脂肪肝は治せる?原因から改善の道筋まで肝臓専門医がやさしく解説
「健診で脂肪肝と言われたけれど、放っておいたらどうなるのだろう」——野々市市や白山市から当院に来られる方の多くが、最初にこの不安を口にされます。ご家族から「お父さんの肝臓、大丈夫?」と心配されて受診を決めた、という方も少なくありません。
この記事では、脂肪肝が改善しやすい段階と難しくなる段階の違い、原因の見分け方、そして食事・運動を中心にした改善策を、肝臓専門医の立場からお伝えします。
動画で知る|胃と肝臓の異常を同時にとらえた検査の実際
当院の女性医師が内視鏡検査と腹部エコーで胃と肝臓の異常を同時にとらえた事例を紹介しています。脂肪肝がどのように見つかるのか、イメージをつかむ参考にしてください。
この記事のポイント
- 脂肪肝が改善しやすい段階と、回復が難しくなる段階の境目
- アルコール性とMASLD(非アルコール性)で異なる原因
- エコー・血液検査・フィブロスキャンそれぞれの役割
- 食事と運動で肝臓の脂肪を減らす具体的な方法
- 野々市・白山エリアで脂肪肝の精密検査を受けるには
脂肪肝は治せる?改善が見込める段階と難しい段階
脂肪肝とはどんな状態か
肝臓の細胞に中性脂肪が過剰にたまった状態が脂肪肝です。肝臓は糖や脂質を代謝する臓器ですが、消費しきれないエネルギーが肝細胞に蓄積し続けると、肝臓本来の働きが低下していきます。自覚症状がほとんどないため「沈黙の臓器」と呼ばれ、健診の血液検査や腹部エコーで偶然見つかるケースが大半です。
軽度の脂肪肝なら改善が見込める
脂肪肝の段階であれば、食事の見直しや適度な運動、節酒によって肝臓の脂肪は減らせます。NAFLD/NASH診療ガイドライン2020では、体重を7%以上減らすと肝臓の脂肪化や炎症の改善が認められ、10%以上の減量では線維化の改善も期待できると記載されています。早い段階で気づいて生活を変えれば、肝臓は十分に回復を見込めるということです。
肝硬変まで進むと回復が難しくなる
脂肪肝を放置すると肝細胞に炎症が生じ、MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)へ移行する場合があります。MASHがさらに進行すると肝臓が線維化し、最終的に肝硬変に至ります。肝硬変は一般に不可逆とされていますが、原因に対する治療で一部改善する例も報告されています。いずれにしても、進行するほど回復は困難になるため「早めに調べ、早めに対処する」ことが肝臓を守る最善策です。
脂肪肝になる原因を正しく知る
アルコールの過剰摂取
アルコールの分解過程で肝臓のエネルギーが使われ、脂肪の代謝が後回しになります。その結果、中性脂肪が肝細胞にたまりやすくなります。厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として1日平均純アルコール約20g程度を示しており、ビール中瓶1本(500ml・5%)でおよそ20gに達します。女性は一般に男性より少量でアルコールの影響を受けやすいとされるため、より控えめを心がけてください。
肥満・糖尿病・脂質異常症との結びつき
お酒を飲まない方にも脂肪肝は起こります。肥満、とくに内臓脂肪型の肥満はインスリン抵抗性を高め、肝臓への脂肪蓄積を加速させます。糖尿病や脂質異常症を合併していると、脂肪肝からMASHへ進むリスクがいっそう高くなります。これがMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ばれる病態です。
急激なダイエットや栄養の偏り
「やせているから脂肪肝と無縁」とは限りません。極端な食事制限で栄養が不足すると、肝臓で脂肪の代謝が滞り、かえって中性脂肪がたまってしまう「低栄養性脂肪肝」を引き起こすことがあります。体格にかかわらず、栄養バランスの偏りには注意が必要です。
エコー・血液検査・フィブロスキャンで肝臓の状態を調べる
血液検査で読み取れること
AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPは肝細胞が傷つくと血液中に漏れ出す酵素です。日本肝臓学会の「奈良宣言」(2023年)では、ALTが30を超えた場合にかかりつけ医への相談が推奨されています。中性脂肪やHbA1cの値と合わせて確認すると、脂肪肝の背景にある生活習慣病の有無もつかめます。
腹部エコーで脂肪の蓄積を見る
超音波で肝臓の脂肪沈着を画像で確認します。放射線を使わず痛みもないため、繰り返し受けやすい検査です。お腹にゼリーを塗ってプローブを当てるだけで、検査時間は10〜15分ほどで終わります。
フィブロスキャンで線維化の進み具合を数値化する
フィブロスキャン(FibroScan)は肝臓の硬さと脂肪量を超音波と振動波で数値化する検査です。針を刺す必要がなく、5〜10分程度で終わります。当院(野々市中央院)では石川県内でも数少ないクリニックとしてこの機器を導入しており、野々市市・金沢市・白山市だけでなく能美市や小松市からもご相談をいただいています。脂肪肝が「改善しやすい段階」にあるのか「線維化が進んでいる段階」なのかを見極めるうえで有用な検査です。
脂肪肝を改善に導く食事と運動の工夫
カロリーと糖質を適度にコントロールする
精製された糖質(白米・パン・菓子類)の摂りすぎは中性脂肪を増やす直接的な原因です。1日の摂取カロリーを把握し、野菜を先に食べてから主食に移る「ベジファースト」を意識すると、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。果糖の多い清涼飲料水も控えめにしてください。
週150分を目安に有酸素運動を取り入れる
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、肝臓にたまった脂肪を燃焼させる効果があります。WHOの身体活動ガイドラインでは週150〜300分の中等度有酸素運動が推奨されており、NAFLD/NASH診療ガイドラインでも同様の目安が採用されています。通勤時にひと駅分歩く、エレベーターを階段に替えるといった日常の工夫でも十分にスタートできます。筋トレを週2〜3回加えると基礎代謝が上がり、脂肪がつきにくい体質づくりにつながります。
アルコールとの付き合い方を見直す
アルコール性脂肪肝であれば、まず飲酒量を大きく減らす(可能なら禁酒する)ことが回復への第一歩です。MASLDの方でも飲酒は肝臓への負担を増やすため、休肝日を週2日以上つくることが望ましいです。ちなみに、「ノンアルコールビールに切り替えたら数値が下がった」という方も当院にはいらっしゃいます。
家族ぐるみで取り組む脂肪肝の予防習慣
食卓を変えれば家族全員の健康につながる
脂肪肝は個人の問題に見えて、実は家庭の食習慣と深く結びついています。揚げ物中心のメニューを魚や蒸し料理に切り替える、夜遅い時間の食事を避ける——こうした変化はご本人だけでなく、お子さんやパートナーの生活習慣病予防にもつながります。
年に一度の健診結果を家族で確認する
肝臓は症状が出にくい臓器です。健診の結果票でAST・ALT・γ-GTPの欄を家族で一緒に見る習慣をつけておくと、本人が見逃しがちな数値の変化に周囲が気づけます。野々市市や白山市の特定健診でも肝機能は検査項目に含まれていますので、結果が届いたら放置せず目を通してください。
参考文献
※本記事テーマに関連する主な参考資料
- 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編『NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)』南江堂, 2020. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00611/
- 日本肝臓学会「奈良宣言2023」特設サイト(ALT>30で受診勧奨) https://www.jsh.or.jp/medical/nara_sengen/iryou.html
- Kamada Y, et al. Clinical practice advice on lifestyle modification in the management of nonalcoholic fatty liver disease in Japan: an expert review. J Gastroenterol. 2021;56(12):1045-1061. doi:10.1007/s00535-021-01833-9
- Watanabe S, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for nonalcoholic fatty liver disease/nonalcoholic steatohepatitis. J Gastroenterol. 2015;50(4):364-377. doi:10.1007/s00535-015-1050-7
- 厚生労働省「アルコール」(健康日本21) https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
よくある質問
- Q. 脂肪肝は自然に治りますか?
- A. 何もしなければ自然に治る病気ではありませんが、食事・運動・節酒などの生活習慣の改善で肝臓の脂肪を減らし、数値を正常に戻せるケースは多くあります。ガイドラインでは体重を7%以上減らすと肝臓の脂肪化・炎症の改善が報告されています。
- Q. やせているのに脂肪肝と言われました。なぜですか?
- A. 過度なダイエットや栄養の偏りによって肝臓の脂肪代謝が滞り、体格がやせ型でも脂肪肝になることがあります(低栄養性脂肪肝)。糖質の摂りすぎや運動不足が背景にある場合もあります。
- Q. フィブロスキャン検査は痛くないですか?
- A. 体の表面にプローブを当てて超音波と振動波で測定するため、痛みはありません。検査時間は5〜10分ほどで、外来で受けられます。費用は保険適用の有無や同時に行う検査によって変わりますので、詳しくは来院時にお尋ねください。
- Q. 脂肪肝の治療に薬は使いますか?
- A. 脂肪肝の基本的な治療は食事・運動による生活習慣の改善です。糖尿病や脂質異常症を合併している場合はそれぞれの治療薬を用いて肝臓への負担を軽減します。なお、海外では2024年にMASH(脂肪肝炎で線維化を伴うタイプ)に対する治療薬が承認されていますが、日本での保険適用はまだ確立されていません。最新の治療選択肢については医師にご相談ください。
- Q. 健診で脂肪肝を指摘されたら何科を受診すればよいですか?
- A. 消化器内科または肝臓内科が適しています。血液検査に加えて腹部エコーやフィブロスキャンで肝臓の状態を詳しく調べてもらえます。
- Q. お酒をやめれば脂肪肝は治りますか?
- A. アルコール性脂肪肝であれば、禁酒または大幅な減酒で肝機能が改善するケースは多いです。ただし、MASLDなど飲酒以外の原因が合併している場合は、食事や運動の見直しも合わせて必要です。
- Q. 女性医師の診察を受けられますか?
- A. 当院には女性医師が在籍しています。WEB予約時またはお電話(076-259-0378)でご希望をお伝えください。
まとめ
脂肪肝は早い段階で見つけて対処すれば、食事・運動・節酒といった生活習慣の改善で回復が見込める病気です。一方、脂肪肝を放置してMASHや肝硬変まで進行すると、肝臓を元の状態に戻すのは格段に難しくなります。健診の結果票でALTやγ-GTPの値に異常が出ていたら、「症状がないから大丈夫」と先延ばしにせず、まず肝臓の状態を調べることが大切です。
当院ではフィブロスキャン・腹部エコー・血液検査を組み合わせ、脂肪肝がどの段階にあるかを丁寧に評価しています。ご家族に「健診、大丈夫だった?」と聞かれたときに安心してお答えできるよう、気になる方は消化器内科へ早めにご相談ください。
当院で相談する目安
健診で脂肪肝やALT・γ-GTPの高値を指摘された方、飲酒量が多く肝臓の状態が気になる方、体重が増えて内臓脂肪型肥満が心配な方は、一度専門医の診察を受けてみてください。当院(野々市中央院)はフィブロスキャン・腹部エコー・院内CTに対応しており、女性医師による診察も可能です。野々市市・金沢市・白山市をはじめ、能美市・小松市からもお気軽にお越しください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。






