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SAS簡易検査の自宅でのやり方|機器の装着手順と結果の読み方

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SAS簡易検査の自宅でのやり方|機器の装着手順と結果の読み方

公開日:[2026年3月3日]|

この記事のポイント

  • SAS簡易検査(HSAT)は自宅のベッドで一晩装着するだけ。痛みはありません。
  • 指先・鼻・胸にセンサーを付け、血中酸素飽和度(SpO2)・気流・呼吸努力・いびき音などを記録します。
  • 結果はAHI(REI)とSpO2低下指数で評価。AHI 40以上でCPAP保険適用の目安となります。
  • 検査費用は保険3割負担で約3,000円。初診料を含めても約4,000〜6,000円が目安です。

「いびきがうるさいと家族に言われた」「日中の眠気がひどい」——こうした症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。SASの診断の第一歩となるのが簡易検査(HSAT:Home Sleep Apnea Testing)です。

簡易検査は入院の必要がなく、クリニックで機器を受け取り、ご自宅でいつもどおり眠るだけで実施できます。本記事では、検査前の準備から機器の装着手順、結果の読み方までを、消化器・内科専門医の視点からわかりやすくお伝えします。

簡易検査(HSAT)でわかること——測定データと精密検査との違い

簡易検査では、睡眠中の呼吸状態に関するデータを複数のセンサーで同時に記録します。具体的に測定される項目は、鼻と口の気流(カニューレ型センサー)、指先の血中酸素飽和度(SpO2:パルスオキシメータ)、胸部または腹部の呼吸努力(努力センサー)、いびき音、体位(仰臥位・側臥位など)です。機器の種類によっては脈拍数や心電図を同時に記録するものもあります。

精密検査(PSG:ポリソムノグラフィ)との最大の違いは、脳波・眼球運動・筋電図を測定しない点です。そのため簡易検査では正確な睡眠時間を把握できず、結果は「総記録時間あたりの呼吸イベント数」であるREI(Respiratory Event Index)として算出されます。実際の睡眠時間よりも記録時間が長くなるため、REIはPSGで算出されるAHI(無呼吸低呼吸指数)よりも過小評価される傾向がある点に留意が必要です[1][2]

なお、精度の高い結果を得るには最低4時間以上の有効な記録データが必要とされており[2]、装着時間が短いと再検査になる場合があります。

検査前日〜当日の準備と注意事項

簡易検査の精度を高めるために、検査前日から当日にかけていくつかの注意点があります。

まず飲酒についてです。アルコールは筋弛緩作用により舌根の沈下を助長し、無呼吸の重症度が通常より強く出る可能性があります。一方、普段の飲酒習慣がある方がいきなり禁酒すると、通常の睡眠状態を反映できなくなる場合もあります。飲酒に関しては事前に担当医の指示を確認してください

そのほか、検査当日は爪にマニキュアやジェルネイルが付いている場合、指先のSpO2センサーが正確に測定できないことがあるため、検査する指(通常は利き手でない方の人差し指)のネイルは事前に落としておくと安心です。入浴は通常どおりで問題ありませんが、指先やセンサー装着部位にクリームやオイルを塗るとセンサーがずれやすくなるため避けてください。

睡眠薬を常用されている方は、自己判断で中止せず、必ず処方医に相談のうえ検査に臨んでください。

センサーの装着手順——就寝前5分で完了

簡易検査の機器はコンパクトで、装着はおおむね5分程度で完了します。以下の順番で進めてください。

ステップ1:本体の確認
機器本体の電源を入れ、ランプやディスプレイが正常に点灯することを確認します。バッテリー残量が十分であることもあわせて確認してください。当院では機器貸し出し時にスタッフが動作確認を行いますが、ご自宅でも念のため再確認をお願いしています。

ステップ2:鼻カニューレの装着
カニューレ(細いチューブ)の先端を鼻孔に軽く挿入し、チューブを両耳にかけて顎の下で固定します。口元にもセンサー部分が来る機種では、口からの気流も同時に検知します。寝返りでずれないよう、テープで頬に軽く固定すると安定します。

ステップ3:SpO2センサー(パルスオキシメータ)の装着
指先にクリップ型のセンサーを挟みます。通常は利き手でない方の人差し指に装着します。爪の面が発光部側に来るように装着してください。就寝中に外れることがあるため、付属のテープで指に軽く巻いて固定します。

ステップ4:胸部センサー(努力センサー)の装着
機種によっては、胸部または腹部に呼吸努力を測定するバンドやセンサーを装着します。バンド型の場合は乳頭の高さ付近に巻き、きつすぎず緩すぎない程度に調整してください。呼吸に伴う胸郭の動きを記録するため、ずれると正確なデータが取れません。

ステップ5:記録開始と就寝
すべてのセンサーを装着したら、本体の記録開始ボタンを押し、いつもどおり就寝します。途中でトイレに立つことは問題ありません。翌朝起床したら記録を停止し、センサーを取り外して機器を返却してください。

結果の読み方——AHI(REI)とSpO2の意味

検査データは専門の解析センターまたは担当医が読影し、おおむね1〜2週間で結果が出ます(解析の混雑状況により前後する場合があります)。結果報告書で特に重要な指標は次の2つです。

AHI(REI):呼吸イベント指数
1時間あたりの無呼吸(10秒以上の気流停止)と低呼吸(気流が50%以上低下し、SpO2が3〜4%以上低下するもの)の合計回数です。簡易検査では厳密には「REI」と表記されますが、臨床現場では便宜上「AHI」と呼ばれることも多くあります。

AHI(REI)の重症度分類と対応の目安
AHI(REI) 重症度 対応の目安
5未満 正常 現時点では経過観察
5〜15 軽症 生活習慣改善・マウスピース等を検討
15〜30 中等症 精密検査(PSG)を推奨
30〜40 重症 精密検査(PSG)のうえCPAP導入を検討
40以上 重症 簡易検査のみでCPAP保険適用[1]

SpO2最低値・ODI(酸素飽和度低下指数)
SpO2は血中酸素飽和度のことで、健常者では通常96〜99%を維持します。睡眠中にSpO2が90%未満へ頻繁に低下する場合は、身体への酸素供給が繰り返し途絶えていることを意味し、心血管系への負担が懸念されます。ODI(1時間あたりに3%以上SpO2が低下した回数)もAHIと並ぶ重要な指標です。

なお、治療方針はAHI(REI)の数値だけで決まるものではなく、日中の眠気などの自覚症状、高血圧・糖尿病といった合併症の有無、患者さんの生活背景などを総合的に判断して決定されます。結果についてはかならず担当医から直接説明を受けてください。

CPAP治療と心血管リスクについて

SASは高血圧や心筋梗塞・脳卒中との関連が多くの疫学研究で示されています。CPAP(持続陽圧呼吸療法)は気道閉塞を防ぎ、いびきや日中の眠気の改善、血圧低下などの効果が確認されています。一方、大規模ランダム化比較試験であるSAVE試験(McEvoy RD et al., N Engl J Med 2016; 375: 919–931)では、CPAPによる主要心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中など)の有意な抑制は示されませんでした。ただし、CPAP使用時間が長い群ではベネフィットが大きい可能性が示唆されており、十分な装着時間の確保が重要と考えられています[3]

簡易検査の費用目安(保険適用・3割負担の場合)

項目 3割負担の目安
初診料 約1,000〜3,000円
簡易検査(HSAT) 約3,000円
結果説明・再診料 約500〜1,000円

※費用は診療報酬改定により変動する場合があります。最新の費用は受診時にご確認ください。

よくあるご質問

Q. 簡易検査に痛みはありますか?

痛みはありません。指先のクリップセンサーと鼻のカニューレはいずれも皮膚の表面に装着するだけですので、針を刺すような処置は一切ありません。装着に違和感を覚える方もいますが、多くの方が通常どおり入眠できています。

Q. 検査中にトイレに行っても大丈夫ですか?

はい、問題ありません。センサーを付けたままトイレに行けます。ただし、鼻のカニューレが引っ張られて外れないよう、本体を手に持つか近くに置いて移動してください。

Q. 結果が出るまでどのくらいかかりますか?

当院では通常1〜2週間程度で結果をお伝えしています。解析の混雑状況により多少前後する場合がありますので、ご了承ください。結果は来院のうえ、担当医から直接ご説明いたします。

Q. うまく眠れなかった場合、検査はやり直しになりますか?

有効な記録データが4時間以上必要とされています[2]。極端に睡眠時間が短かった場合やセンサーが早い段階で外れてしまった場合は再検査をお願いすることがあります。普段どおりリラックスして就寝していただければ、ほとんどのケースで十分なデータが得られます。

Q. やせている人・女性でもSASになりますか?

はい。SASは肥満の方に多い傾向がありますが、顎が小さい(小顎症)、扁桃肥大、加齢による筋力低下などが原因で、やせ型の方や女性でも発症します。いびきや日中の眠気がある方は体型にかかわらず検査をお勧めしています。

Q. 簡易検査で異常がなければ安心してよいですか?

簡易検査のREIはPSGのAHIより過小評価される傾向があるため、数値が正常範囲でも強い自覚症状がある場合は精密検査(PSG)を追加で行うことがあります[2]。結果と症状を合わせて医師が総合的に判断しますので、気になる症状がある方はご相談ください。

Q. 検査機器は翌日返却する必要がありますか?

当院では検査翌日〜数日以内にご返却いただいています。返却方法は機器貸し出し時にスタッフからご案内いたします。郵送返却に対応している場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

  1. 日本呼吸器学会・日本睡眠学会.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20200730145402.html
  2. Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504. doi:10.5664/jcsm.6506
  3. McEvoy RD, Antic NA, Heeley E, et al. CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med. 2016;375(10):919-931. doi:10.1056/NEJMoa1606599
  4. El Shayeb M, Topfer LA, Stafinski T, Pawluk L, Menon D. Diagnostic accuracy of level 3 portable sleep tests versus level 1 polysomnography for sleep-disordered breathing: a systematic review and meta-analysis. CMAJ. 2014;186(1):E25-E51. doi:10.1503/cmaj.130952
  5. 金沢消化器内科・内視鏡クリニック「睡眠時無呼吸症候群の検査|自宅でできる簡易検査」https://naishikyo.or.jp/sas/examination/(参照 2026-02-20)

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、野々市市・金沢市・白山市をはじめ、南加賀全域の地域医療に注力。
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