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いびきと腸の不調に要注意|野々市市・金沢で専門医が解説

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いびきと腸の不調は関係ある?|野々市市の消化器専門医が脳腸相関から解説

「家族にいびきがうるさいと言われる」「しっかり寝ているのに昼間の眠気がとれない」——そうしたお悩みと同時に、便秘や下痢を繰り返す、お腹が張りやすいといった胃腸の不調を抱えている方が、当院にも多く来院されます。この記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と腸内環境のつながりを、消化器内科・総合内科の専門医として整理しました。

この記事で分かること

  • 睡眠時無呼吸症候群が腸内環境を乱し、便秘や下痢の一因になりうること
  • 「脳腸相関」と「間欠的低酸素」が腸に与える影響のしくみ
  • いびきの放置が脂肪肝・大腸がんリスクを高める可能性
  • 当院で受けられるフィブロスキャン検査や女性医師による内視鏡検査の体制

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは——いびきの奥に潜む全身疾患

睡眠中に呼吸が止まる病気

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に10秒以上の無呼吸や低呼吸が繰り返される病気です。1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を示す「AHI」が5以上で、かつ日中の眠気などの症状や高血圧といった併存症がある場合に診断されます(AHIが15以上の場合は症状を問わず診断対象となります)。

大きないびきや、途中でいびきが止まって再びガガッと始まるパターンが特徴的で、朝の頭痛・日中の強い眠気・夜間頻尿なども典型的な症状です。高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスク因子としても知られており、全身に影響を及ぼします。当院では自宅で行える簡易検査から対応しています。

肥満だけが原因ではない

SASの主な原因は肥満による気道の狭窄ですが、顎が小さい方や扁桃が大きい方は、やせ型でも発症します。アジア人は骨格的に顎が小さい傾向があり、比較的低いBMIでもSASが見られるという報告があります(Li KK et al., Otolaryngol Head Neck Surg, 2000)。ただし、研究により結果は一様ではなく、「太っていないから大丈夫」とも「やせ型に特に多い」とも言い切れません。いびきや日中の眠気が気になる場合は、体型にかかわらずセルフチェックを試してみてください。

いびきが腸を壊す?——「脳腸相関」のしくみ

脳と腸は常に情報交換をしている

「呼吸の問題がなぜお腹に影響するのか?」と疑問に思う方は多いでしょう。鍵になるのが「脳腸相関(のうちょうそうかん)」です。脳と腸は自律神経・ホルモン・免疫系を介してたがいに情報をやりとりしており、ストレスを感じると腹痛や下痢が起こるのもこの仕組みによるものです(Carabotti M et al., Ann Gastroenterol, 2015)。

SASでは睡眠中に交感神経が過剰に活性化し、その影響が腸に伝わります。さらに近年は、肺と腸が影響し合う「腸肺相関(Gut-Lung Axis)」の存在も報告されており、呼吸の異常が腸内細菌の構成を変化させるルートが複数ある可能性が示唆されています。

間欠的低酸素が腸にダメージを与える

SASでは、呼吸が止まるたびに血中酸素が低下し、再開で急激に回復します。この「低酸素→再酸素化」のサイクルを間欠的低酸素血症と呼びます。腸の粘膜細胞は十分な酸素を必要とするため、この繰り返しは大きなストレスになります。

2025年にFrontiers in Microbiology誌に発表されたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、SAS患者の腸内細菌叢で多様性の低下が確認されたほか、Faecalibacteriumなど短鎖脂肪酸を産生する菌の減少や、一部の細菌の増加が報告されています(Guo Y et al., Front Microbiol, 2025)。こうした菌のバランスの変化は、腸の環境を悪化させる方向に働く可能性があると考えられています。

野々市市や金沢市、白山市からお越しの方のなかにも、お腹の薬を続けても改善しにくいと感じていたところ、背景にSASが見つかったというケースがあります。過敏性腸症候群と診断されている方でも、SASの治療を並行して行うことで症状が和らぐ場合があります。

腸のバリア機能が崩れると全身に炎症が広がりうる

腸の内壁には、有害物質の侵入を防ぐバリア機能(タイトジャンクション)が備わっています。慢性的な低酸素ストレスが続くとこのバリアがゆるみ、腸内の細菌成分などが血中に漏れ出しやすくなる可能性が指摘されています。SAS患者を対象としたメタアナリシスでも、腸管バリア障害を示す指標が健常者と比べて高いことが報告されています(Mashaqi S et al., Sleep Med Rev, 2023)。漏れ出した物質は全身で微弱な炎症を引き起こし、脂肪肝やインスリン抵抗性と関連する可能性が研究で示されていますが、因果関係については今後さらに解明が進むと考えられます。

睡眠時無呼吸と脂肪肝——フィブロスキャンで肝臓の状態を見える化

いびきが脂肪肝を悪化させる負の連鎖

SASと脂肪肝(MASLD)は、肥満という共通の土台を持つだけでなく、肥満の影響を統計的に調整しても間欠的低酸素そのものが脂肪肝と関連するという報告があります(Mesarwi OA et al., Hepatology, 2019)。

負の連鎖のステップ 体内で起きていること
1. 睡眠時無呼吸 夜間の酸欠状態が繰り返される
2. 代謝異常 肝臓に脂肪が蓄積しやすくなる
3. 体重増加 首周りに脂肪がつき気道が狭くなる
4. 無呼吸の悪化 さらに酸欠がひどくなる

この連鎖は自覚しにくいのが厄介です。「健診で脂肪肝と言われた」「いびきもひどい」の両方に心当たりがある方は、早めの評価をお勧めします。

フィブロスキャンで肝臓の線維化・脂肪量を数値化

当院では、肝臓の「硬さ(線維化の程度)」と「脂肪量」を超音波で測定できるフィブロスキャン(FibroScan)を導入しています。石川県内のクリニックでは導入施設が限られている検査機器です。お腹の上からプローブを当てるだけで、痛みはほとんどなく、検査時間は5〜10分程度です。血液検査や通常のエコーでは把握しきれない肝臓の状態を数値で確認できます。

大腸がん・大腸ポリープのリスクとの関係

酸化ストレス・慢性炎症・免疫低下——複数の経路が重なる

SASを放置すると大腸がんや大腸ポリープのリスクが高まる可能性があるという研究報告が蓄積されてきています。台湾の全国コホート研究ではSAS患者で大腸がんの発生率が有意に高かったと報告されていますが(Chen JC et al., Sleep Med, 2020)、一方でメンデルランダム化解析など因果関係を検討した研究では結果が一貫していないものもあり、現時点では「リスクが上がる可能性がある」という段階です。

メカニズムの仮説としては、間欠的低酸素による酸化ストレスが細胞のDNAを傷つけること、腸内環境の乱れに端を発する全身の慢性炎症ががんの発生・進行に関わりうること、睡眠の質低下による免疫機能の低下が挙げられています。

大腸がんは早い段階で見つかれば、条件を満たす場合には大腸カメラによる内視鏡治療が選択されることがあります。ただし、早期であっても病変の深達度やリンパ節転移のリスクによっては外科手術が推奨される場合があるため、まずは検査で正確な診断を受けることが大切です。40歳以上でいびきや日中の眠気がある方は、消化器内科への相談を検討してみてください。

当院の検査・治療体制|女性医師による内視鏡検査にも対応

いびきとお腹の不調を同時に診られる体制

「いびき」と「お腹の不調」のどちらから受診すればいいか迷う方もいらっしゃいますが、当院は総合内科・消化器内科の専門医が在籍しており、両方の視点から診察を行えます。検査の流れは以下のとおりです。

  1. 問診・診察——いびきの状態、腹部症状、生活習慣を詳しく確認します
  2. 睡眠検査(簡易PSG)——自宅で実施できる検査機器をお貸し出しします。指と鼻にセンサーをつけて眠るだけで、入院は不要です
  3. 消化器の検査——血液検査、腹部エコー、胃カメラ大腸カメラなどを必要に応じて実施します
  4. フィブロスキャン——脂肪肝が疑われる場合に、肝臓の硬さと脂肪量を数値化します
  5. CT検査——腹痛の原因精査や腹部臓器の広範な評価が必要な場合に、院内で対応できます
  6. 治療方針の決定——CPAP療法や生活習慣の改善策、必要な消化器治療をご提案します

女性の方も安心して受診できます

当院では女性医師による内視鏡検査を選択いただけます。「大腸カメラは恥ずかしい」「男性の先生には相談しにくい」という方も気兼ねなくお申し出ください。女性医師による乳腺診療(乳腺外科)も併設しており、健診で「要精査」と指摘された方や乳房のしこりが気になる方もご相談いただけます。

よくある質問

Q. いびきがあるだけで大腸カメラを受ける必要はありますか?
A. いびきだけで全員に大腸カメラが必要になるわけではありません。ただし、40歳以上でいびきや日中の眠気がある方、便通に変化がある方、健診で便潜血陽性だった方は早めの検査をお勧めします。まずは診察でリスクを評価いたします。
Q. フィブロスキャン検査に痛みはありますか?
A. フィブロスキャンはお腹の上からプローブを当てるだけの検査で、痛みはほとんどありません。検査時間は5〜10分程度です。予約なしでも当日対応できる場合がありますので、お気軽にお問い合わせください。
Q. 睡眠時無呼吸症候群の簡易検査は入院が必要ですか?
A. 入院は不要です。小型の検査機器をお貸し出しし、ご自宅で普段通りに眠っていただくだけでデータを取得できます。検査の詳しい流れはこちらをご覧ください。精密検査(PSG検査)が必要と判断された場合は、連携する専門病院をご紹介します。
Q. 女性医師の内視鏡検査を希望する場合はどうすればいいですか?
A. WEB予約の際に「女医」を選択してください。お電話(076-259-0378)でもお申し付けいただけます。
Q. CPAP治療を始めたらお腹の調子も良くなりますか?
A. CPAP療法で睡眠の質が改善し自律神経のバランスが整うと、腸の動きが改善してお腹の張りや便通異常が和らぐ可能性を示唆する報告があります。ただし、十分な臨床データが蓄積されている段階ではなく、個人差も大きい点にご留意ください。また、CPAPの空気を飲み込んでしまい一時的にお腹が張ることもあります(呑気症)。気になる場合はマスクの調整を行いますので、遠慮なくご相談ください。
Q. やせ型でも睡眠時無呼吸症候群と腸の不調は関係しますか?
A. 関係しうると考えられます。アジア人は骨格的に顎が小さく、やせ型でもSASになりやすい場合があります。間欠的低酸素による腸への影響は体型に左右されないため、いびきや日中の眠気が気になる方は体型を問わず検査をご検討ください。

まとめ

いびきと腸の不調は、一見まったく異なる症状に思えます。しかし、睡眠時無呼吸症候群による間欠的低酸素が腸内細菌のバランスを崩し、バリア機能の低下から全身の慢性炎症へとつながる経路が近年の研究で報告されています。さらに、この炎症は脂肪肝の悪化や大腸がんリスクの上昇にも関わる可能性があると考えられています。

「たかがいびき」「ただの便秘」と放置するのではなく、両方の視点から原因を探ることで、改善の糸口が見つかるケースは少なくありません。いびきとお腹の不調が重なっている方は、早めに消化器内科へご相談ください。

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参考文献

  • Guo Y, et al. Microbial dysbiosis in obstructive sleep apnea: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Microbiology, 2025. DOI: 10.3389/fmicb.2025.1572637
  • Liu J, et al. Causal relationships between gut microbiome and obstructive sleep apnea: a bi-directional Mendelian randomization. Frontiers in Microbiology, 2024. DOI: 10.3389/fmicb.2024.1410624
  • Xue X, et al. Gut microbiota changes in healthy individuals, obstructive sleep apnea patients, and patients treated using continuous positive airway pressure. Sleep and Breathing, 2024. DOI: 10.1007/s11325-024-03185-z
  • Mashaqi S, et al. Biomarkers of gut barrier dysfunction in obstructive sleep apnea: a systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 2023;69:101774. DOI: 10.1016/j.smrv.2023.101774
  • 日本睡眠学会

当院で相談する目安

家族からいびきや呼吸停止を指摘される方、慢性的な便秘や下痢を繰り返している方、健診で便潜血陽性や脂肪肝を指摘された方は、一度消化器内科でご相談ください。当院は野々市市に位置し、金沢市・白山市・能美市・小松市方面からもお車でアクセスしやすい環境です。駐車場を完備しています。女性医師による内視鏡検査フィブロスキャン検査CT検査など、幅広い検査に対応していますので、お気軽にご連絡ください。

いびきとお腹の不調が気になったら——まずは専門医にご相談ください

女性医師をご希望の方は、予約時にお申し付けください

文責

中村 文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

公式サイト:胃と腸のことなら金沢消化器内科・内視鏡クリニック

当法人は金沢駅前に分院を開設いたしました。野々市院の予約が埋まっている場合は金沢院の予約もご確認してください。
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