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2週間以上続く下痢の原因|放置してよいか消化器専門医が解説

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2週間以上続く下痢の原因|放置してよいか消化器専門医が解説

「健診で異常はなかったのに、ここ2週間ほど下痢が止まらない」——ご家族の体調が心配で、お子さんの送迎ついでに相談に来られる方が当院にはいらっしゃいます。数日で治まる下痢と違い、2週間を超えて続く下痢の背景には、検査をしないとわからない病気が隠れていることがあります。この記事では、長引く下痢で考えられる原因と、どの段階で消化器内科を受診すべきかの判断材料をまとめました。

長引く下痢・腹痛を大腸カメラで精査する動画

当院の女性内視鏡医が、長期間の下痢・腹痛に悩む若い患者さんを大腸カメラで精査する様子を紹介した動画です。検査の実際の雰囲気を知りたい方はぜひご覧ください。

この記事で分かること

  • 2週間以上続く下痢は慢性下痢(4週以上)の入り口にあたり、原因精査が望ましい理由
  • 長引く下痢の背景にある主な病気(IBS・炎症性腸疾患・大腸がんなど)
  • 家庭でできる脱水予防と食事のポイント
  • 大腸カメラ検査の流れと、検査で判明する病気
  • 「いつ受診すべきか」を判断するための具体的な基準

 

2週間以上続く下痢が示す体のサイン

急性下痢と慢性下痢の境目はどこか

下痢は症状が続く期間によって分類されます。発症から2週間以内に治まるものは「急性下痢」、4週間以上続くものは「慢性下痢」と定義され、その間の2〜4週間は「遷延性下痢」に分類されます(便通異常症診療ガイドライン2023)。急性下痢の大半はウイルスや細菌による感染性胃腸炎で、水分補給と安静で自然に回復します。

2週間を過ぎても改善しない場合は、遷延性下痢として原因の鑑別が必要になります。感染性胃腸炎でも2〜4週間ほど症状が続くことはありますが、この時期には感染以外の原因——過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など——が重なっている可能性も出てきます。慢性下痢への移行を防ぐためにも、2週間を一つの節目として消化器内科への相談を検討してください。

「様子を見ている間」に体で起きていること

下痢が長引くと、水分だけでなくナトリウムやカリウムなどの電解質が体の外に出ていきます。口の渇き、尿量の減少、立ちくらみは脱水の初期サインです。さらに、腸の粘膜が繰り返しダメージを受けると栄養の吸収効率が落ち、体重減少や倦怠感につながります。「もう少し待てば治るかも」と先延ばしにするほど、体への負担は蓄積していきます。

 

長引く下痢の裏にある病気を知る

過敏性腸症候群(IBS)——検査で異常がないのに下痢が止まらない

大腸カメラや血液検査で明らかな炎症や腫瘍が見つからないにもかかわらず、腹痛を伴う下痢が慢性的に続く場合、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。ストレスや緊張が引き金になることが多く、「お子さんの行事の前になるとおなかを壊す」「家族旅行のたびにトイレが気になる」という訴えは珍しくありません。IBSは腸の機能的な異常であり、適切な薬物療法と生活習慣の見直しで症状をコントロールできます。当院の過敏性腸症候群の詳しい解説ページもあわせてご参照ください。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

腸の粘膜に慢性的な炎症を起こす病気です。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、血便・粘液便・腹痛を伴います。クローン病は口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が生じうる点が異なります。どちらも厚生労働省の指定難病ですが、近年は治療薬の選択肢が広がり、症状が落ち着いた「寛解」の状態を長く維持できる方が増えています。10〜30代の若い世代に発症しやすいのも特徴で、下痢に加えて血便や体重減少がある場合は早めの受診をおすすめします。

大腸がん・大腸ポリープ

大腸がんやその前段階であるポリープが大きくなると、便通のリズムが乱れて下痢や便秘を繰り返すことがあります。初期段階では自覚症状がほとんどないため、「下痢が続いたので検査を受けたらポリープが見つかった」というケースは実際にあります。大腸がんの多くはポリープから進行するため、大腸カメラで見つけた段階で切除すれば将来のがん予防につながります。

そのほかの原因——薬の副作用・甲状腺機能亢進症・乳糖不耐症

抗菌薬(抗生物質)を服用中、あるいは服用後に下痢が始まった場合は、腸内細菌のバランスが崩れたことが原因かもしれません。甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症でも腸の動きが活発になり、下痢を起こすことがあります。牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする方は乳糖不耐症の可能性があり、乳製品を控えるだけで改善するケースもあります。

 

家庭でできる応急ケアと脱水予防

水分補給は「少量ずつ・こまめに」が鉄則

下痢が続いているときに最も気をつけたいのは脱水です。経口補水液を少量ずつこまめに摂取するのが基本で、一度に大量に飲むと腸を刺激してしまうことがあります。コーヒー、アルコール、冷たい炭酸飲料は利尿作用や腸への刺激があるため、症状がある間は控えてください。

食事は「やわらかく・薄味・温かく」

おかゆ、うどん、白身魚、鶏のささみ、豆腐、バナナなど消化に負担がかからない食品を中心に、1回の量を減らして回数を増やすのがポイントです。脂っこいもの、香辛料、食物繊維の多い根菜類は腸を刺激しやすいため、症状が落ち着くまで控えたほうが安心です。

ちなみに、ロペラミドなどの止痢薬は腸の動きを抑える作用があり、血便や高熱を伴う下痢では使用を避けるのが原則です。感染性であっても水様便で全身状態が落ち着いている場合には使われることもありますが、自己判断は難しいため、迷ったら消化器内科に相談してください。整腸剤(乳酸菌・ビフィズス菌製剤)であれば比較的安心に使えますが、2〜3日服用しても改善しなければ受診をおすすめします。

 

大腸カメラ検査で原因をはっきりさせる

検査で観察できる範囲と見つかる病気

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、肛門から細いスコープを挿入し、直腸から盲腸まで大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。炎症、びらん、潰瘍、ポリープ、腫瘍など、下痢の原因となりうる病変を画像で確認できます。疑わしい部位があればその場で組織を採取し、病理検査で確定診断につなげます。潰瘍性大腸炎やクローン病の診断には大腸カメラによる生検が欠かせません。当院の検査体制については大腸カメラ検査のページで詳しくご案内しています。

当院の検査の特徴

当院では鎮静剤を使い、うとうとした状態で検査を受けていただけます。検査時間は観察のみで15〜20分程度、ポリープ切除を行う場合は30分前後が目安です。女性医師による検査にも対応しており、土曜日の検査枠もご用意しています。院内で下剤を服用いただける「院内下剤」にも対応していますので、ご自宅での準備に不安がある方もご安心ください。鎮静剤を使用した場合は検査当日から翌朝まで車・バイク・自転車の運転を控える必要があり、検査後は院内のリカバリールームで休んでいただいたあと、当日はご自宅で安静に過ごすようお願いしています。ご家族の送迎か公共交通機関でのご来院をお願いします。駐車場は120台分を完備しています。

 

受診のタイミングと持ち物チェックリスト

こんなときは早めに消化器内科へ

以下のいずれかに当てはまる場合は、自然回復を待たずに受診を検討してください。

症状・状況 受診の目安
便に血が混じる(鮮血・暗赤色・黒色便) できるだけ早く消化器内科へ
38℃以上の発熱が続く 当日〜翌日中に受診
水分を摂れない・尿がほとんど出ない 点滴が必要な場合あり。速やかに受診
下痢が2週間以上改善しない 原因精査のため消化器内科を受診
体重が減ってきた・倦怠感が強い 栄養吸収障害の可能性。受診を推奨

受診時に持参すると役立つもの

お薬手帳、健康診断の結果(便潜血検査の結果を含む)、症状の経過メモ(いつから・1日の回数・便の状態)があると、診察がスムーズに進みます。お子さんの付き添いで来院される保護者の方は、メモを事前にまとめておくと受診時間を短縮できます。

 

下痢の原因と検査に関する参考記事

下痢症状が続くときの原因と受診のタイミング

急性下痢と慢性下痢の違い、感染性・非感染性の見分け方、医療機関で行う検査の流れを体系的に解説した記事です。下痢の基礎知識を網羅的に確認したい方に適しています。

▶ 下痢症状が続くときの原因と受診のタイミング

自律神経の乱れによる下痢症状への対処と予防法

ストレスや自律神経の乱れが引き起こす下痢について、日常生活でできる対処法や食事の工夫、過敏性腸症候群(IBS)との関連を詳しくまとめた記事です。

▶ 自律神経の乱れによる下痢症状への対処と予防法

慢性的な下痢と倦怠感が続くときの消化管スクリーニング検査

下痢に加えて体のだるさが抜けない場合に考えるべき病気と、消化管スクリーニングの検査内容を解説しています。体重減少や貧血を伴う方にも参考になります。

▶ 慢性的な下痢と倦怠感が続くときの消化管スクリーニング検査

 

 

よくある質問

Q. 下痢が2週間続いていますが、緊急性はありますか?
A. 血便、高熱、強い脱水症状がなければ数日以内に命に関わる状態ではありません。ただし、2週間以上続く下痢は慢性下痢(4週以上)の入り口にあたるため、原因を調べるために消化器内科の受診をおすすめします。
Q. 大腸カメラ検査は痛いですか?
A. 当院では鎮静剤を使い、うとうとしている間に検査を行います。「もう終わったんですか」と驚かれる方が多いです。鎮静剤なしの場合も、炭酸ガス送気で膨満感を軽減する工夫をしています。なお、鎮静剤を使用した日はご自宅で安静に過ごしていただくようお願いしています。
Q. 下痢が続いていても大腸カメラは受けられますか?
A. 受けられます。むしろ、下痢が続いている方は腸内の残留物が少ない場合があり、前処置がスムーズに進むこともあります。前日の食事制限や当日の下剤服用については、予約時に個別にご案内します。
Q. 子どもの下痢が長引いています。小児でも受診できますか?
A. 当院は成人の消化器内科が専門ですが、中学生以上であればご相談いただけます。それ以下のお子さんは小児科の受診をおすすめします。お子さんの付き添いで保護者の方がご自身の症状について相談されるケースも多いです。
Q. ストレスが原因の下痢でも検査は必要ですか?
A. 過敏性腸症候群(IBS)の診断は「他の病気がないこと」を確認して初めて成り立ちます。大腸カメラや血液検査で炎症や腫瘍がないことを確かめたうえで、IBSの治療に進むのが望ましい流れです。
Q. 土曜日でも大腸カメラ検査を受けられますか?
A. はい。当院は土曜日にも内視鏡検査枠を設けています。平日の来院が難しいご家族連れの方にもご利用いただいています。
Q. 市販の整腸剤を飲み続けても大丈夫ですか?
A. 整腸剤(乳酸菌・ビフィズス菌製剤)は比較的安全性が高いとされていますが、2週間以上下痢が続く場合は整腸剤だけで様子を見るのではなく、原因を調べることをおすすめします。

まとめ

下痢が2週間以上続く場合は、感染性胃腸炎だけでなく、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、大腸ポリープなどの病気が背景に潜んでいる可能性があります。脱水予防として経口補水液をこまめに摂りながら、消化のよい食事を心がけることが家庭でできる基本的なケアです。

原因を正確に把握するには、大腸カメラで粘膜を直接観察するのが最も確実な方法です。血便、発熱、体重減少、水分が摂れないといった症状があれば速やかに、そうでなくても2週間を一つの目安として消化器内科への受診を検討してください。

 

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参考文献

 

当院で相談する目安

下痢が2週間以上続いている、血便がある、体重減少や倦怠感がある、市販薬で改善しない——こうした状態が一つでも当てはまる場合は、消化器内科への受診をご検討ください。当院(野々市中央院)は消化器内科・内視鏡検査を専門とするクリニックで、鎮静剤を使った大腸カメラ検査に対応しています。女性医師による検査も可能で、土曜日の検査枠もご用意しています。駐車場120台完備のため、野々市市・白山市・能美市など近隣地域からお車でお越しいただけます。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

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