「家族にいびきがうるさいと言われる」「しっかり寝ているのに昼間眠い」——そんなお悩みをお持ちの方で、同時に「便秘や下痢を繰り返す」「お腹が張りやすい」といった胃腸の不調を感じていませんか?
実は近年の医学研究で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と腸内環境には深い関係があることが明らかになってきました。「いびき」と「お腹の不調」、一見まったく別の症状に思えますが、根っこでつながっている可能性があるのです。
当院は野々市市にあり、金沢市や白山市をはじめ、能美市、小松市、加賀市など南加賀全域から多くの方がご相談に来られています。この記事では、消化器内科・総合内科の専門医として、睡眠と腸の意外な関係について分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 睡眠時無呼吸症候群は腸内環境を悪化させ、便秘・下痢の原因になることがある
- いびきを放置すると、脂肪肝や大腸がんのリスクが高まる可能性がある
- 当院では女性医師による内視鏡検査が可能です
- 石川県のクリニックでも数少ない「フィブロスキャン」を導入しています(脂肪肝の精密検査)
- CT検査も院内で可能。腹痛や長引く咳、健診異常など迅速な診断に対応します
目次
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?いびきだけの問題ではありません
- いびきが腸を壊す?「脳腸相関」という意外なつながり
- 睡眠時無呼吸と脂肪肝の関係|フィブロスキャン検査のすすめ
- 大腸がん・ポリープのリスクが高まる理由
- 当院での検査・治療の流れ|女医による内視鏡検査も可能
- よくあるご質問
- 野々市市(金沢市・白山市)でいびき・腸の不調にお悩みの方へ
- 参考文献
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?いびきだけの問題ではありません
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりを繰り返す病気です。医学的には、10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上起こる場合に診断されます。
「たかがいびき」と思われがちですが、実は全身に影響を及ぼす深刻な病気です。日本睡眠学会によると、国内の潜在患者数は約900万人とも言われています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 大きないびきをかくと指摘される(特に途中で音が止まり、その後ガガッと再開する)
- 睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある
- 朝起きた時に頭痛がする、熟睡感がない
- 日中、強い眠気に襲われる
- 夜中に何度もトイレに起きる
これらの症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。当院では自宅でできる簡易検査から対応していますので、お気軽にご相談ください。
いびきが腸を壊す?「脳腸相関」という意外なつながり
「呼吸の問題がなぜお腹に影響するの?」——多くの方がそう思われるでしょう。ここで重要なのが「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という考え方です。
私たちの脳と腸は、自律神経やホルモン、免疫システムを通じて密接に情報交換をしています。ストレスでお腹が痛くなった経験はありませんか?これがまさに脳腸相関の働きです。
睡眠中の酸欠が腸にダメージを与える
睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに血液中の酸素が低下し、呼吸再開で急激に回復します。この「酸欠→回復」の繰り返しを間欠的低酸素血症と呼びます。
近年の研究で、この間欠的低酸素が腸に以下のような悪影響を与えることが分かってきました。
- 腸内細菌のバランスが崩れる(ディスバイオシス):善玉菌が減り、悪玉菌が増えやすくなる
- 腸のバリア機能が低下する:本来ブロックすべき有害物質が体内に漏れ出す可能性がある
- 全身に炎症が広がる:腸から漏れ出した物質が全身で軽い炎症を引き起こす
つまり、「いびき」と「便秘・下痢」は、別々の症状ではなく、同じ根っこ(睡眠中の酸欠)から生じている可能性があるのです。金沢市や白山市からお越しの方の中にも、「お腹の薬を飲んでも良くならないQR」という方が実は無呼吸だった、というケースは珍しくありません。
睡眠時無呼吸と脂肪肝の関係|フィブロスキャン検査のすすめ
睡眠時無呼吸症候群と脂肪肝は、非常に密接な関係にあります。日本肝臓学会の報告でも、SAS患者さんの多くに脂肪肝が見られることが指摘されています。
なぜ「いびき」が脂肪肝を悪化させるのか
睡眠中の酸欠状態は、肝臓の脂肪代謝を乱し、脂肪が蓄積しやすくなります。さらに厄介なのは、この2つが「負の連鎖」を形成することです。
| 負の連鎖のステップ | 体内で起きていること |
|---|---|
| 1. 睡眠時無呼吸 | 夜間の酸欠状態が続く |
| 2. 代謝異常 | 脂肪が肝臓に溜まりやすくなる |
| 3. 体重増加 | 首周りに脂肪がつき、気道が狭くなる |
| 4. 無呼吸の悪化 | さらに酸欠がひどくなる |
石川県で数少ないフィブロスキャン検査導入医療機関です
健康診断で肝機能の数値を指摘された方へ。当院では、石川県の医療機関では数少ない、「フィブロスキャン」という検査機器を導入しています。
フィブロスキャンは、超音波を使って肝臓の「硬さ(線維化の程度)」と「脂肪量」を測定できる検査です。痛みはなく、お腹の上から機器を当てるだけで検査が完了します。血液検査や通常のエコーでは分からない、肝臓の詳しい状態を把握できます。
「健診で脂肪肝と言われた」「いびきもひどいし、お腹周りも気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
大腸がん・ポリープのリスクが高まる理由
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、大腸がんや大腸ポリープのリスクが高まるという研究報告も増えています。
国立がん研究センターによると、大腸がんは日本人のがん死亡数で上位を占めています。しかし、早期に発見すれば内視鏡(大腸カメラ)で治療できるケースがほとんどです。
無呼吸が大腸がんリスクを高めるメカニズム
- 酸化ストレス:間欠的な低酸素状態が細胞のDNAを傷つけ、がん化を促進する可能性
- 慢性炎症:全身の軽い炎症状態が、がんの発生・進行を助長する
- 免疫力の低下:質の良い睡眠が取れないことで、がん細胞を排除する力が弱まる
日本消化器内視鏡学会のガイドラインでも、40歳以上の方には定期的な大腸カメラが推奨されています。特にいびきや日中の眠気がある方は、早めの検査をおすすめします。
当院での検査・治療の流れ|女医による内視鏡検査も可能
「いびき」と「お腹の不調」、どちらから相談すればいいか迷われる方も多いと思います。当院では、総合内科・消化器内科の専門医として、両方の視点から診察いたします。
検査の流れ
- 問診・診察:いびきの状態、お腹の症状、生活習慣などを詳しくお聞きします
- 睡眠検査(簡易PSG):自宅でできる検査機器をお貸し出しします。指と鼻にセンサーをつけて眠るだけです
- 消化器の検査:必要に応じて血液検査、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラを行います
- フィブロスキャン:脂肪肝が疑われる場合、肝臓の状態を詳しく調べます
- 治療方針の決定:検査結果をもとに、CPAP療法(無呼吸の治療)や生活習慣の改善、必要な消化器治療をご提案します
女性の方も安心してご相談ください
当院では、女性医師による内視鏡検査をお選びいただけます。「大腸カメラは恥ずかしい」「男性の先生には相談しにくい」という方も、気兼ねなくお申し出ください。
また、女医による乳腺診療(乳腺外科)も併設しています。健康診断で「要精査」と言われた方や、乳房のしこりが気になる方も、ぜひご相談ください。
よくあるご質問
Q1. いびきがあるだけで、大腸カメラを受けたほうがいいですか?
いびきがあるからといって、全員に大腸カメラが必要というわけではありません。ただし、40歳以上でいびきや日中の眠気がある方、便通に変化がある方、健診で便潜血陽性だった方は、早めの検査をおすすめします。まずは診察でリスクを評価いたします。
Q2. 女性医師の内視鏡検査を希望する場合、どうすれば良いですか?
WEB予約(https://kana-naisikyou.reserve.ne.jp)の際に、『女医』を選択してください。お電話(076-259-0378)でのご予約時にもお申し付けいただけます。
Q3. フィブロスキャン検査は痛くないですか?時間はどれくらいかかりますか?
フィブロスキャン検査は、お腹の上から超音波を当てるだけなので、痛みはまったくありません。検査時間は10分程度で終了します。予約なしでも当日対応できる場合がありますので、お気軽にお問い合わせください。
Q4. 睡眠時無呼吸症候群の検査は入院が必要ですか?
まずは自宅でできる「簡易検査」から始めます。小さな検査機器をお貸し出しし、普段通りの環境で睡眠中のデータを取得します。入院は不要です。精密検査(PSG検査)が必要な場合は、連携する専門病院をご紹介いたします。
野々市市(金沢市・白山市)でいびき・腸の不調にお悩みの方へ
いびきと腸の不調——一見バラバラに見えるこの2つの症状は、睡眠時無呼吸症候群という「共通の原因」でつながっている可能性があります。
「たかがいびき」「ただの便秘」と放置していると、脂肪肝の悪化や大腸がんのリスク上昇など、将来の健康に影響を及ぼすかもしれません。逆に言えば、早めに原因を見つけて対処することで、これらのリスクを下げることができるのです。
当院の特徴をあらためてご紹介します。
- ①女性医師による内視鏡検査が可能——デリケートな検査も安心です
- ②石川県のクリニックで唯一のフィブロスキャン導入——脂肪肝の精密検査ができます
- ③院内CT検査完備——腹痛・咳など幅広い症状に迅速対応
- ④女医による乳腺診療も併設——女性の健康をトータルでサポート
野々市市・金沢市・白山市の方はもちろん、能美市、小松市、加賀市など南加賀全域で専門クリニックをお探しの方も、どうぞお気軽にご相談ください。一人で悩まず、まずは専門医にお話しいただければ幸いです。
アクセス
〒921-8821 石川県野々市市白山町438番地(野々市中央院)
※駐車場完備。金沢市、白山市方面からもお車でのアクセスが便利です。
次におすすめの記事
睡眠と腸のつながりについて、さらに詳しく知りたい方におすすめです。CPAP治療と食事療法の組み合わせによる改善効果についても解説しています。
当院の睡眠時無呼吸症候群の検査・治療について詳しくご紹介しています。CPAP療法の流れや費用についてもご確認いただけます。
参考文献
- Microbial dysbiosis in obstructive sleep apnea: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Microbiology, 2025
- Gut microbiota changes in OSA patients treated with CPAP. Sleep and Breathing, 2024
- Causal relationships between gut microbiome and obstructive sleep apnea: a bi-directional Mendelian randomization. Frontiers in Microbiology, 2024
- 日本睡眠学会:睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン
- 日本消化器内視鏡学会:大腸内視鏡検査ガイドライン
著者・監修者情報
中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、野々市市・金沢市・白山市をはじめ、南加賀全域の地域医療に注力。
公開日:2025-12-14 / 最終更新日:2025-12-14






