ブログ

いびきと脂肪肝は関係ある?野々市・金沢の専門外来

local_offerブログ
local_offer睡眠時無呼吸症候群
local_offer脂肪肝

「健診で脂肪肝を指摘された」「最近、家族からいびきがうるさいと言われる」——この2つの悩みを同時に抱えている方は、決して珍しくありません。実は、睡眠時無呼吸症候群(いびき)と脂肪肝には、医学的に深い関連があることが分かっています。

「たかがいびき」「脂肪肝は放っておいても大丈夫」と思っていませんか?放置すると、肝硬変や心血管疾患など、深刻な病気のリスクが高まることが、近年の研究で明らかになっています。

この記事では、肝臓専門医の視点から、いびきと脂肪肝がなぜ関連するのか、そしてどのように検査・治療すればよいのかを分かりやすく解説します。当院は野々市市にあり、お隣の金沢市や白山市をはじめ、能美市、小松市、加賀市など南加賀全域からも多くの方がご相談に来られています。

この記事のポイント

  • いびき(睡眠時無呼吸症候群)と脂肪肝は、共通のリスク因子を持ち、相互に関連しやすいことが分かっています
  • 睡眠中の低酸素状態が、肝臓の炎症・線維化を進行させる可能性があります
  • 当院では女性医師による内視鏡検査が可能です。
  • 石川県内のクリニックでは数少ない「フィブロスキャン」を導入しています(肝臓の硬さ・脂肪量を数値化)。
  • CT検査も院内で可能。腹部全体の精密診断に迅速に対応します。

健診で肝機能異常を指摘された方、いびきや日中の眠気でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

WEB予約はこちら 電話予約:076-259-0378
 

目次

 

いびき(睡眠時無呼吸症候群)と脂肪肝の意外な関連とは?

「いびき」と「肝臓」——一見、関係がなさそうに思えるこの2つですが、実は密接につながっています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんを調べた研究によると、脂肪肝(MASLD)を合併している方が多いことが報告されています。逆に、脂肪肝の患者さんの中にも、睡眠時無呼吸症候群を持つ方が多いことが分かっています。合併率は対象となる患者さんの肥満度や検査方法によって異なりますが、両者の関連は複数のメタ解析で一貫して示されています。

では、なぜこの2つはセットで現れることが多いのでしょうか?そこには、2つの大きな要因が隠されています。

共通の原因:内臓脂肪の蓄積

最も分かりやすい共通点は、「内臓脂肪」です。内臓脂肪が増えると、首回りにも脂肪がつき、気道(空気の通り道)が狭くなっていびきや無呼吸を起こしやすくなります。同時に、肝臓にも脂肪が蓄積し、脂肪肝を引き起こします。

つまり、肥満やメタボリックシンドロームが、いびきと脂肪肝の両方を引き起こす「共通の土台」になっているのです。

睡眠中の「低酸素」が肝臓に影響を与える可能性

しかし、単に「肥満が原因」というだけではありません。近年の研究では、睡眠時無呼吸症候群による「間欠的低酸素血症」が、肥満などの要因を調整しても脂肪肝と関連することが報告されています。

睡眠中に何度も呼吸が止まると、体内の酸素濃度が低下し、再び呼吸が戻ると急激に酸素が供給されます。この「酸素不足→再酸素化」の繰り返しが、肝臓にとってストレス(酸化ストレス)となる可能性が指摘されています。

 

なぜ睡眠時無呼吸が脂肪肝を悪化させる可能性があるのか

睡眠時無呼吸症候群が脂肪肝に影響を与えるメカニズムとして、主に以下の3つが考えられています。

1. 酸化ストレスによる肝臓への影響

睡眠中に繰り返される低酸素状態は、体内に「活性酸素」を増加させます。この活性酸素が肝臓の細胞にダメージを与え、炎症を引き起こす可能性があります。単なる脂肪肝(MASLD)から、より重症な脂肪肝炎(MASH)へと進行するリスクが高まることが示唆されています。

2. インスリン抵抗性の悪化

睡眠の質が低下すると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効きが悪くなることがあります(インスリン抵抗性)。これにより、肝臓での脂肪合成が促進され、脂肪肝が悪化する可能性があります。同時に、糖尿病のリスクも高まります。

3. 肝臓の線維化(硬くなること)との関連

米国の大規模な入院患者データベース(約150万人のOSA患者を含む)を解析した横断研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、脂肪肝炎(NASH)の診断オッズが約3倍高いことが報告されています。これは、肥満や糖尿病などの他の要因を統計的に調整した後でも、睡眠時無呼吸が脂肪肝炎と関連していることを示唆しています(ただし、横断研究のため因果関係を直接証明するものではありません)。

当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療肝臓内科の診療を一貫して行っています。金沢市や白山市からお越しの方も、両方の問題を同時に診察できる点をご評価いただいています。

脂肪肝の新しい名称「MASLD」とは?放置するリスク

2023年、国際的な肝臓学会の合意により、脂肪肝の名称が「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」から「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」へ変更されました。日本でも日本肝臓学会と日本消化器病学会がこの変更に賛同し、新名称の周知・運用が進められています。

この名称変更の背景には、「脂肪肝は単なる肝臓の問題ではなく、全身の代謝異常と深く関わる病気である」という認識の広がりがあります。睡眠時無呼吸症候群も、MASLDと関連する因子の一つとして臨床的に注目されています。

脂肪肝を放置すると何が起こるか

脂肪肝は自覚症状がほとんどないため、「放置しても大丈夫」と思われがちです。しかし、一定の割合で以下のように進行する可能性があります。

段階 状態 可逆性
脂肪肝(MASLD) 肝臓に脂肪が蓄積した状態 生活習慣改善で回復可能
脂肪肝炎(MASH) 炎症を伴う状態 早期なら改善可能
肝線維化 肝臓が硬くなり始める 進行すると改善困難
肝硬変 肝機能が大きく低下 基本的に元に戻すことは難しい
肝がん がんの発生

国立がん研究センターによれば、肝がんの多くは慢性肝疾患・肝硬変を背景に発生します。だからこそ、肝硬変になる前の早い段階で対処することが、将来の健康を守るために非常に重要なのです。

 

フィブロスキャン検査とは?

「自分の肝臓は、今どの段階なのだろう?」——この疑問に、数値で答えられる検査があります。それが「フィブロスキャン(FibroScan)」です。

当院は、石川県内のクリニックでは数少ないこの機器を導入しており、野々市市、金沢市、白山市はもちろん、能美市、小松市、加賀市など広い地域からご相談をいただいています。

フィブロスキャンで分かること

  • 肝臓の硬さ(線維化の程度):線維化のステージ(軽度〜高度)を推定できます。数値が高いほど線維化が進んでいる可能性があります。
  • 肝臓の脂肪量:脂肪肝の程度を評価できます。

2024年に発表された欧州肝臓学会(EASL)のMASLD診療ガイドラインでも、フィブロスキャン等の非侵襲的検査は高度線維化のリスク評価に推奨される検査として位置づけられています。

フィブロスキャンのメリット

  • 痛みが少ない:針を刺す必要がなく、超音波を当てるだけで検査できます
  • 短時間:検査時間は数分程度です
  • 外来で可能:入院の必要がありません
  • 繰り返し検査できる:治療効果の経過観察にも使えます

従来、肝臓の線維化を詳しく調べるには「肝生検」(肝臓に針を刺して組織を採取する検査)が標準でしたが、入院が必要で、出血などのリスクもありました。フィブロスキャンは、そうした負担を軽減し、リスク層別化や経過観察に活用できる検査として注目されています(ただし、肝生検を完全に置き換えるものではなく、必要に応じて肝生検が推奨される場合もあります)。

詳しくは当院のフィブロスキャン専用ページもご覧ください。

 

当院の睡眠時無呼吸症候群・脂肪肝の検査と治療

当院では、睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝の両方を、一貫して診察・治療できる体制を整えています。

睡眠時無呼吸症候群の検査・治療

  • 簡易検査(自宅で実施可能):指先と鼻にセンサーをつけて眠るだけ。睡眠中の酸素濃度や無呼吸の回数を測定します。
  • CPAP療法:中等症〜重症の方には、睡眠中に鼻から空気を送り込む「CPAP(シーパップ)」療法を行います。保険適用の条件を満たす場合、継続的に治療を受けられます。
  • 生活習慣指導:減量、禁煙、飲酒制限など、根本的な改善をサポートします。

脂肪肝・肝機能異常の検査・治療

  • 血液検査:AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能数値を確認します
  • 腹部超音波検査:肝臓の脂肪蓄積や形態を観察します
  • フィブロスキャン:肝臓の硬さと脂肪量を数値化します
  • CT検査:肝臓だけでなく、膵臓・胆嚢・腎臓など腹部全体を詳しく調べることができます。当院では院内でCT検査が可能なため、迅速な診断につながります。

睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝は、共通のリスク因子を持ち、相互に関連しやすいことが分かっています。両方を同時に評価・治療することで、効率的に改善を目指せます日本呼吸器学会のガイドラインでも、睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対しては、代謝異常の評価が推奨されています。

 

よくあるご質問

Q1. いびきをかくだけで、脂肪肝が悪くなるのですか?

いびきの程度によります。単なるいびきであれば問題ないことも多いですが、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」の場合は、繰り返される低酸素状態が肝臓の炎症や線維化と関連する可能性が研究で示されています。ご家族から「息が止まっている」と指摘された方は、一度検査をお勧めします。

Q2. フィブロスキャン検査は痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?

フィブロスキャンは超音波を使った検査で、痛みはほとんどありません。体表にプローブを当てて振動を伝えるだけです。検査時間は数分程度で、外来で気軽に受けられます。「肝生検は怖い」という方にもお勧めしやすい検査です。

Q3. 睡眠時無呼吸症候群の検査は入院が必要ですか?

いいえ、まずはご自宅で行える「簡易検査」から始められます。指先と鼻にセンサーをつけて、普段通りに眠るだけです。結果を見て、必要があれば専門の睡眠検査施設をご紹介することもできます。

Q4. 脂肪肝といびき、どちらを先に治療すべきですか?

理想的には、両方を同時に評価・治療することをお勧めします。どちらも「内臓脂肪の蓄積」「生活習慣」が共通の原因であることが多く、減量や食事改善、運動習慣の見直しで両方に効果が期待できます。当院では両方を一貫して診察できますので、どちらからご相談いただいても大丈夫です。

 

野々市市・金沢市・白山市でいびき・脂肪肝にお悩みの方へ

「いびきがうるさいと言われる」「健診で脂肪肝を指摘された」——この2つの悩みを同時に抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝は、共通のリスク因子を持ち相互に関連しやすく、放置すると心血管疾患や肝硬変といった深刻な病気のリスクを高める可能性があります。

当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院)では、以下の強みを活かして、患者様一人ひとりに寄り添った診療を行っています。

  • ①石川県内のクリニックでは数少ないフィブロスキャン導入:肝臓の硬さと脂肪量を、痛みなく数値化できます
  • ②院内CT検査完備:腹部全体の精密診断に迅速に対応します
  • ③女性医師による内視鏡検査が可能:デリケートなお悩みも安心してご相談いただけます
  • ④女医による乳腺診療(乳腺外科)も併設:女性の健康を総合的にサポートします

野々市市・金沢市・白山市の方はもちろん、能美市、小松市、加賀市など南加賀全域で専門クリニックをお探しの方も、お気軽にご相談ください。早めの検査・治療で、将来の健康を守りましょう。

アクセス
〒921-8821 石川県野々市市白山町438番地(野々市中央院)
※駐車場完備。金沢市、白山市方面からもお車でのアクセスが便利です。

ご予約を希望される方は、こちらからお進みください。女性医師をご希望の場合は、予約時にお申し付けください。

WEB予約はこちら 電話予約:076-259-0378

 

次に読むことをおすすめする記事

睡眠時無呼吸と脂肪肝を同時に治す!負の連鎖を断つ生活習慣5選

いびきと脂肪肝を同時に改善したい方へ。今日からできる具体的な生活習慣の改善策を、医学的根拠に基づいて解説しています。

肝臓の状態を確認できるフィブロスキャン検査|金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院

フィブロスキャン検査の詳しい内容、検査の流れ、費用について知りたい方はこちらをご覧ください。


著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、野々市市・金沢市・白山市をはじめ、南加賀全域の地域医療に注力。

公開日:2025-12-16 / 最終更新日:2025-12-16

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
TOPへ