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冬に増える水様性下痢と腹痛|家庭での対処法と受診の目安

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冬に増える水様性下痢と腹痛|家庭での対処法と受診の目安

腹痛を伴う水様性下痢が続くと不安になります。本記事ではウイルス性胃腸炎やIBSなど考えられる原因、家庭での水分補給・食事の工夫、受診を検討する目安を一般的な情報としてまとめています。気になる方は消化器内科への相談をご検討ください。

中村文保(消化器内視鏡専門医)
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突然おなかが痛くなり、水のような下痢が何度も続く──そんな経験はありませんか。冬場はノロウイルスなどの感染性胃腸炎が流行しやすく、家族のなかで順番にダウンしてしまうことも珍しくありません。「ただの風邪だろう」と思って数日我慢しても治まらないと、何か別の病気ではないかと心配になるかもしれません。

この記事では、お子さんの送迎や買い物のスケジュールがある忙しい日常のなかで、腹痛を伴う水様性下痢にどう対処すればよいか、そしてどのタイミングで医療機関に相談すべきかを整理しています。

まとめ(この記事の要点)

腹痛を伴う水様性下痢の原因として一般的に多いのは、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎です。冬場に増える傾向があり、多くは1〜3日程度で軽快するとされています。

家庭での対処では、経口補水液などでこまめに水分と電解質を補給することが大切です。腸の動きを止めるタイプの下痢止め薬は、感染性の下痢では合併症のリスクがあるため、自己判断での使用は避けた方がよいとされています。

血便や高熱(38℃以上が目安ですが、体温の基準には個人差があります)を伴う場合、水分がまったく摂れない場合、数日経っても改善しない場合は、早めに消化器内科への相談を検討してください。

本記事は以下の情報をもとに、一般的な内容をまとめたものです。

出典:金沢消化器内科・内視鏡クリニック 公式サイト(naishikyo.or.jp)

なぜ腹痛とともに水のような下痢が起こるのか?

腸のぜん動運動が過剰になると、食べ物が腸を通過する時間が短くなり、水分が十分に吸収されないまま排出されます。これが水様性下痢の主なメカニズムの一つとされています。

原因としてはウイルスや細菌による感染、ストレスによる自律神経の乱れ、腸粘膜の炎症などが考えられます。感染時には腸の粘膜が刺激を受け、腸管内に水分が過剰に分泌されることもあります。

人工甘味料や消化されにくい食品を多く摂取したときにも、腸管内の浸透圧が変化して下痢を起こすことがあります。お子さんのお菓子を一緒につまむ機会が多い方は、この点も頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。

水様性下痢を引き起こす代表的な原因にはどんなものがある?

腹痛を伴う水様性下痢の原因は大きく「感染性」と「非感染性」に分けられます。原因によって対処法が異なるため、症状の特徴を知っておくことが役立ちます。

ウイルス・細菌による感染性胃腸炎

最も頻度が高い原因の一つです。冬場に多いノロウイルスやロタウイルスは感染力が強く、家庭内で広がりやすい傾向があります。嘔吐を伴うことが多いのも特徴です。夏場はカンピロバクターやサルモネラ菌など細菌性の胃腸炎が増える傾向にあるとされています。

種類 代表的な病原体 特徴
ウイルス性 ノロウイルス、ロタウイルス 冬に流行しやすい。嘔吐を伴うことが多い
細菌性 カンピロバクター、サルモネラ菌 加熱不十分な食品が原因になりやすい

過敏性腸症候群(IBS)

検査をしても腸に明らかな炎症や潰瘍が見つからないにもかかわらず、腹痛や下痢が慢性的に続く疾患です。ストレスや緊張が症状の悪化に関与しているとされています。お仕事と家事の両立で気持ちが張りつめがちな方にみられることもあります。

炎症性腸疾患(IBD)

潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸に慢性的な炎症が起こる疾患の総称です。血便や体重減少を伴う場合があり、若年層での発症が多い点が特徴とされています。下痢が数週間以上続く場合は、こうした疾患の可能性について消化器内科で相談することが大切です。

薬の副作用による下痢

抗生物質の服用により腸内環境のバランスが崩れ、下痢を起こすことがあります。新しい薬を飲み始めてから下痢が続く場合は、処方医に相談してください。

水様性下痢のとき、家庭でできる対処法は?

軽症で様子をみる場合や、受診までの間にご自宅でできる対処があります。なかでも大切なのは脱水を防ぐことです。

こまめな水分・電解質の補給

水様性下痢では大量の水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)が失われます。経口補水液が水分と電解質を効率よく補給できる手段として推奨されています。一度に大量に飲むと腸を刺激する場合があるため、少量ずつこまめに摂るのが基本です。

推奨される飲み物 ポイント 避けた方がよい飲み物
経口補水液 水分と電解質を効率的に吸収 コーヒー、アルコール
麦茶、白湯 刺激が少ない ジュースなど糖分の多い飲料

スポーツドリンクは手に入りやすいものの、糖分が多い製品もあります。糖分の多い飲料は腸への刺激になることがあるため、水分補給の中心はあくまで経口補水液にするのが望ましいとされています。

おなかにやさしい食事を少量ずつ

下痢がひどいときは無理に食べる必要はありません。症状が落ち着いてきたら、おかゆ・うどん・豆腐・白身魚など消化の良い食品を少量から再開するのが一般的です。脂肪分の多い食事や刺激物、冷たい食べ物は腸を刺激して下痢を悪化させる可能性があるため、回復するまでは控えましょう。

安静にして体を休める

下痢や腹痛があるときは体力を消耗しています。まずは無理をせず体を休めることが回復の基本です。おなかをカイロなどで温めると痛みがやわらぐことがあります(個人差があります。また、低温やけどにはご注意ください)。お子さんの看病で忙しい場合でも、ご自身の休息の時間を少しでも確保することが大切です。

下痢止め薬を自分の判断で使ってもよい?

感染性胃腸炎の場合、下痢は体内の病原体を排出しようとする防御反応の一つと考えられています。腸の動きを止めるタイプの下痢止め薬(止瀉薬)を自己判断で使用すると、病原体が腸内に留まり、合併症のリスクが高まる可能性があります。血便や高熱を伴う場合には、自己判断での下痢止め薬の使用は避けてください。

乳酸菌やビフィズス菌を含む整腸剤は、腸内環境を整える目的のものであり、下痢を無理に止める働きとは異なります。比較的安全に使用できるとされていますが、1〜2日使用しても改善しない場合や悪化する場合は、使用を中止して医療機関に相談してください。

どんなときに医療機関を受診すべき?

多くの急性の水様性下痢は1〜3日程度で改善するとされています。ただし、以下のような場合は早めに医療機関への相談を検討してください。受診の目安には個人差がありますので、迷ったときは無理に判断せず問い合わせていただくのも一つの方法です。

症状 考えられる状態 対応の目安
便に血が混じる 細菌性腸炎、炎症性腸疾患など 速やかに消化器内科を受診
高熱(38℃以上が一つの目安)を伴う 重症の感染症の可能性 早めに医療機関に相談
水分がまったく摂れない・嘔吐が続く 脱水のリスクが高い状態 点滴が必要な場合がある
数日経っても改善しない 一般的な回復期間を超えている 医療機関での検査を検討

高齢の方や小さなお子さん、持病のある方は脱水になりやすいため、より早い段階での相談が望ましいとされています。下痢が数週間以上続く場合は、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患などが背景にある可能性があるため、大腸カメラなどの精密検査について消化器内科で相談することが大切です。

消化器内科ではどのような検査を行う?

消化器内科を受診すると、まず問診と身体診察で症状の経過や特徴を確認します。その後、必要に応じて血液検査(炎症の程度や脱水の有無の確認)、便検査(病原体の特定や便潜血検査)が行われます。

症状が長引く場合や炎症性腸疾患などが疑われる場合には、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)で直接大腸の粘膜を観察し、必要に応じて組織を採取することもあります。当院では鎮静剤を用いた内視鏡検査を実施しており、検査への不安がある方にも配慮した環境を整えています。

家族にうつさないために気をつけることは?

感染性胃腸炎が疑われる場合、家庭内での感染拡大を防ぐことが大切です。トイレの後や調理・食事の前には石けんと流水で丁寧に手を洗い、タオルなど身のまわりのものの共用はできるだけ控えましょう。

嘔吐物や便を処理する際は使い捨て手袋を着用し、必要に応じてマスクも使用してください。汚染された箇所は次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液で消毒することが推奨されています。お子さんがいるご家庭では、嘔吐物がついた衣類の扱いにも注意が必要です。

金沢駅前でも受診いただけます

通勤途中や出張の合間に受診をご希望の方は、金沢駅から徒歩圏内の金沢駅前院もご利用いただけます。お住まいやご都合に合わせてお選びください。

よくある質問

水様性下痢のとき、子どもと同じ食器を使っても大丈夫ですか?
感染性胃腸炎が疑われる場合は、食器の共用を避けるのが望ましいとされています。使用後は十分に洗浄・消毒してください。個別の状況は医師にご相談ください。
鎮静剤を使った内視鏡検査のあと、車で帰宅できますか?
鎮静剤を使用した場合、一般的に当日の車・バイク・自転車の運転はできません。ご家族の送迎や公共交通機関でのご来院をお願いしています。野々市中央院には駐車場がありますので、付き添いの方の運転であれば車でお越しいただけます。
水様性下痢が続いていますが、すぐに大腸カメラを受ける必要がありますか?
急性の下痢の多くは数日以内に改善するとされています。まずは水分補給と安静を心がけ、数日経っても改善しない場合や、血便・高熱などを伴う場合に受診を検討してください。大腸カメラの要否は症状や経過をもとに医師が判断します。

参考文献

  1. Barr W, Smith A.「Acute diarrhea in adults.」American Family Physician, 2014. https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2014/0201/p180.html
  2. Burgers K, Lindberg B, Bevis ZJ.「Chronic diarrhea in adults: evaluation and differential diagnosis.」American Family Physician, 2020. https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2020/0415/p472.html
  3. Lacy BE.「Diagnosis and treatment of diarrhea-predominant irritable bowel syndrome.」International Journal of General Medicine, 2016. https://doi.org/10.2147/IJGM.S93698
  4. CDC.「Norovirus – About Norovirus.」Centers for Disease Control and Prevention. https://www.cdc.gov/norovirus/about/index.html

こんなときは一度ご相談ください

腹痛を伴う下痢が数日たっても落ち着かない場合や、血便・脱水の兆候など気になる症状がある場合は、消化器内科への相談をご検討ください。「受診すべきか迷っている」という段階でも、お電話やWeb予約でお気軽にお問い合わせいただけます。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

文責

著者:中村文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会理事長)

資格:日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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