想いを語った動画です。検査の雰囲気を知りたい方はぜひご覧ください。

この記事で分かること

この記事のポイント

  • 潰瘍性大腸炎がどのような病気で、なぜ早期発見が大切なのか
  • 血便・下痢・腹痛など、見逃しやすい初期の症状
  • 大腸カメラ検査で確認できる所見と診断の流れ
  • 薬物療法を中心とした治療の基本と寛解維持の考え方
  • 家族で取り組める食事・生活の工夫

潰瘍性大腸炎ってどんな病気?

大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる難病

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍が繰り返しできる慢性の炎症性腸疾患です。厚生労働省が指定する難病(指定難病97)のひとつで、発症の原因はまだ完全には解明されていません。免疫の異常が深く関わっていると考えられており、遺伝的な素因や腸内細菌のバランス、食生活などが複合的に影響するとされています。

「難病」と聞くと不安が大きくなるかもしれません。ただ、適切な治療で炎症をコントロールできれば、発症前とほとんど変わらない日常生活を送れる方が多い病気でもあります。

症状が落ち着く「寛解期」と悪化する「活動期」

潰瘍性大腸炎には、症状が落ち着いている寛解期と、血便や下痢が強まる活動期があります。この二つを繰り返す点が特徴で、寛解期に「治った」と自己判断して治療を中断すると、再燃(症状の再発)を招きやすくなります。治療を続けることで寛解期を長く維持し、活動期の回数や重症度を抑えることが目標です。

クローン病との違い

同じ炎症性腸疾患に分類されるクローン病は、口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が起こりうる点が潰瘍性大腸炎と異なります。潰瘍性大腸炎の炎症は大腸に限られ、直腸から口側へ連続して広がる傾向があります。治療法にも違いがあるため、大腸カメラ検査などで正確に鑑別することが大切です。詳しくは当院の潰瘍性大腸炎・クローン病のページもあわせてご覧ください。

見逃しやすい初期の症状

血便──便に赤い血が混じる

潰瘍性大腸炎でもっとも特徴的な症状は血便です。粘膜が炎症を起こして傷つくと、便に鮮やかな赤い血液や粘液が混じります。痔と勘違いして放置するケースも少なくありませんが、粘液の混じったベタついた血便は腸の炎症を示唆するサインです。

長引く下痢と腹痛

1日に何度もトイレに駆け込む下痢が数週間以上続く場合は、潰瘍性大腸炎の可能性があります。腹痛は排便前に強まり、排便後にいったん軽くなるパターンが多いものの、炎症が広がると持続的な痛みになることもあります。

「ストレスのせいだろう」と思い込む方もいますが、血便を伴う下痢は過敏性腸症候群(IBS)では通常みられません。ここが受診を検討する大きな分かれ目です。

体重減少・倦怠感・貧血

下痢が続くと水分や栄養の吸収が低下し、体重が減ったり疲れが抜けにくくなったりします。出血量が増えると貧血に至ることもあります。こうした全身症状は炎症の範囲が広い場合に顕著です。

大腸カメラ検査でわかること

内視鏡で粘膜を直接観察する意義

潰瘍性大腸炎の確定診断に欠かせないのが大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)です。カメラで大腸の内側を直接映し出し、粘膜の赤み・びらん・潰瘍の広がりをリアルタイムで確認します。炎症が直腸から連続して口側へ広がっているかどうかは、潰瘍性大腸炎を他の疾患と区別する重要な手がかりです。

当院では高精細な最新内視鏡システムを使用し、経験豊富な消化器内視鏡専門医が検査を担当しています。鎮静剤を使った苦痛に配慮した検査にも対応しているため、初めての方も安心してお受けいただけます。

組織を採取して病理検査を行う

大腸カメラ検査中に疑わしい部位が見つかれば、粘膜の一部を採取(生検)して顕微鏡で調べます。炎症細胞の種類や浸潤の深さを確認することで、潰瘍性大腸炎なのか、感染性腸炎や大腸がんなど別の病気なのかを区別できます。

検査前の準備と所要時間

検査前日は消化のよい食事をとり、当院の前処置案内に従って食事制限と腸管洗浄液の服用を行います。当院では院内で下剤を服用できる環境を整えており、自宅での準備に不安がある方にも配慮しています。検査自体は通常15〜30分程度ですが、処置内容や腸の状態によって前後します。

治療の基本と寛解維持のコツ

活動期の炎症を抑える薬物療法

治療の中心は5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤です。大腸粘膜の炎症を直接抑える働きがあり、活動期だけでなく寛解期の維持療法としても用いられます。炎症が強い時期にはステロイドを短期間使って症状を素早く落ち着かせ、状態に応じて免疫調整薬や生物学的製剤を検討する場合もあります。

寛解を長く保つために

症状が消えても自己判断で薬をやめないことが再燃予防の基本です。定期的な通院と血液検査・大腸カメラ検査で炎症の状態をモニタリングし、必要に応じて治療内容を調整します。長期間炎症が続くと大腸がんのリスクも高まるため、寛解期であっても医師と相談しながら治療を継続してください。

難病医療費助成制度の活用

潰瘍性大腸炎は国の難病指定を受けているため、一定の基準を満たせば医療費の自己負担額に上限が設けられます。重症の方だけでなく、軽症でも長期にわたって治療を続けている方は「軽症高額該当」として助成を受けられる場合があります。申請に必要な診断書は主治医が作成しますので、まずはお気軽にご相談ください。

家族で知っておきたい食事と生活の工夫

活動期に避けたい食品と摂りたい栄養

症状がある時期は、揚げ物や脂身の多い肉、香辛料の強い料理など腸に刺激を与えやすい食品を控えるのが基本です。白身魚や豆腐、煮込んだ野菜など消化に負担がかかりにくいメニューを中心にすると、腸が落ち着きやすくなります。寛解期には過度な制限は不要ですが、食物繊維のバランスには引き続き気を配ると再燃の予防につながります。ただし、具体的な食品の影響には個人差があるため、主治医や管理栄養士と相談しながら自分に合った食事を見つけてください。

ストレスとの付き合い方

ストレスが直接の原因になるわけではありませんが、免疫バランスに影響し、症状の悪化や再燃のきっかけになる可能性が指摘されています。睡眠時間を確保し、趣味や軽い運動で気分転換を図るなど、自分なりのリラックス方法を見つけておくと安心です。ご家族が声をかけるだけでも、ご本人の精神的な負担は軽くなります。

よくある質問

Q. 潰瘍性大腸炎は治る病気ですか?
A. 現時点では完治させる治療法はありませんが、5-ASA製剤などで炎症を抑え、寛解状態を長く維持できます。適切に治療を続ければ、発症前と大きく変わらない生活を送れる方が多いです。
Q. 初期症状がないまま進行することはありますか?
A. 炎症が直腸の一部にとどまっている段階では、症状が軽いため気づきにくい場合があります。便に少量の血液が混じる程度で見過ごされることもあるため、血便が一度でもあった場合は消化器内科の受診をおすすめします。
Q. 大腸カメラ検査は痛いですか?
A. 当院では鎮静剤を使用して苦痛に配慮した検査を行っています。検査中はウトウトした状態になるため、強い痛みを感じる方はほとんどいません。女性医師による検査にも対応していますので、ご希望があればお申し出ください。
Q. 潰瘍性大腸炎の検査費用はどのくらいですか?
A. 保険適用の大腸カメラ検査の場合、3割負担で数千円〜1万円台が目安ですが、検査内容(観察のみ・生検あり・ポリープ切除ありなど)によって異なります。難病医療費助成制度の認定を受けると自己負担がさらに軽減されます。費用の詳細は受診時にお問い合わせください。
Q. 食事で気をつけることはありますか?
A. 活動期は脂質や刺激物を控え、消化のよい食事を心がけてください。寛解期には厳しい食事制限は不要ですが、暴飲暴食を避け、食物繊維やたんぱく質をバランスよく摂ると再燃予防に役立ちます。具体的な食品の影響には個人差があるため、主治医と相談しながら調整してください。
Q. 潰瘍性大腸炎は何歳ぐらいで発症しやすいですか?
A. 20代を中心に10代後半から30代前半の若い世代に多いとされていますが、どの年代でも発症する可能性があります。お子さまや中高年の方の発症例も珍しくありません。

まとめ

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる指定難病ですが、早い段階で診断を受けて治療を始めれば、寛解状態を長く保てる病気です。血便や長引く下痢、腹痛などは「痔だろう」「ストレスだろう」と見過ごされがちですが、こうした症状が続くときは大腸カメラ検査で粘膜の状態を直接確認することが確実な診断への近道になります。

治療は5-ASA製剤を基本に、症状や重症度にあわせて薬を組み合わせながら進めます。寛解期にも通院と服薬を続けることで、再燃のリスクを下げられます。食事やストレス管理など日常の工夫もあわせて行うと、より安定した生活を送りやすくなります。気になる症状がある方は、早めに消化器内科へご相談ください。

当院で相談する目安

血便が1回でもあった方、下痢が2週間以上続いている方、腹痛と体重減少が同時にみられる方は、一度消化器内科を受診されることをおすすめします。野々市中央院では、消化器内視鏡専門医による大腸カメラ検査を土曜日にも実施しています。早朝からの検査枠もご用意しておりますので、お仕事や家事の予定を調整しやすいのが特徴です(開始時刻はご予約時にご確認ください)。鎮静剤を使った苦痛に配慮した検査や、女性医師による検査にも対応しています。

血便や下痢が続く方は、まず大腸カメラ検査でお腹の状態を確認しませんか?

まずはお気軽にご相談ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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