みぞおちの痛みは胃がんのサイン?考えられる原因と胃カメラ検査の重要性
「みぞおちのあたりがズーンと重い」「食後にキリキリする痛みがある」——こうした相談で来院される方のなかには、「胃がんではないでしょうか」と心配そうに話される方が少なくありません。ご家族から「一度ちゃんと調べてもらったら」と勧められて受診される方もいらっしゃいます。この記事では、みぞおちの痛みの原因として考えられる病気と、胃カメラ検査でどこまで分かるのかを整理しました。
この記事で分かること
- みぞおちの痛みで疑われる主な病気と、胃がんとの見分け方
- 胃がんの初期段階では痛みが出にくい理由
- 胃カメラ検査で確認できる所見と検査の流れ
- みぞおちの痛みを放置した場合に起こりうるリスク
- ご家族と共有しておきたい受診のタイミング
【動画】胃カメラで女性医師が患者に告げた複数の病気とは
当院の女性内視鏡医が胃カメラ検査で発見した所見と、患者さんへの説明の様子を収録した動画です。胃酸の逆流による食道の変化など、実際の検査で見つかる病気のイメージがつかめます。
みぞおちの痛みで考えられる病気
痛みの出方で原因疾患が変わる
みぞおち(心窩部)は胃・十二指腸・膵臓・胆のうなど複数の臓器が集まる場所です。痛みの出方や持続時間によって、原因となる病気は異なります。食後にジクジクと痛む場合は胃潰瘍、空腹時にキリキリ痛むなら十二指腸潰瘍、食後の胸焼けを伴うなら逆流性食道炎の可能性が考えられます。
膵炎では背中に抜けるような強い痛みが出ることがあり、胆石発作ではみぞおちから右上腹部にかけて突然の激痛が起こる場合があります。このように、「みぞおちの痛み」だけでは原因を一つに絞り込めません。
機能性ディスペプシアという疾患
胃カメラ検査で胃や十二指腸に目立った異常が見つからないのに、みぞおちの痛みや胃もたれが続く状態を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。日本消化器病学会のガイドライン(2021年・改訂第2版)では、FDはみぞおちの痛みの原因として頻度が高い疾患に位置づけられています。器質的な病気を除外するために胃カメラ検査を受けることが、FDの診断にも直結します。
ストレスや生活習慣が関わるケース
過労や睡眠不足が続くと胃酸の分泌バランスが崩れ、みぞおちの痛みとして表面化するケースがあります。「忙しいから」と市販の胃薬でしのいでいると、背後にある別の病気を見逃す恐れがあるため、2週間以上続く痛みは医療機関で原因を調べるのが安全です。
胃がんの初期に痛みは出るのか
初期の胃がんはほとんど無症状
胃がんは、粘膜の表面にがん細胞がとどまっている段階(早期胃がん)では自覚症状がほぼありません。みぞおちに痛みが出たときには、すでに粘膜下層や筋層へ進行しているケースもあるため、「痛みがないから大丈夫」とは言い切れない病気です。
国立がん研究センターの統計によると、胃がんは男性のがん罹患数で上位に位置しています。発症リスクは40代から上昇し始め、50代以降に増加します。早い段階で見つかれば内視鏡治療で完治が見込める場合もあるため、症状がなくても定期的な胃カメラ検査が勧められています。
胃がんと他の病気の痛みはどう違う?
正直なところ、痛みの性質だけで胃がんと胃潰瘍を正確に区別するのは困難です。胃潰瘍では食後に痛みが強まり、制酸薬で一時的に楽になる傾向がありますが、胃がんでも同様のパターンを示すことがあります。黒いタール便、急な体重減少、食欲の著しい低下が重なっている場合は進行胃がんの可能性を考える必要があり、早急な検査が望まれます。
みぞおちの痛みを放置するとどうなるか
炎症の慢性化と粘膜の変化
胃潰瘍や慢性胃炎を治療せずに放置すると、胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)が進みやすくなります。萎縮性胃炎はピロリ菌感染と深く関わっており、粘膜が薄くなった部分から胃がんが発生するリスクが指摘されています。つまり、痛みの裏にある炎症を早期に治療することが、将来の胃がん予防にもつながります。
出血や穿孔のリスク
胃潰瘍や十二指腸潰瘍が深くなると、血管を傷つけて出血を起こしたり、胃壁に穴が開く「穿孔」に至ったりする場合があります。穿孔は緊急手術が必要な状態です。みぞおちの痛みに加え、吐血や黒い便、冷や汗・めまいがある場合はすぐに医療機関を受診してください。
胃カメラ検査で痛みの原因を調べる
粘膜を直接観察できる唯一の方法
胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査は、食道・胃・十二指腸の粘膜をカメラで直接映し出して観察する検査です。炎症、潰瘍、ポリープ、がんの有無を画像で確認でき、疑わしい部位があればその場で組織を少量採取して病理検査に回せます。バリウム検査では判別しにくい小さな病変も、胃カメラであれば発見しやすいのが利点です。
当院ではオリンパス社の高精細内視鏡システム「EVIS X1」を導入しており、NBI(狭帯域光観察)を活用した微細な粘膜変化の検出にも対応しています。ピロリ菌感染の有無も胃カメラ検査時にあわせて確認できます。
鎮静剤を使った検査の流れ
当院では鎮静剤を使用した胃カメラ検査を実施しています。点滴から鎮静剤を投与すると、うとうとしている間に検査が進み、「気づいたら終わっていた」とおっしゃる方がほとんどです。検査自体は5〜10分程度で終了します。
前日21時までに夕食を済ませ、検査当日の朝は絶食をお願いしています。水分は透明で糖分のない水であれば検査直前まで少量摂取できます(お茶の可否は予約時にご確認ください)。鎮静剤を使用した場合は、検査当日は車・バイク・自転車の運転ができません。公共交通機関かご家族の送迎をお願いしています。ちなみに、当院は駐車場を120台分ご用意していますので、ご家族の送迎でお越しいただく方にも安心です。
検査後の結果説明と次のステップ
検査の画像は当日中に医師が説明します。組織を採取した場合は、病理検査の結果が出るまで1〜2週間ほどかかります。万が一がんが見つかった場合は、進行度や深達度などの条件に応じて内視鏡治療や外科手術、化学療法など最適な治療方針を提案し、必要に応じて連携病院へご紹介します。
ご家族と一緒に知っておきたい受診の目安
こんな症状があれば早めの受診を
みぞおちの痛みが2週間以上続く、市販の胃薬を飲んでも改善しない、食欲が落ちて体重が減ってきた——こうした変化があれば、一度胃カメラ検査を受けることをおすすめします。40歳以上でピロリ菌の検査を受けたことがない方、ご家族に胃がんの既往がある方は、症状がなくても検査を検討してみてください。
家族が気づくサインもある
ご本人が「たいしたことない」と思っていても、ご家族から見ると「最近顔色が悪い」「食事の量が減った」「食べたあとに顔をしかめている」と変化に気づくことがあります。野々市市や白山市にお住まいのご家族であれば、当院まで車で10〜15分圏内の方が多いため、ご家族に付き添ってもらいながらの受診がしやすい環境です。
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金沢駅前院でも受診いただけます
金沢駅から徒歩5分の金沢駅前院でも、同等の内視鏡機器を使った胃カメラ検査を受けられます。通勤やお出かけのついでに受診したい方に便利な立地です。
よくある質問
- Q. みぞおちの痛みだけで胃がんかどうか分かりますか?
- A. 痛みの性質だけで胃がんを判別するのは困難です。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシアなど類似の症状を示す病気が複数あるため、胃カメラ検査で粘膜を直接確認する方法が最も正確です。
- Q. みぞおちの痛みが続いていますが、すぐに受診したほうがよいですか?
- A. 2週間以上続くみぞおちの痛みは、一度消化器内科を受診することをおすすめします。特に黒い便や体重減少を伴う場合は早急な検査が望まれます。
- Q. 胃カメラ検査が怖いのですが、鎮静剤は使えますか?
- A. 当院では鎮静剤を使った胃カメラ検査に対応しています。うとうとしている間に検査が終わるため、「怖い」「苦しい」という思いを大幅に軽減できます。経鼻内視鏡の選択も可能です。
- Q. 胃がんの検査費用はどのくらいですか?
- A. 保険適用(3割負担)の場合、胃カメラ検査のみで約6,000円、組織採取を伴う場合は約9,000円が目安です。初診料や採血費用は別途かかります。
- Q. ピロリ菌に感染しているとみぞおちが痛くなりますか?
- A. ピロリ菌感染そのもので痛みが出ることは少ないですが、感染による慢性胃炎や胃潰瘍が痛みの原因になることがあります。ピロリ菌の除菌治療によって炎症が改善し、痛みが和らぐケースも多くみられます。
- Q. 健診のバリウム検査で異常なしでしたが、胃カメラも必要ですか?
- A. バリウム検査は胃の輪郭を映す検査のため、粘膜の色調変化や平坦な病変を見落とすことがあります。みぞおちの痛みが続く場合は、粘膜を直接観察できる胃カメラ検査をおすすめします。
- Q. 40歳未満でも胃カメラ検査は受けられますか?
- A. 受けられます。年齢に関係なく、みぞおちの痛みや胃の不調が続く方は検査の対象です。ご家族に胃がんの方がいる場合は、若い年代でも早めに検査を受けておくと安心です。
まとめ
みぞおちの痛みは胃がんだけでなく、胃潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシアなどさまざまな病気で起こる症状です。胃がんは初期段階で痛みが出にくいため、「痛みがないから大丈夫」とも「痛みがあるから胃がん」とも言い切れないのが実情です。原因を正確に知るには、胃カメラで粘膜を直接観察するのが確実な方法であり、ピロリ菌感染の有無もあわせて確認できます。
痛みが2週間以上続く場合、黒い便や体重減少を伴う場合、40歳以上で胃カメラを受けたことがない場合は、早めに消化器内科へご相談ください。
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参考文献
- 日本胃癌学会 編.「胃癌治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂 第6版」金原出版, 2021.
- 日本消化器病学会 編.「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版」南江堂, 2021.
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/
- Ilic M, Ilic I. Epidemiology of stomach cancer. World J Gastroenterol. 2022;28(12):1187-1203. DOI: 10.3748/wjg.v28.i12.1187
当院で相談する目安
みぞおちの痛みが2週間以上続く方、市販薬で改善しない方、黒い便や体重減少がある方は、早めの受診をおすすめします。当院は消化器内視鏡専門医が全件の胃カメラ検査を担当しており、女性医師による検査にも対応しています。土曜日の検査枠もご用意していますので、平日が忙しい方も受診しやすい体制です。野々市市・白山市・金沢市南部エリアの方は、駐車場120台完備の野々市中央院へお気軽にお越しください。
みぞおちの痛みが気になる方へ——胃カメラ検査で原因を確かめてみませんか
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