胃カメラの経鼻と経口はどう選ぶ?それぞれの特徴と向いている人
「胃カメラを受けたいけど、鼻からと口から、どちらで受ければいいんだろう」。健診で要精検と言われた方や、ご家族の勧めで初めて検査を考えている方から、こうしたご相談をよくいただきます。経鼻と経口にはそれぞれ異なる特徴があり、体質や不安の内容によって合う方法が変わります。この記事では、両者の違いと選び方のポイントを整理しました。
この記事で分かること
- 経鼻内視鏡と経口内視鏡の太さ・挿入経路の違い
- 嘔吐反射が強い方に経鼻が向いている理由
- 鎮静剤を使うか使わないかで変わる選択肢
- 経鼻が難しいケースと事前確認のポイント
- 当院で選べる検査方法と相談の流れ
経鼻内視鏡と経口内視鏡──何がどう違うのか
スコープの太さと挿入ルート
胃カメラ検査には、口からスコープを入れる「経口内視鏡」と、鼻からスコープを入れる「経鼻内視鏡」があります。日本消化器内視鏡学会の解説によると、経鼻内視鏡のスコープ径は約5〜6mm、経口内視鏡は約8〜9mmです。経鼻のほうが細い分、鼻腔を通って咽頭を刺激しにくい構造になっています。
画質と観察性能の差は縮まっている
以前は「経鼻は画質が落ちる」と指摘される時期がありました。しかし日本消化器内視鏡学会は、2020年以降に発売された経鼻内視鏡の解像度は格段に向上し、経口内視鏡と同様の画質が得られるようになったと説明しています。ただし、高倍率の拡大観察機能は現時点では経口内視鏡にのみ搭載されている機種が主流で、粘膜の微細な構造を詳しく評価する場面では経口が選ばれるケースがあります。
検査中の感覚の違い
経口の場合、スコープが舌の根元に触れることで嘔吐反射(オエッとなる反応)が起きやすくなります。経鼻は舌の根元にスコープが当たらないため、この反射が出にくいのが特徴です。また、経鼻では検査中に口で呼吸できるので、息苦しさを感じにくいとされています。
こんな方には経鼻が向いています
嘔吐反射が強い・過去の検査でつらかった方
以前、口からの胃カメラで強い苦痛を感じた方は、経鼻を検討する価値があります。舌根部への刺激が少ないため、「前回よりずっと楽だった」と感じる方は少なくありません。
鎮静剤を使わずに検査を受けたい方
経鼻内視鏡は局所麻酔(鼻への薬剤スプレー)だけで検査を進められるのが特徴です。鎮静剤を使わなければ、検査後にご自身で車を運転して帰宅できる場合があります。野々市市や白山市などからお車で来院される方には、この点が大きなメリットになります。
(経鼻検査中はモニター画面を一緒にご覧いただけることもあります。ご自身の胃の状態をリアルタイムで確認できるのは、経鼻ならではの利点です。)
心肺機能への負担を抑えたい方
日本消化器内視鏡学会の解説では、経口内視鏡検査は食道入口部挿入時などに心拍数や血圧が上昇することが多い一方、経鼻内視鏡検査では検査中の心拍や血圧の変動が少ないとされています。口呼吸ができるため酸素飽和度の変化も少ない傾向にあり、高齢の方や持病のある方にとって安心材料のひとつになります。
経口内視鏡が適している場面
拡大観察や精密な組織評価が必要なとき
経口内視鏡はスコープの口径が大きい分、拡大観察が可能な機種を使えます。粘膜の微細な血管パターンまで高倍率で確認できるため、早期がんの診断精度を高めたい場面では経口が選ばれることがあります。当院では最新の内視鏡システム「EVIS X1」を導入しており、NBIやワイドアングル(視野角170度)による精密な観察に対応しています。
鼻腔が狭い・鼻に疾患がある方
鼻腔が狭い方、鼻中隔弯曲が強い方、鼻炎で粘膜が腫れやすい方は、経鼻でスコープが通らないことがあります。日本消化器内視鏡学会も、鼻腔の狭さや角度によって経鼻内視鏡を挿入できない場合には経口に変更して行うと説明しています。事前の診察で鼻の状態を確認し、経鼻が難しいと判断された場合は経口での検査に切り替えます。「経鼻を希望していたけれど経口になる」可能性があることも、覚えておくと安心です。
鎮静剤を使えば経口でも楽に受けられる
「口からは苦しそうだから避けたい」という方も多いのですが、鎮静剤を使うとウトウトした状態で検査を受けられます。「気づいたら終わっていた」と感じる方もいるほどです。鎮静剤使用時は検査後に15分〜1時間程度の休憩が必要となり(使用する薬剤や施設によって異なります)、少なくとも当日(原則24時間)は車・バイク・自転車の運転ができなくなるため、ご家族の送迎やタクシーの手配をお願いしています。
経鼻と経口の選び方──迷ったときの判断ポイント
3つの質問で方向性を確認する
どちらの方法にするか迷ったときは、以下の3点を軸に考えてみてください。まず、嘔吐反射が強いかどうか。強い方は経鼻が第一候補です。次に、検査後に車を運転する必要があるか。運転が必要なら、鎮静剤なしで受けられる経鼻が選択肢に入ります。そして、精密な拡大観察が必要と医師に言われているか。その場合は経口が適しています。
医師との事前相談が大切
最終的な判断は、患者さんの希望と体の状態を踏まえて医師と一緒に決めます。過去の検査歴、鼻腔の広さ、持病の有無などを総合的に考慮して、無理のない方法をお勧めしています。当院では事前の診察でしっかりお話を伺いますので、遠慮なくご希望をお聞かせください。
当院ではどちらの検査にも対応しています
経鼻・経口の両方に対応した検査体制
金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院では、経鼻内視鏡・経口内視鏡のいずれにも対応しています。経鼻検査では極細スコープを使用し、鼻への薬剤スプレーとスコープと同じ太さのスティックで通過確認を行ったうえで検査を進めます。経口検査では鎮静剤を用いた苦痛配慮の検査を基本としています。女性医師による検査にも対応しておりますので、女性の方もお気軽にご相談ください。
土曜検査・早朝検査にも対応
平日はお仕事で忙しいという方のために、土曜日の胃カメラ検査や朝8時30分からの早朝検査を実施しています。ご家族で「一緒に検査を受けよう」と話し合って来院される方もいらっしゃいます。検査の予約やご相談は、お電話またはWeb予約からお気軽にどうぞ。
経鼻・経口の違いをさらに詳しく知りたい方へ
胃カメラ検査全体の流れや、検査で見つかる病気について詳しく解説されています。経口・経鼻それぞれのメリット・デメリットの比較表も掲載されており、全体像を把握したい方に適した記事です。
経口内視鏡で鎮静剤を使った場合のメリット・デメリット、費用の目安、検査後の過ごし方がまとめられています。鎮静剤を使うかどうか迷っている方は、こちらもあわせてご覧ください。
内視鏡径・画質・処置具の対応・合併症・心肺機能への影響など、専門学会の視点から経鼻と経口の違いが詳しく解説されています。医学的な根拠を確認したい方にお勧めの記事です。
よくある質問
- Q. 経鼻と経口、どちらが苦痛は少ないですか?
- A. 一般的には経鼻のほうが嘔吐反射が少なく、苦痛を感じにくい傾向があります。ただし、鼻腔が狭い方は鼻を通る際に痛みや違和感が出る場合があります。事前の診察で鼻の状態を確認し、適した方法をご提案します。
- Q. 経鼻を希望しても経口に変更になることはありますか?
- A. はい。鼻腔の広さやスコープの通り具合によっては、当日に経口へ変更する場合があります。事前にスティック(スコープと同じ太さの棒)で通過確認を行いますので、無理に進めることはありません。
- Q. 経鼻検査のあと鼻血が出ることはありますか?
- A. 経鼻内視鏡の合併症として、少量の鼻出血が起こることがあります。検査前に出血予防の薬剤(血管収縮薬)を鼻腔にスプレーして対策していますが、検査後にわずかに血がにじむことはあり得ます。多くは軽度で、短時間で自然に止まります。
- Q. 経鼻検査なら鎮静剤なしでも大丈夫ですか?
- A. 多くの方は鎮静剤なしで経鼻検査を受けられています。鼻への局所麻酔の薬剤スプレーのみで検査を行えるため、体への負担が少なく、検査後にご自身で車を運転して帰宅できる場合もあります。不安が強い方には鎮静剤の併用についてもご相談いただけます。
- Q. 初めて胃カメラを受けます。経鼻と経口のどちらがお勧めですか?
- A. 初めての方には、嘔吐反射が出にくい経鼻を試してみることをお勧めする場合が多いです。ただし、精密な拡大観察が必要な場合や鼻の状態によっては経口が適していることもあります。事前の診察でご相談ください。
- Q. 鎮静剤を使ったあと、どのくらい運転を控えればよいですか?
- A. 少なくとも検査当日、原則24時間は車・バイク・自転車の運転を控えてください。ご家族の送迎やタクシーの利用をお勧めしています。鎮静剤を使わない経鼻検査であれば、基本的にこの制限はかかりません。
まとめ
胃カメラの経鼻内視鏡はスコープが細く、嘔吐反射が出にくいため苦痛を感じにくいのが特徴です。鎮静剤なしで検査できるので、検査後にそのまま車で帰宅したい方にも適しています。一方、経口内視鏡は高倍率の拡大観察に対応しており、精密な組織評価が必要な場面では有力な選択肢です。鎮静剤を使えば、経口でもウトウトした状態で検査を受けられます。
どちらが自分に合うかは、嘔吐反射の強さ、鼻腔の状態、検査後の移動手段、精密検査の必要性によって変わります。当院では事前の診察でお一人おひとりに合った方法をご提案していますので、気になる症状がある方は早めに消化器内科へご相談ください。
参考文献
- 日本消化器内視鏡学会「経口内視鏡と経鼻内視鏡の違いは何ですか?」https://www.jges.net/citizen/faq/general_03
- 金沢消化器内科・内視鏡クリニック「胃カメラで分かる症状 検査の流れ」https://naishikyo.or.jp/gastrocamera/gastroscopy/
- 日本消化器内視鏡学会 監修「消化器内視鏡ハンドブック 改訂第3版」医学図書出版, 2024年
当院で相談する目安
健診で「要精密検査」と指摘された方、胃の不快感や胸やけが続いている方、過去の胃カメラ検査で苦痛が強くて再検査をためらっている方は、一度ご相談ください。当院では経鼻・経口どちらの検査にも対応しており、女性医師による検査も選択できます。野々市市・白山市・能美市など近隣にお住まいの方は、土曜検査や早朝検査(朝8時30分〜)もご利用いただけます。
経鼻・経口どちらが合うか、まずはご相談ください。消化器内視鏡専門医がお一人おひとりに合った検査方法をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。






