いびきと高血圧の関係|睡眠時無呼吸症候群が原因で血圧が下がらないときの検査と治療
「血圧の薬を何種類も飲んでいるのに、なかなか下がらない…」「朝起きたとき、いつも頭が重い…」
ご家族から「いびきがうるさい」「寝ている間に息が止まっている」と言われたことがある方は、睡眠時無呼吸症候群が高血圧の原因かもしれません。
薬が効きにくい高血圧(治療抵抗性高血圧)の患者さんの60〜80%に、睡眠時無呼吸症候群が隠れているというデータがあります(Pedrosa RP, et al. Hypertension. 2011)。「たかがいびき」と思って放置していると、知らないうちに心臓や血管に大きな負担をかけ続けてしまいます。
当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院)は野々市市にあり、金沢市や白山市をはじめ、能美市、小松市、加賀市など広い地域からご相談に来られる方が増えています。この記事では、いびきと高血圧の関係について解説します。
この記事で分かること
- 薬が効かない高血圧の原因が、睡眠時無呼吸症候群であるケースは珍しくない
- 睡眠中の無呼吸が交感神経を刺激し、血圧を上昇させるメカニズム
- CPAP治療で血圧が改善する可能性がある
- 当院では自宅でできる簡易検査からCPAP治療まで対応
- 石川県のクリニックで唯一「フィブロスキャン」を導入し、脂肪肝の精密検査も可能
睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係
二次性高血圧の原因として見落とされやすい
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧には、医学的にはっきりとした関連があります。日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」でも、睡眠時無呼吸症候群は「二次性高血圧」の重要な原因のひとつに挙げられています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約50%が高血圧を合併しており、逆に高血圧の患者さんの約30%に睡眠時無呼吸症候群が見つかるという報告があります。降圧薬を3種類以上飲んでも血圧が目標値まで下がらない「治療抵抗性高血圧」に限ると、合併率は60〜80%に達するとされています。
高血圧を放置するリスク
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれ、自覚症状がほとんどありません。しかし放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群が背景にある高血圧は、通常の降圧薬だけでは十分にコントロールしにくいのが特徴です。原因の睡眠時無呼吸症候群そのものを治療することが、血圧改善への近道になります。
眠っている間に血圧が上がるメカニズム
無呼吸が引き起こす「窒息のサイクル」
睡眠中に気道が塞がって呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が低下します。脳は酸素不足を感知し、体を無理やり覚醒させようとします。このとき交感神経が急激に興奮し、血圧が急上昇します。
「呼吸が止まる→酸素低下→覚醒→血圧上昇」というサイクルが、一晩に何十回、重症の方では何百回も繰り返されます。毎晩これが続けば、血管は常にダメージを受け、動脈硬化が進んでいきます。
「早朝高血圧」との関係
睡眠時無呼吸症候群の方に多いのが「早朝高血圧」です。通常、血圧は睡眠中に下がり、朝にかけて徐々に上がるのが正常なパターンです。しかし睡眠時無呼吸症候群があると、夜通し交感神経が刺激され続けるため、朝目覚めた直後の血圧がとくに高くなります。
「朝起きた時に頭が重い」「頭痛がする」という方は、早朝高血圧の可能性があります。起床直後の血圧を測って記録しておくと、診察時に有用な情報になります。
「薬が効かない高血圧」の正体
降圧薬の効果を無呼吸が打ち消している
降圧薬は血管を広げたり心臓の働きを抑えたりして血圧を下げます。しかし、睡眠時無呼吸症候群による血圧上昇は、毎晩繰り返される交感神経の過剰な興奮が原因です。
薬で日中の血圧を下げても、睡眠中に何度も血圧が急上昇すれば、薬の効果は帳消しになります。「薬が効かない」のではなく、「薬の効果を上回るほど睡眠中の無呼吸が血圧を上げている」のです。
CPAP治療で血圧は下がるのか
睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療であるCPAP(シーパップ)療法を行うと、多くの患者さんで血圧の改善がみられます。2024年に発表されたメタ解析(Sun L, et al. Curr Hypertens Rep. 2024)では、治療抵抗性高血圧の患者さんにCPAPを使用したところ、24時間の収縮期血圧(上の血圧)が平均約6mmHg低下したと報告されています。一般的にはCPAPによる降圧効果は平均2〜7mmHg程度とされ、治療抵抗性高血圧ではより大きな効果が得られることがあります。
数mmHgの低下は小さく感じるかもしれませんが、血圧がわずかに下がるだけでも脳卒中や冠動脈疾患のリスク低下につながるとされています。長い目で見れば、大きな差です。
こんな症状があれば要注意|セルフチェック
以下の項目に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連を疑って、検査を検討してみてください。
| チェック項目 | 詳細 |
|---|---|
| □ いびきがうるさいと言われる | いびきが途中で止まり「ガガッ」と再開する場合はとくに要注意 |
| □ 寝ている間に息が止まっていると指摘された | ご家族やパートナーの証言は重要な診断の手がかりです |
| □ 日中に強い眠気がある | 会議中や運転中にうとうとしそうになることはありませんか? |
| □ 朝起きた時に頭痛や頭重感がある | 早朝高血圧のサインかもしれません |
| □ 夜中に何度もトイレに起きる | 無呼吸による覚醒が原因の場合があります |
| □ 降圧薬を3種類以上飲んでも血圧が下がらない | 治療抵抗性高血圧の可能性があります |
| □ 肥満傾向がある(BMI 25以上) | 首周りの脂肪が気道を狭くすることがあります |
3つ以上当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の検査を検討してみてください。当院では、ご自宅で行える検査からスタートできます。
当院での検査・治療の流れと費用
Step1:問診・診察
いびきや眠気、血圧の状態などについて詳しくお話を伺います。予約時に「いびき・無呼吸の相談」とお伝えいただくとスムーズです。高血圧で他院に通院中の方は、現在のお薬をお持ちください。
Step2:簡易検査(ご自宅で実施)
専用の小さな検査機器をお貸し出しします。就寝時に指と鼻にセンサーを付けるだけで、睡眠中の呼吸状態や酸素濃度を記録できます。痛みはなく、普段通りの環境で眠っていただくだけです。
Step3:診断・治療方針の決定
検査データをもとに、無呼吸の重症度(AHI:1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数)を判定します。中等症〜重症と判断された場合はCPAP療法を、軽症の場合はマウスピース療法や生活習慣の改善をご提案します。
Step4:CPAP療法の開始
CPAPは、就寝時にマスクを装着し、機械から持続的に空気を送り込んで気道を開いた状態に保つ治療です。最初は違和感があるかもしれませんが、多くの方が数日で慣れていきます。
月に1回の定期診察で機器の調整や効果の確認を行います。状態が安定したらオンライン診療に切り替えることもできます。
費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
睡眠時無呼吸症候群の検査・治療は健康保険が適用されます。
| 項目 | 3割負担の自己負担額(目安) |
|---|---|
| 初診・問診 | 約1,000〜2,000円 |
| 簡易検査(自宅検査) | 約3,000円 |
| 精密検査(PSG検査) | 約10,000〜15,000円(在宅の場合) |
| CPAP療法(月額レンタル+診察) | 約5,000円 |
精密検査を入院で行う場合は、入院基本料や食事代、個室料が加わり3万〜4.5万円前後になることがあります(当法人費用ページ参照)。1割負担の方は上記の約3分の1が目安です。費用面でご不明な点があれば、お気軽にお尋ねください。
睡眠時無呼吸症候群と高血圧をもっと知りたい方へ
睡眠時無呼吸症候群と高血圧|薬が効かない原因
当法人の公式サイトでは、高血圧患者における睡眠時無呼吸症候群の合併率や、治療抵抗性高血圧との関係をさらに詳しくまとめています。早朝高血圧やノンディッパー型血圧パターンについても触れており、医学的な背景を深く知りたい方におすすめです。
▶ 睡眠時無呼吸症候群と高血圧|薬が効かない原因|金沢消化器内科
睡眠時無呼吸症候群の合併症|高血圧・脳卒中リスク
睡眠時無呼吸症候群を放置した場合に高まる、心不全・脳卒中・糖尿病などの合併症リスクについて包括的に解説した記事です。「いびきを放っておくとどうなるのか」を知りたい方に向いています。
薬が効かない高血圧・糖尿病と睡眠時無呼吸症候群
降圧薬やインスリンの効果が十分に出ない背景に睡眠時無呼吸症候群がある場合の病態と対処法を解説しています。生活習慣病が複数重なっている方に参考になる記事です。
▶ 薬が効かない高血圧・糖尿病と睡眠時無呼吸症候群|金沢消化器内科
よくある質問
- Q. いびきをかく人は全員、高血圧になりますか?
- A. いいえ。いびきをかく方すべてが高血圧になるわけではありません。ただし、いびきが大きい、途中で止まる、日中の眠気があるといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、高血圧のリスクが高まります。気になる症状があれば、一度検査をお勧めします。
- Q. CPAPを使えば降圧薬をやめられますか?
- A. CPAPで血圧が改善する方は多いですが、すぐに降圧薬を中止できるとは限りません。CPAP治療を続けながら定期的に血圧を測定し、主治医と相談のうえ少しずつ薬を調整していく流れになります。自己判断での中止は危険ですので、必ず医師にご相談ください。
- Q. 痩せれば睡眠時無呼吸症候群は治りますか?
- A. 肥満が原因の場合、体重を5〜10%減らすだけでも無呼吸の回数が減少するというデータがあります。ただし日本人は骨格的な要因(あごが小さいなど)で発症するケースも多く、減量だけでは改善しきれないこともあります。当院の健康診断で生活習慣病の状態を確認しつつ、治療法を選択していきましょう。
- Q. 睡眠時無呼吸症候群があると、ほかの病気にもなりやすいですか?
- A. はい。高血圧のほかに、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、糖尿病、脂肪肝などのリスクが高まります。当院ではフィブロスキャン検査で肝臓の状態も確認でき、総合的な健康管理が可能です。
- Q. 女性でも睡眠時無呼吸症候群になりますか?
- A. はい。とくに閉経後はホルモンバランスの変化で発症リスクが高まります。女性の場合、大きないびきよりも疲労感や不眠として症状が現れることがあり、見逃されやすい傾向があります。
- Q. 簡易検査だけで診断はつきますか?
- A. 簡易検査でAHI(無呼吸低呼吸指数)が40以上の場合は、そのまま診断しCPAP治療を開始できます。AHIが40未満でも睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、精密検査(PSG検査)を近隣の医療機関にご紹介して実施します。
- Q. 検査や治療に健康保険は使えますか?
- A. はい。簡易検査・精密検査・CPAP療法のいずれも健康保険が適用されます。3割負担の方で、簡易検査は約3,000円、CPAP療法は月額約5,000円が目安です。
まとめ
降圧薬を飲んでも血圧が下がりにくい背景に、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合があります。睡眠中に繰り返される無呼吸は交感神経を興奮させ、夜間から早朝にかけて血圧を押し上げます。このメカニズムは降圧薬だけではコントロールしきれないため、まず自宅での簡易検査で呼吸状態を確認し、必要に応じてCPAP療法を開始することが大切です。
いびきや日中の眠気、朝の頭重感など思い当たる症状がある方は、「たかがいびき」と放置せず、早めにご相談ください。
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参考文献
- 日本高血圧学会 編「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_noprint.pdf
- Pedrosa RP, et al. Obstructive sleep apnea: the most common secondary cause of hypertension associated with resistant hypertension. Hypertension. 2011;58(5):811-817. DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.111.179788
- Sun L, et al. Effect of Continuous Positive Airway Pressure on Blood Pressure in Patients with Resistant Hypertension and Obstructive Sleep Apnea: An Updated Meta-analysis. Curr Hypertens Rep. 2024;26(5):201-211. DOI: 10.1007/s11906-024-01294-4
- 金沢消化器内科・内視鏡クリニック「睡眠時無呼吸症候群と高血圧|薬が効かない原因」https://naishikyo.or.jp/sas/sas-lifestyledisease/hypertension/(参考サイト)
当院で相談する目安
ご家族からいびきや無呼吸を指摘されている方、降圧薬を飲んでも血圧がなかなか下がらない方、朝の頭痛や日中の強い眠気が続く方は、一度検査を受けてみてください。当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院)では、自宅でできる簡易検査からCPAP治療まで一貫して対応しています。フィブロスキャンやCT検査も院内で実施でき、高血圧だけでなく脂肪肝や糖尿病など生活習慣病全体を見据えた診療が可能です。野々市市・金沢市・白山市はもちろん、能美市、小松市、加賀市からも多くの方にお越しいただいています。
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